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マッチングアプリでヤリモクに遭遇した話①

※全5話で完結予定です。

マッチングアプリを利用して結婚したカップルは、この1年で結婚したカップルの約4分の1を占めるらしい。

少し前までは出会い系ね、みたいな印象だった気がするが、今やすっかりポピュラーな存在となった。
職場でも「マッチングアプリで知り合って、結婚したんです。」と普通に話しているし、それを聞いても「最近多いですよねー。」くらいの反応だ。

私も一時期、マッチングアプリを使っていたことがあった。
いろいろな人に会ったが、幸いなことに「普通に良い人」が多かった。
マッチングアプリの中でも婚活に特化したアプリだったからかもしれない。
そんな中、1人だけ明らかに毛色が違うタイプの人がいた。
それが今回の話に出てくるヤリモク男だ。

その男は、高学歴、高収入、高身長と揃った上に、見た目も良かった。
条件がいいので当然人気会員だった。

「3高の時代は終わった、今は3低の時代だ。」とか、「男は顔じゃなくて中身だよ。」とか、世間ではいろいろ言うけれど、いつの時代も人気なのはこういう男なのだ。

そのマッチングアプリは検索すると、人気会員順に出すことができ、その男はいつも上の方に出てきた。
始めたばかりということもあり、私はとりあえず人気男性に片っ端から「いいね」していた。

マッチングアプリでは、相手からも「いいね」が返ってくるとマッチングが成立して、やり取りができるようになる。

私がいいねを送って数時間後、ヤリモク男とのマッチングが成立した。

🧸「マッチングありがとうございます!くまのです。よろしくお願いします。」
🚹「よろしくお願いします。くまのさんスタイルいいですね 何かやってるんですか?」


私は全身が写った写真を載せていた。
でも、水着や露出の多い服ではなく、ごく一般的なワンピースを着ている写真だったので、スタイルなんてわからんやろ、と思った。

というより、初っ端からスタイルに言及する人ってなんか…

はっきり言ってキモい。

イケメンだろうが高収入だろうが、気持ち悪いもんは気持ち悪い。
うえーと思いつつ、せっかくマッチングしたのでやり取りは続けてみた。
とにかく条件はいいのだ。
でも、いかにもチャラそうな感じだった。
「出会いさえあれば、モテモテなんですけどねぇー」とか自分で言ってたし。

その男は、過去の恋愛の話とか、好きな男性のタイプとか、そんな話しかしてこなかった。
私は仕事とか趣味の話の方が好きだったので、つまらなかった。

🚹「前の彼氏とはなんで別れたんですかー?」
🚹「どういう人がタイプなんですか?」
🚹「このアプリで誰かいい人いましたか?」


どういうふうに別れてたとしても、誰かいい人に出会っていたとしても、おまえには関係ないだろと思った。
逆にいい人がいたとして、
「はい、とってもすてきな人と出逢っちゃいました💖」と言うと思うか?
と心の中で毒づきつつ、

🧸「いえ、まだアプリ始めたばかりなので、いいなと思っている人はいません。誰かに会ったりもしていないです。」

大嘘だった。
何人か会っていたし、このやり取りをしている時点で気になっている人がいた。

🚹「ふーん、誰とも会ったことないんだ。よかったらオレ練習台になりましょうか。」

私はこの1週間後に気になる人と会う約束をしており、その人に気に入られたかった。
いかにもモテるであろうこの男とデートの予行練習をするのは、とてもいい考えのように思えた。
自ら練習台を名乗り出ているんだし、本当に練習台にしたって構わないよね。

🧸「じゃあ、練習台になってください!」

こうして次の休みの日に、私はヤリモク男とご飯に行くことになった。


次回、ヤリモク男と対面する。

ご期待ください。


つづく

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