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月を見ると思い出す#短編未満5

今やっている習慣は、いつから行っているのだろうか。鏡の前でリップを塗りながら、思い出してみた。

元カノにプレゼントとしてもらったリップクリーム。別れたときに元カノのものは全部処分したけど、リップクリームだけは使い続けていた。使い終わったあとに、自分で色々試したあと、お気に入りのリップに出会い、元カノのお陰で、この習慣を続けている。

別れたというよりも、彼女はいなくなった。忘れられなくて、彼女のものを捨てる。

彼女は変わり者だった。ずっと、ツキが故郷であると言う。ツキの上で、うさぎが餅つきをしているらしい。僕は、ツキが何かを知らなかった。

遠くの星で、隕石がぶつかったようだというニュースが流れてきた。その星は2つに分かれてしまったらしい。
彼女はバタバタしている。迎えが来る、彼女はそう言い始めた。

8月15日。そのニュースが流れた日に、彼女は姿を消した。



地元に戻った私は、豊かで不自由な生活をしている。以前よりも目が悪くなった私はメガネを変えた。ブリッジを中指で押す。この習慣は、いつから行っているのだろうか。

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