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カウンセラー視点で考えるWebディレクション(1)

私は、産業カウンセラーを取得して、現在フリーのWebディレクター兼デザイナーとして活動しています。
きっかけは、まだWeb制作会社でディレクターとして働いていた時に、メンバーが鬱になったり、悲観的になり会社を離れていった事が大きなきっかけでした。

当時の会社では、大型のWeb構築案件が多く、上流(企画や設計)で時間がかかると、実装の期間が圧縮されることが多く、そのような厳しい状況下で、心を病んでいく方や、行きたくても会社に行けなくなる方も出てきました。
メンバーのサポートになればと、1年間実習を通して産業カウンセラーの実技を学び試験を受け、資格を取得しましたが、正直な所すぐには役にたちませんでした。
しかし、現在フリーランスとして、仕事をしていく上で、カウンセリングのプロセスが非常に助けになっていると感じたので、共有できればと思い書かせていただきました。

カンセリングとは心が辛い人だけのものではない

カウンセリングと聞くとどのような印象を抱くでしょうか。
心理的に問題を抱えた人が相談する所、悩みを解決してくれる所などの意見が多いかもしれません。
確かに、上記のようなイメージが強く、カウンセリングじゃなくても相談なら家族や、友達でいいのでは?と思う方も多いと思います。

しかし、カウンセリングの本当の働きは「カウンセリングのプロセスに潜む深い意味の発見」にあると思います。
このプロセスをWebディレクションに応用することで、案件をスムーズに動かし、早い時点で問題を明確にし早期に解決に繋げることも可能になると思います。

人間は多くの共通性を持っています。それと同時に全く同じ人は存在しません。人は時として、他者と比較し違いを探したりします。
違いを感じた時に、人の心は2つ動きをとります。「排除したい」という気持ちと、知らないものを「知りたい」という気持ちです。
もし、排除的な組織だったら他者の反応に怯えたり、本当の気持ちを表現できません。このことを一般的に心理的安全性と言いますが、不安や羞恥心を感じることなくリスクを取れる体制であるほうが、チームの生産性が上がると、googleが研究成果を発表して以降、特に注目されるようになりました。

このように心の動きが仕事やチームの生産性に大きく関わって来るのです。
カウンセリングのプロセスを学ぶ事で、今よりも数倍自分自身そして、人の理解が深まって行きます。その結果人の行動が理解できるようになっていきます。

自分は、X理論寄りかY理論寄りか?

カウンセラーの人間観でしばしば出てくるのがX理論とY理論です。
この理論は、アメリカの心理・経営学者ダグラス・マクレガー(1906年 - 1964年)によって提唱された理論で、労働の生産性には、人間性が深くかかわっており、人間観が経営にも影響を与えるとしたものです。

X理論(Theory X)とは、人間は労働が嫌で、責任を取りたがらず、できるだけ楽をしようとする。としたもので、飴と鞭を与え、監視統制した方がいいというものです。
一方でY理論(Theory Y)は、人間は労働と遊びは同じ位に好きで、常に改善を試みて成長していこうとする。そして自ら進んで自発的に責任を取りながら仕事を進め、遊びと同じように仕事にも熱心に取り組むというものです。
自分がX理論寄りかY理論寄りかで仕事の進め方は大きく変わってきます。
カウンセラーは基本的にY理論です。人は生まれながらに、向上していきたいという意欲を持っていきている。という前提で接する事が重要となります。

しかし、Webディレクションをしている場合、Y理論だけではリスクヘッジができません。カウンセリングと違い仕事にはスケジュールがありますのでY理論的に信じつつも、一方ではX理論的に何かしらの理由でできない場合を考慮したリスクヘッジ方法を用意しておかなければならないと思います。

自分とつきあえているか

カウンセリングのプロセスを理解していくことでの大きなメリットは、自己に対しての理解が深まるということではないかと思います。
上記のX理論、Y理論を見て、もし自分がX理論の傾向が強いのであれば、少なくとも「自己実現」をしたいと強く考えるメンバーとは合わないはずだと思った方がいいでしょう。
悪いという事ではなく、自分はそのような傾向だと意識する事だと思います。
このように自分自身の価値観や、自分が他者をどのように見て対処しようとしているかを理解していくこともWebディレクターには重要ではないかと思います。



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