導入事例コンテンツの作り方~才流の場合~
こんにちは、株式会社才流のコンテンツ部門 インハウスエディターの安住と申します。今日は、当社の導入事例コンテンツ作りについて書いてみたいと思います。
当社のコンテンツ部門は現在9名で、コンテンツごとに担当がいます。
例えばコンサルタントが執筆するコンテンツの編集をする人、検索ニーズ対応型の記事を作る人、ウェビナーを担当する人、メルマガを担当する人、YouTubeを担当する人など。
私はというと、導入事例コンテンツ、調査コンテンツ、社内のコンサルタントにヒアリングをして記事を書いたり、社内に眠っているコンテンツを掘り起こして記事化したりなど、自称社内フリーランスとしていろいろやっています。
そして私が担当する中でも、事業貢献度が高く、重要なコンテンツが導入事例です。最近、取り組まれている企業も多いと思います。
そこで今回は、当社の事例作成はどのような視点やプロセスで行われているのかをまとめてみました。導入事例コンテンツ作成の参考になれば幸いです。
※BtoB導入事例の作り方【事例インタビューのテンプレート付き】というメソッド記事も公開しています
事例コンテンツは何を伝えればいいのか?
そもそも、事例コンテンツって何を伝えればいいの?と思う方もいるかもしれません。
メソッド記事でも解説していますが、BtoBの導入事例には、主に「認知獲得」「サービス理解や社内検討促進」という2つの目的があります。
知名度やターゲットへの影響力が強い顧客の導入事例は、自社のサービスの認知拡大に貢献しますし、見込み顧客が商品・サービスから得られる成果を理解し、社内で稟議を通す際の説明材料にもなります。
また、商品タイプごとに訴求ポイントは変わってきます。
アメリカの著名なコンサルタントであるM・トレーシーとF・ウィアセーマによって書かれた『ナンバーワン企業の法則―勝者が選んだポジショニング』という本の中では、優良企業の3つの価値基準が紹介されています。プロダクト・イノベーション(製品のリーダーシップ)、オペレーショナル・エクセレンス(経営実務面での卓越性)、カスタマー・インティマシー(顧客との親密性)です。※詳細はメソッド記事で解説しています
当社の事例は、カスタマー・インティマシー(顧客との親密性)の型に近いと考えています。
コンサルティングは無形商材なので、プロジェクト期間中に何をしてくれるのか、どんな価値があるのかが見えにくいという特徴があります。
ですから、プロジェクトのプロセスをわかりやすく可視化することを意識しています。
具体的にやったことに加えて、お客様がどのような気持ちを持ったのか、コンサルタントとどういうコミュニケーションをして、どう感じたのか。定量的な成果だけでない部分も細かくお聞きするようにしています。
ヒートマップでわかるプロセス可視化の重要性
実際、ヒートマップで確認してみると、熟読率がもっとも高いのはプロジェクトのプロセスを詳しく説明している部分です。見込み顧客の方が気にしているポイントが「何を、どのようにやってくれるの?」という点であることがわかります。
以下は製造業のサンファーネス株式会社様の事例をヒートマップにかけたものです。
すべてのプロジェクトで事例コンテンツ作成に協力を依頼している
当社では現在、すべてのお客様に事例コンテンツへのご協力をお願いしており、お客様の事情により掲載できない場合以外は、すべてのプロジェクトで事例コンテンツを公開するフローになっています。これまで作った事例コンテンツは2023年3月末時点で47個になりました。
https://sairu.co.jp/case/(才流の事例記事ページ)
取材は対面、お客様のオフィスに訪問
当社の導入事例は、基本的にオフラインでお客様のオフィスに訪問する形でおこなっています。
お客様のオフィスで撮影をさせていただくことで、社名のロゴをバックに撮影したり、各社の雰囲気をお伝えできることがメリットです。
また、プロジェクト期間中はオンラインミーティングが基本なので、コンサルタントがお客様とお会いできる貴重な機会でもあります。お客様の声で「成果が出た」「やってよかった」と言っていただけると、コンサルタントはもちろん、取材するインハウスエディターとしてもうれしい瞬間です。
事例取材をとおして自社の事業への理解を深めたり、価値を再認識したり、モチベーションが高まったりするのは副次的な効果かもしれません。
事例コンテンツ作成の流れ
当社の事例コンテンツ作成の流れは、以下のとおりです。
コンサルタントがお客様に事例取材の許諾をとる(プロジェクト初期に依頼、プロジェクト終了後に再度依頼)
日程調整
インハウスエディターがカメラマンをアサイン
コンサルタントとインハウスエディターが取材前の打ち合わせ(取材1週間前くらいまでに)
取材当日
お客様に初稿を提出(取材から約2週間)
赤字を反映し、お客様にプレビューを最終チェックいただく
公開(取材から約1か月)
現状は、月に2~3本のペースで事例コンテンツを作成しています。以前はライターさんに取材や執筆をお願いすることもありましたが、プロジェクトや事業理解が必要なため、最近はインハウスエディターが取材~編集までのプロセスすべてを行っています。
