絶対に成功する新規事業の作り方〜「クマーバチャンネル」誕生物語〜
今日も見ていただきありがとうございます!
株式会社Kumarba代表の樋渡(ひわたし)です。
前回は会社の自己紹介と今後の展望を書かせていただきました。
今回はどうやって「クマーバチャンネル」ができたのか、なぜYouTubeで成功できたのかを共有したいと思います。
会社で新規事業を担当されている方や、YouTube担当の方など参考になるかなと思って書きました。
「クマーバチャンネル」YouTubeデータ
「クマーバチャンネル」はYouTubeで初めて動画を投稿した2019年5月1日から3年4ヶ月で総再生回数5億3000万回と、とんでもなく再生されています。
クマーバたちは3DなのでVTuber(バーチャルYouTuber)のカテゴリに属するですが、VTuber総再生回数ランキングで なんと3位です!!
このランキングにキッズ向けキャラがいるのは いびつですが…
100名以上が所属するVTuberグループ「にじさんじ」公式さんより総再生数が多いのがびっくりです。
また、おうち時間が増えた2020年では、YouTube再生数ランキング【VTuberカテゴリ】にて年間1位を獲得しました!
このニュースを、2020年12月9日放送のテレビ朝日「スーパーJチャンネル」さんでご紹介いただき結構な反響をいただきました。
では、なぜ短期間でこんなにもYouTubeで再生されるチャンネルができたのか? そもそもなぜ新規事業が成功したのかをご説明します。
僕としては以下の2つが成立すれば、新規事業が成功すると思っています。
ブルーオーシャンを探して、他人が真似しにくい企画を立てる
コスト極小で検証し、見込みがあれば事業化する
1、ブルーオーシャンを探して、他人が真似しにくい企画を立てる
2018年10月、当時株式会社アカツキで新規事業のプロデューサーだった僕は、ゼロから新しい事業を作ることを考えていました。
そこで目に止まったのが、当時も今も伸びているYouTubeです。前職がテレビ番組のディレクターだった経験から、映像が好きだし得意だしというのもあって、YouTubeで何か新しい事業をつくろう!と思い企画を考え始めました。
YouTubeで何をやるか?
当初企画していたことは、以前担当していたイベントの新規事業で若手ミュージシャンの方々と繋がっていたので、その人たちを集めてYouTubeでコンテンツを作る企画書を作りました。
この企画を、当時アカツキのCOOだった香田哲朗(現・アカツキ共同創業者 代表取締役 CEO)に持っていったのですが、一蹴されて金言をもらいました。
その通りだぜ…!!
そこでYouTubeという軸は残しつつ、YouTubeで何をやるかを考えることにしました。
YouTubeで再生されているジャンルは?
我々はマーケットイン(ユーザーの声を聴き、ユーザーの課題を解決すものを市場に投入する考え方)の発想で、当時何がYouTubeで見られているかを調べました。
すると、日本の月間再生数のランキングTOP10のうち4つもキッズ向けチャンネルだとわかりました。
さらに、バンダイさんの調査で「学校の授業以外で子どもが時間を使っていること」の中で、4割以上の子どもが「テレビ以外で動画視聴(YouTubeなど)」を楽しむという結果が分かりました。
以上、「YouTubeではキッズ向けチャンネルが再生されている」、「子どもはYouTubeを見ることが日常化している」ことより、YouTubeで狙うジャンルは「キッズ向け」に決定しました。
キッズ向けで何をやるか?
一概にキッズ向けと言っても、ターゲット年齢やコンテンツの幅があります。
そこで、社内のパパ・ママに、「お子さんがどんなYouTubeチャンネルを見ているか?」のアンケート調査を行い、以下ような相関がわかりました。
これでわかったことで大きかったのは、「5歳になるとヒカキンさん等のトップYouTuberの動画を見るようになる」ことです。
そうなると絶対に勝てないので、0〜4歳をメインターゲットにしたコンテンツを考えることにしました。
僕としても息子が生まれたばかりのタイミングだったので、自分の子供のためのコンテンツを作るのは最高だなと思ってワクワクしていました。
ベンチマークを発見!!
