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ナレーションを究める54 滑舌を良くする練習「母音法」(劇団四季)

ナレーターの熊崎友香です。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」やNHKアジアインサイトなどでナレーターをしながら2人の子供を育てています。

先日、母校、専大松戸高校の放送部の皆さんに、アドバイスをさせていただきました。その中で「滑舌が悪い時に、どうやって練習したら良いか」という話が出ました。その時、ご紹介したのが「母音法」です。

劇団四季さんが、取り入れていることで有名ですが、内容は、原稿を一度全て母音だけに置き換えて練習する。というシンプルでわかりやすい方法です。

例えば、
「きょう、自民党は、内閣改造と併せて実施する党役員人事について岸田首相に一任することを決めました」

という一文があったとします。
これを全て、母音に置き換えます。

「おう、いいんおうあ、あいあうあいおうお ああええいっいうう、おうあういんいんいいういえ、いいあうおうい、いいいんううおおおいえあいあ」

これで、何度かはっきり言えるまで練習します。
その後、もう一度、上の文章を繰り返します。

放送部の皆さんは、これで一瞬で滑舌がよくなりました!
もちろん、日々の訓練も必要ですが、、、

以前、劇団四季さんのゲネプロ(通しのリハーサル)を拝見したことがありますが、その際、3、4時間かかる通し稽古の最初から最後まで、「全てのセリフが言えているか、聞こえているか、届いているか」をチェックする方がいて、稽古が終わると、キャスト全員で、最初から台本をひらき、どの場面の、どの役の人のセリフが言えていなかったか、聞こえなかったかを、再確認されていました。舞台本番初日の前日でしたが、夜10 時をこえていたはず。。。

表現や、そこに至る役者の気持ちづくりなども大事だけれど「言えてなければ、伝わなければ意味がない」という考えに基づいて、徹底的に貫くスタイルに、感激しました。

また、セリフだけでなく、ミュージカルの中に出てくる、歌でも、この方法を取り入れ、歌詞を一度母音で歌う、というのを毎日繰り返し基礎練として取り入れていました。訓練された歌声は、心に響く素晴らしいものでしたが、雰囲気だけでなく、「伝わっているか」「伝わらなければ全く意味がないのだ」というプロ意識を感じました。

よろしければお試しくださいね。

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