社員をロボットと考える弊社中国人経営者たち
先日不思議に思ったノウハウを共有しない同僚について書いた件について経営者と話し合う機会がありました。
その会議は2時間にも及んだのですが、結論から言うと次のような内容でした。
1)経営者は個人としてのわたしの仕事を評価している。
2)スタッフがノウハウを共有しない件に関しては、しょうがないと思っている。
3)ロボットとのようなスタッフとそうでないスタッフは区別しているので、わたしがそんなに心配することはない
このようなことを説明されました。
ここでわたしが気になったのは3番目の「ロボット」という表現です。
知的生産をおこなう業種でも「ロボット」と見なされる理由
わたしが思う「ロボット」でもできる仕事というのは、車や機械の組み立てなど決まり切ったことをおこなう作業のようなものでした。
しかし今回のミーティングで明らかになったのは中国人経営者たちは知的生産であってもロボットと同じように誰が行っても変わりがない流れ作業のように見なしているということです。
つまり日本語を教える、強いて言えば高考(中国の大学受験)や日本語能力検定試験で高得点を目指すのに良い教師が必要ではなく、必要な知識を学生がインプットするために必要な情報を提供できる機械のような人材が必要と考えているってことです。
確かにそうなれば動画や録音でも日本語を学べるわけですから、教師の形をしたロボットが必要な情報を提供できれば事足りるわけです。
そういう意味で経営者はわたしの同僚たちをロボットと表現したのでしょう。
ロボットに全体像を理解させたくない経営者たち
さらに驚いたことに、スタッフに教材や教案を作る仕事を依頼する場合に、仕事の全体を明らかにしないようにという指示もうけました。
つまりいつまるごとコピーされて持ち逃げされるか分からないので、仕事を小分けにして、それぞれの部分を各担当者に渡すように。できれば各担当者が横につながってそれぞれの作業を俯瞰して見ることがないようにと指示されました。
確かにコピー天国の中国ですから知的生産物を持ち逃げされることを恐れるのは理解できますが、ここまで徹底して信じないという対策を取るとは思いませんでした。
経営者はわたしのコピーを作ることを望んではいなかった
教育者の端くれとしてわたしはできれば他の人にも自分が習得したことを共有して、わたしが思いつかないような素晴らしいものを作り出すのを見たいと思っていました。
しかし経営者はそんなことを望んではおらず、わたしにできることを社内で行い、それを行うに必要な人材を提供することに関心があるようでした。
わたしが社内教育について自分の希望を説明すると、中国では無理でしょうね。もしそのことが実現したら、その人はすぐに転職するか自分で起業するでしょうって言われました。
そしてわたしのコピーは必要なく、わたしにできることを社内で行って欲しいと言われ会議は終了しました。
ちょっと恐怖を感じる展開になってしまった
中国人の友人に顛末を説明し、意見を求めると「信頼されているんだから、ありがとうございます。って言えば良いんだよ」って言われましたが、わたしが思うにわたしもロボットに過ぎず、もし別のわたしより仕事ができる、もしくは同じ事を低コストでできる人材が現れれば交代されてしまうのかな?なんて思ってしまいました。
しかし中国人の義理と人情は思いがけず深いこともありますし、今のところ人間関係も順調なので心配することもないのかもしれません。
ただちょっと自分の仕事に恐怖を感じてしまいました。
華村さんもnoteで次のように言及されていました。
“中国の「外婚生共同体家族」を基礎とした社会に見ています。一人の権力者(「家父長」と表現される)に権力が集中し、組織はその権力者と、その構成員(「息子」)との一対一の関係の束で出来ている。つまり「息子」たちの立場は権力者のもとでフラットであり、互いに独立している。”
たしかに仲間のようでライバルなのが社内の人間関係なのかもしれません。
ある会社に所属するというのは戦国武将の配下に加わるようなものなのかんと。
共通の目的や敵がいるかもしれませんし、共同してなにかを行うこともあるかもしれませんが、決して心を許してはならず油断もならない。かなり殺伐としたもので、利害関係が見え隠れするあの雰囲気が笑顔の後ろにあるのかな〜なんて思ってしまいました。
とはいえロボットと思われていようが、そうでなかろうが才覚を見込まれて登用されたのですからできることを行っていこうって思う気持ちもあり、人間って複雑だな〜なんて思っています。
というわけで明日も張り切って仕事します。それがわたしの生き方ですし、選んだ人生ですから。
ぜひぜひ、サポートをお願いします。現在日本円での収入がなく、いただいたものは日本語教材や資料の購入にあてます。本当にありがとうございます。