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子どもは最も近くにいる大人に似る、と思う

駅で次に来る特急電車を待っていたら若い母子連れに声をかけられた。

「電車乗るの久しぶりで分からなくて教えて欲しいんですけど、この電車って隣の駅行きますか?」

私もそんなに詳しくはないのだけど、確かこの電車は次は横浜に停まるはずだったことを思い出し、その次に来る各駅停車に乗ることを伝えた。

母親はとっても優しい笑顔でありがとうと私に言い、「ほら、おねえさんにありがとうは?」と促された4歳くらいの娘も満面の笑顔でぴょんぴょん飛び跳ねながら「ありがとう!」と言った。なんとも可愛らしいその姿につられて私も満面の笑顔で「どういたしまして」と伝えた。

この母親はきっと物怖じせず初対面の人にもどんどん話しかけていけるタイプなのだろう。そんな母親を見ているからこの娘はこんなに人見知りしない可愛い子なんだと妙に納得した。

(そして私自身、分からないことや困ったことがあったら躊躇なく近くの人に聞く種族なのだが、もしも私に子どもがいたらこんな風に育っただろうかと少しだけ想像した)

先に来た特急に乗り込む時「お先に」と声をかけるつもりで視線を向けたら、母親もまさに私に声をかけようとしていた。私たちは笑顔でお別れをし、娘にバイバイと手を振ると娘は笑顔で手を振った。電車に乗り込んだ私の席からはまだ母娘が見えた。

しばらくしてそれに気づいた娘は私に手を振った。私も手を振りかえした。

そして電車が発車する時、最後にもう少し大きく彼女は私に手を振り、母親の方も私に手を振った。私たちはお互いが見えなくなるまで手を振りあった。あああ、なんていう可愛い母娘なのだ。お友達になりたかった。

子どもに手を振られることはあっても、親の方からも手を振られることは少ない。

私は今、めちゃくちゃほっこりした気持ちで特急電車に揺られている。

いい日だなあ。

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