取材前の打ち合わせで確認すること
取材前の打ち合わせでは、コンサルタントと以下の内容を確認しています。
①プロジェクトの概要
当社にはBtoBマーケティングの戦略立案や伴走支援、セールスイネーブルメント、パートナー戦略のご支援などさまざまなBtoB企業向けの支援メニューがあります。
そこで、
どの支援メニューなのか
お客様はどんな課題を持ち、なぜ才流に依頼したのか
期間
お客さまの業界や会社、マーケティング組織の状況
などを確認します。
インハウスエディターはここで聞いた内容をもとに、取材までに下調べを行います。業界事情やプレスリリース、外部メディアの記事などもチェックしておきます。
最近はコロナ禍によって大きな環境変化がありました。マーケティングに注力したい、営業組織を立て直したいという課題の背景には、外部環境の変化が大きく影響しています。法改正などもチェックしておくと話がスムーズです。
②プロジェクトの肝になった取り組み
プロジェクトの概要を把握したら、このプロジェクトならではの出来事、肝になったことを確認します。
たとえば、
市場調査を行うと、これまで想定していたターゲットとは違うターゲットが浮かび上がってきた
ユーザーテストで、自社のWebサイトはまったく顧客視点になっていなかったと気付いた
など、戦略を決めるうえでの転換点、影響が大きかった出来事です。
取材時はここを深掘りしてお客様に感想をいただくようにしています。
③当日の流れ
あたりまえのことですが、当日の流れを事前に確認しておくことは重要です。カメラマンとどこで、何時に合流するか。撮影時間や場所に制約はないか。お客様側は何名出席されるかなど、くわしく確認しておくとスムーズです。
④取材前の打ち合わせ後、想定質問をお客様に共有
打ち合わせ後は、質問する内容を事前にお客様に共有します。各社共通で基本的な質問事項は用意しているのですが、深掘りしたいポイントや関連するスライドなどを追加し、共有することもあります。
プロジェクト終了から時間がたっていたり、プロジェクト自体が1年以上にわたっていたりすると、お客様も初期の取り組みを思い出すのに時間がかかることもあります。
取材当日も提案書のスライドを印刷してお見せするなど、できるだけ話がしやすい状況を作ることも大事だと考えています。
取材当日
撮影とインタビューで、余裕をもって1時間半をいただいています。
撮影カットは以下のとおりです。
①ロゴの前
②お客様が話している様子(参加者が複数いる場合は、一人ずつとみなさま一緒のカット両方)
③コンサルタントが話している様子
④全員一緒に話をしている様子
また、インタビューがはじまる前には、少しでも安心してお話をいただくために、以下のような点を確認しています。
①今回のインタビューは当社サイトの「実績」というページに掲載されます。
②取材後に2度内容をご確認いただくので、公開はできない内容でも、この場では率直にお話をいただいて大丈夫です。後から赤字修正ができます。
③インタビュー(インハウスエディター)は、第三者だと思ってお話をいただけるとありがたいです。
補足すると、③はインタビュアーの立場を明らかにするということです。
インタビュアーが社員の場合、当然プロジェクトについては社内で共有をしています。しかし、事例取材の場では、お客さまに語っていただくことが重要なので、あえて知っていることをお聞きする場合もあるのです。
ですから、第三者だと思ってお話をいただけると、お客さまも「どこまで話せばいいのか?」という迷わずにお話をいただけるのではないかと考えています。
原稿作成~公開まで
ここは通常の記事作成と同じ流れですが、お客様にご協力をいただいているので、お客様のご意向を尊重しながら進めることが何より重要です。
当社の原稿確認は大きくわけて2回ですが、必要であれば追加でチェックをいただく場合もあります。
①初稿(GoogleDocumentまたはWord)で赤字を入れていただく
②初稿の赤字を修正し、WordPressで入稿。プレビューを共有し、最終チェックをいただく
取材当日から初稿出しまでは1~2週間、公開までは1か月程度のスケジュールで進めています。
また、公開ページの最後にはフォームを露出させています。まだ取り組みはじめてから時間がたっていないので数は多くないですが、すでにCVが出ており、一定の成果があるのではないかと考えています。
まとめ
事例コンテンツは、見込み顧客が購買を検討する際のキラーコンテンツのひとつです。ぜひ自社に合った事例作成に取り組んでみてください。
才流では事例コンテンツのほかにも、BtoBマーケティングや営業、パートナー戦略などのさまざまなメソッドを発信しています。各種テンプレートも個人情報なしでダウンロードできますので、ぜひサイトにご訪問いただけると嬉しいです。
メソッドページ:https://sairu.co.jp/method/
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