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たまに短歌 盛夏過ぎ

記録的熱き大地を照らす陽を
取り巻き泳ぐ大きな鰯

きろくてき あつきだいちを てらすひを
とりまきおよぐ おおきないわし

昨年、急に思い立ってエアコンを買った。2013年5月からそれまでの間、エアコン無しで東京都調布市の夏を過ごした。調布は多摩川という比較的大きな川とその支流が流れているため、水流と起伏に富んでいる。このため風が朝晩向きを変えながら吹いている。気温は高くなっても、窓を開け放っておくと、耐えられないほどではない。

とは言うものの、毎日のように空を見上げては雲の様子を観察し、夜には虫の音に耳を澄まして季節の移ろい、殊に夏から秋への早々の移ろいを祈るのである。エアコンを設置してからは祈りの度合いは低下したが、それでもやっぱり気にはなる。

今朝、通勤途上で空を見上げたら、鰯雲が広がっていた。鰯雲、鱗雲は、俳句では秋の季語だ。気象では巻積雲と呼ばれるもので、前線や台風が接近する前兆なのだそうだ。確かに明日は雨の予報になっている。

気になるのは虫の音のほうで、今年は総じて静かな気がする。気温が高すぎて虫が暮らしにくい環境になってしまったのか、別の理由なのか。温暖化も生態系の諸問題も最大の原因は人間の異常繁殖とその身勝手にあるのだろうが、だからといって私が何をどうしたらよいのやら。ま、とりあえず空でも眺めますか。

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