YouTube上で0〜4歳向けのコンテンツをリサーチしていたところ、韓国の企業が配信している「Pinkfong(ピンクフォン)」というチャンネルの、「Baby Shark」という動画が当時19億回再生されているを発見しました。
※2022年9月現在「Baby Shark」は112億回再生され、YouTubeで最も再生されている動画になっています。
3DCGのキツネのキャラクター・Pinkfong(ピンクフォン)が、歌とダンスでコンテンツを展開しているチャンネルです。英語チャンネルを起点に、日本語、韓国語、ポルトガル語など多ヶ国語展開しています。
グローバルを見るとキッズジャンルでは、3DCGのキャラクターが歌とダンスを歌っているチャンネルが伸びていることがわかりました。
日本でもボンボンアカデミーさんなどのキッズソングを扱うチャンネルが伸びていたので、「日本のYouTubeチャンネルでも未就学児向けのキッズソングコンテンツ」の需要があることがわかりました。
ただ、Pinkfong(ピンクフォン)のような3DCGのキャラクターが歌って踊っているチャンネルはなかったので、ここにブルーオーシャンがあるのではないかと思ったのです。
さらに、3DCGのキャラクター開発は、個人では参入障壁が高く企業じゃないとなかなかできません(企業でも知見がないと難しい)。香田が言っていた、「企業じゃないとやれないジャンルで勝ちにいこう」の精神にも合致していました。
2、コスト極小で検証し、見込みがあれば事業化する
「よし!いい企画ができた!会社から予算をとって、かわいいキャラクターをつくるぞー!」と意気込み、香田に企画書を持っていきましたが…
またしても一蹴され金言をもらいました。
その通りだぜ…!!
そこでまずはお金をかけずに、仮説が成り立つのかYouTubeで動画を出してみることにしました。
コスト極小で動画をつくる
ベンチマークは、Pinkfong(ピンクフォン)のような3Dキャラクターがキッズソングを歌って踊る動画です。これをコスト極小で作ります。クオリティは一旦無視します。
以下の要素で出来そうだとわかり、制作に取り掛かりました。
【3Dキャラクター】
ネット上にあった、フリーの可愛い犬のMMDモデルがあったのでこれを使用させて頂きました。わんちゃんを動かすMMDソフトも無料だったので大変ありがたかったです。エンジニアではない僕でも調べたら動かすことができました。
【モーションキャプチャ】
カメラで人間のジェスチャー動作を読み取ることができるKINECT(キネクト)を使ってわんちゃんを動かしました。
当時Amazonで2,980円で購入したのですが、今見たらバージョンが新しくなったのか値上がりしていました。
こんな感じで僕が踊った動きをキネクトが画像解析で読みとってくれて、わんちゃんが動くモーションキャプチャの仕組みが出来上がりました!
動画で使用する背景イラストは会社が契約しているAdobeストックで、キッズソングの音源はネット上にあったフリーのカバーソングを使わせていただきました。
全てそろった素材をもとに、僕は前職がテレビのディレクターだった経験から自分で動画を編集し完成させました。
11月だったので、クリスマス需要を狙い「あわてんぼうのサンタクロース」を楽曲に選定。歌に合わせてわんちゃんがダンスする動画を作りました。
香田からアドバイスをもらった2日後にプロトタイプ動画を完成させるスピード感!まさにベンチャー企業!!
プロトタイプをYouTubeで配信
2018年11月22日、プロトタイプの動画をYouTubeに配信しました。検証チャンネルのためSNSでのシェアは一切なしで、純粋にオーガニックでどれくらい再生されるのかを検証しました。
配信1週間後の分析結果がこちら。
誰もシェアしていない動画でも100回以上も見られるんだと驚きました!
視聴者維持率(1つの動画を視聴者が見続けた割合)のグラフを見ると、顕著に離脱しておらず動画を見にきた人がしっかり見ていることがわかりました。
動画の価値は「視聴者維持率」であると定義し、再生数ではなく視聴者維持率を追うことに決めてプロトタイプの動画配信を継続しました。
再生回数はまだまだですが視聴者維持率は40%をこえる動画が多くあり、動画として価値があるとわかりました。
ちなみに視聴者維持率が高いとYouTubeが良い動画と判断し、YouTubeからオススメされやすくなると言われています。
結果的にプロトタイプの動画をYouTubeで9本配信し、全ての動画で視聴者維持率40%を超え、1ヶ月で16,755回も再生されました!
企画としては、動画を4本配信したくらいで「日本で未就学児をターゲットにした3Dキャラクターが歌って踊るチャンネルをスタートすると再生されるのではないか?」という仮説が成り立ってるとわかり、事業化することになりました!
新規事業成功の秘訣:まとめ
ブルーオーシャンを探して、他人が真似しにくい企画を立てる
コスト極小で検証し、見込みがあれば事業化する
この2つが成り立つと新規事業の成功の角度が高くなると思います。
少しでもみなさんの参考になりますと幸いです!
次回は、「YouTubeでヒットする企画の考え方」か、「キャラクターの作り方」のどちらかを書きたいと思います。
(決まっておらずすみません…)
「Kumarba社と何か面白いことをやりたい!」
「キャラクターや動画を作ってほしい!」など、お気軽にお問合せフォームやTwitterよりDMをお送りください!
・問い合わせフォーム
・代表・樋渡(ひわたし)Twitter
・株式会社Kumarba:HP
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