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【実践報告】目標設定をどうする?旅行者のための日本語学習

ありがたいことに、またお久しぶりの生徒さんが戻ってきてくれました。履歴を確認したら4年ぶり。何の事前メッセージもなく、予約だけが入っていました。さて、どんな風の吹き回しなのでしょうか。


■学習者プロフィール

居住地:アメリカ
経歴:キャンドルを作る会社で、毎日とても忙しそう。日本語を使う仕事ではない。
語学:英語ネイティブ、日本語はN5未満、CEFRではA1-A2
学習スタイル:興味のあるコンテンツで楽しく勉強したい。教科書にはこだわらない。家に帰ると疲れて何もできないので、仕事の合間にアプリ(Wanikani)で漢字を勉強しているとのこと。。マイペースで、話しかたもゆったり。

■目標設定(学習者案)

あまりにお久しぶりだったので、どうしたのとたずねたら、彼女からこんな話がありました(英語で)。
目標1:10月に大阪と東京を2週間ほど旅行するが、できるだけ日本語だけで過ごしたい
目標2:いまA2レベルだと思うが、B2になりたい
と考えているか、このゴールをどう思うか?

FYI CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)
https://www.britishcouncil.jp/programmes/english-education/updates/4skills/about/cefr

CEFRを使って、自ら目標を掲げてくれたこと自体は賞賛👏

なのですが、これではまだまだ
・あいまい(何を持ってA2、B2と、本人がさしているのか)
・B2なら日本旅行で日本語だけで2週間過ごせる、と言えるのか?
・仮にそうだとしても、(週1レッスン+自習)2ヶ月程度でB2が可能か

実際に話してみた感じでは、N5レベルの基本的な文法も単語も残念ながらおぼつかない感じで、A2に至っているとも思えませんでした。
せっかく考えてきたくれた目標ですが、具体的じゃないし現実的と思えないと判断しました。

■目標設定(相談後)

実際には日本に住んでいるアメリカ人の友人と、一緒に東京と大阪を旅すること、新幹線のチケットなどは友達がヘルプしてくれるでしょう。2ヶ月という短期間の中で、今のレベルから「頑張れば達成できそう」で、「実際に達成したかどうか」わかる、そして「日本で日本語を使った充実感が味わえる」具体的な目標がいいと考えました。そこで、誰にも代わってもらうことができない「本人の感想」を表現することと、友達やお店の人との簡単なやりとり、に絞ることにしました。

  1. 気持ちや感想を表す形容詞を覚える
    形容詞を使って、自分の気持ちを表現することができる。
    達成指標:形容詞リストを作成し、①意味と活用形を覚える ②自分の気持ちを短い文で言える(例:このジュースは、あまくて、おいしい。)
    形容詞は、旅行中の自己表現につながるジャンルを絞りました。
     感情・感覚・・・うれしい、たのしい、さむい、すずしい、など
     食べ物・味・・・おいしい、あまい、あつい、つめたい、など
     見た物・経験への感想・・・すごい、こわい、きれい、おおきい、など
    とりあえず形容詞を覚えたら、文法を忘れてしまっても、感想を表明することができるはず。

  2. 基本的な単語と短い構文を覚えて、口頭で話せるようにする
    思い切ってみんなの日本語1のレベルに絞って、動詞の種類も活用形も最低限にした例文を提示して、会話の練習をしようかと思っています。

  3. セットフレーズ/決まり文句を覚える
    英語に翻訳しようのない表現は、もうまるっと覚えてしまったほうが早いので、これは慣れていただくしかないと思われるものです。
     例:(質問)すみません、(質問文)ですか?
     例:(注文時)・・・と、・・・を、お願いします。 などなど

昨日、ちょうど「マスターテクストアプローチ」について教師仲間で話題になったので、1〜3の達成を目指して、チャレンジしてみようと思ってます。

■レッスン内容

上記のような目標を握り、1回目の授業では形容詞のみにフォーカスして1時間を過ごしました。あいまいな記憶を再整理するいい復習になったと思います。
・「い形容詞」「な形容詞」の区別
・現在・否定・過去・過去否定・て形
・(意味を覚えるための)短い例文の作成
 →短い例文なのに、出てきたのが面白くて笑えました・・・
  例)お父さんのジョークは、ださいです。

スプレッドシートに活用形を埋めてくるように指示を出したら、プリントアウトして手書きで宿題をやってきました。書いて覚えるのも大事なので、これもOKです。(レッスン当日まで、スプレッドシートが空白で焦りましたが)

単語の暗記ばかりではすぐにあきると思うので、次は会話の練習に入ろうと思います。マスターテクストアプローチは、こちらの本とブログで着手してから取り組もうと思います。


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