焼石に水
里帰り照らす陽射しは変わりなく一億五千万キロの熱
夏休み暑さはいつか忌避の的国民総出我慢大会
暑くても家で徒然耐えられず不要不急の外出ばかり
世間は夏休みだというのに私は休暇をとることができずカレンダー通りの生活。今年は8月11日から13日までが連休だったので、この時期に新潟県柏崎市にあるツレの実家に帰省する。コロナ前までは、新潟の海沿いの地域は、少なくとも東京よりは過ごしやすかった。ところが、昨年の夏も今年の夏も、柏崎は暑かった。確かに、熱源である太陽からの距離ということであれば、東京であろうが柏崎であろうが約一億五千万kmでほぼ同じだ。「避暑」と称して地表上を移動しても、山に登ったり海に潜ったり上下数百メートルばかり移動しても、結局は気休めでしかない。しかし、気が休まるというのは、たぶん、我々の心身の健康にとっては大事なことだ。思い返せば、気休めばかりの60年だった。
確か、5月頃は「夏の電力不足が」どうじゃらこうじゃらと騒いでいた気がするのだが、その夏の真っ只中にあって「電力不足」の話は聞かなくなった、気がする。台風や豪雨で各地に被害が出ている中で上から節電だの我慢云々は言い出しにくいということもあるだろう。勝手な想像だが、「電力不足」は原発の再稼働をしたい大本営の発表で、7月に国内最古の高浜1号機の再稼働が実現して、他の原発の再稼働にも大凡の目処がついたので「電力不足」カードを引っ込めたのだろう。福島の事故の後、国内の原発は実質的に全て運転を停止していたが、昨年の美浜3号機に続いて、今回は同じ関西電力の高浜1号機の再稼働が決定し、政府としてもホッとしていることだろう。
国際社会での当面の課題はCO2とPFASの削減らしい。とにかく化石燃料の使用を削減しないことには国として世界に顔が立たない状況のようだ。いろいろあったけれども、世界屈指の原発大国である日本の電源政策が原発抜きに成り立つはずがないのである。原発は建設したら最後、耐用年数を過ぎて廃炉にしても、跡地を利用することができない。とにかく在るものは使う、耐用年限を迎えたら延命策を打つ、その策も尽きたら建て替える。せっかく確立した核燃料サイクルを維持することが肝要なのである。なぜか。長くなるので書かない。
ちなみに柏崎には東京電力の柏崎刈羽原発がある。7基の原子炉を持ち合計821万Kwhの出力規模は世界最大だそうだ。2004年の中越地震では特段の被害はなかったが、2007年の中越沖地震では、非公式ながら敷地内の地震計が震度7に相当する値を記録し、3号機の変圧器が出火、僅かではあったが放射能漏れもあった。日本の電源政策での位置付けは当然大きいが、地域経済にも多大な寄与がある。このあたりの話は別の機会にするかもしれない。
そんなわけで気兼ねなくエアコンを使い、シロウト考えの暑さ対策をあれこれ行うのだが、局所的に冷やしたところで焼石に水だ。結局、我慢するより他にどうしようもないのである。我が家も昨夏まではエアコン無しで過ごしてきたが、ついに今年6月に近所の家電量販店でエアコンを購入し、寝室に設置した。祝、眠れない夜からの解放。
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