サッカー

稲本Tシャツとお寿司屋さん。

ワールドカップがはじまる。オリンピックでもそう思うけど、4年って早い。あっという間だ。

今23歳の長男は、小学校に入学してからサッカーをはじめた。けれども弱小チームで、3年生になるときには先輩も後輩もいなくなり、同級生4人だけ。試合もできずに解散になってしまったのだけど。

2002年のワールドカップのときには、サッカーをはじめたばかりでルールもあまり知らなかった長男。それでも一緒にワールドカップを楽しもうと、Tシャツなんかを買って家でテレビを見ながら応援していた。
長男は当時ACミランが好きだったので、なぜかミランのTシャツ姿で日本を応援。次男はまだ2歳でわけもわからなかったが、私の独断で稲本のTシャツを着せていた。

応援とはいえ、私も詳しいルールはわからない、完全なにわかファン。長男に「オフサイドって何?」と聞かれて、「うーん。ゴール前のゴタゴタのことやな」なんて言ってたことを思い出す。笑

ワールドカップが終わっても、次男にはよく稲本Tシャツを着せていた。結構なお値段だけど、翌年にはもう小さくなって着れないからね。

そこから月日は流れ、2歳だった次男が小学4〜5年生のときだっただろうか。そのころには一緒に買い物についてくることもなくなっていたけれど、その日はたまたま何かの帰りだったのか、次男と一緒に近所の持ち帰りのお寿司屋さんに行き、お寿司を購入。するとお店の方が次男にこう言った。

「大きくなったね」。

え?このお店、確かに次男と一緒に何度か来たことはあるけれど、小さいころ、たま〜に。ここ数年は私1人だし、それでも数ヶ月に一度ぐらいだ。お店の店員さんも数人いるため、いつも同じ人が対応するわけではない。それなのに「大きくなったね」という、久しぶりに会った親戚のおじさん的な言葉。不思議に思ってポカンとしていると、

「稲本のTシャツ、着てたでしょう。小さいころ」って。

いやいや、めっちゃ覚えてはるやん。お客さん商売とはいえ、記憶力がすごい。人の顔を覚えることが苦手な私は、ただただ驚くばかりだった。

「そうです、そうです! 今は遠藤が好きなんですけどね」(母の好みは聞いてないか)なんて、少しお話をしてからお店を後に。次男と一緒に、「あの人、すごいな」と話しながら家に帰った。

私は友達の子どもでも、何年か会わないとわからなくなるけれど、どうしてすぐにわかったのだろう。

その人が稲本のファンだったのか。次男の顔が全く変わっていなかったのか。もしくは稲本Tシャツを本当に鬼のように着せてしまっていたのか。たぶん、どれかが正解。