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「#旅のようなお出かけ」企画に参加してくれた、ととさんの「直進」を読んだ感想。

 おかげさまでいろんな人が参加して下さり、感想のペースをそろそろ上げて行かなければなりません。もちろん丁寧に感想を書かせていただきます。(今までのんびりやり過ぎていただけです)
 さて今回は第9弾のととさんの「直進」小学生が主人公のお出かけですが、大人と違った独特な展開があります。



1、転校生としての苦悩

 主人公は転校生。沖縄から大阪に転校してきました。6年生と言う立場は子供でありながら少しずつ大人に近づいている過渡期。そのことが災いしているのか?いきなり新しい環境になじめず困っています。初日から「銭湯」という馴染みのない文化体験を同級生進められますが、とてもそれについていけません。
 しかし別に地元の子供と距離を置こうとかそういう気持ではなく、ただの「言葉の壁」に苦悩する状況です。それ以上に前向きな姿勢。
「大阪弁に慣れて習得すればこの地でやっていける」と。

2、大坂の子供は積極的?

 せっかく誘ってくれたのに、断ってしまったことへの負い目がありながら、相変わらずひとりで自問自答を繰り返す主人公。学校でもひとり静かに読書を楽しみます。しかし同じクラスの大阪の子供はその苦悩する主人公を見逃しません。

 目があったと思えば、三人組が話しかけてきます。ここで向こうも新入りの主人公と仲良くしたいという気持ちの表れが伝わります。チャリ(自転車)を持っているかと質問し、有ることを確認するといきなり日曜日の朝に待ち合わせを打診。積極的な彼らの前に主人公はようやく委ねて見ることにしました。そして日曜日初めて一緒に遊ぶことになりました。

3、ただ「直進する」という自転車のお出かけ

 主人公は、マウンテンバイクを所持していました。作品には記載していませんが、転校前に滞在していた沖縄の南の海を、愛用の自転車でさっそうと走っていたのでしょうか?

「まっすぐ行くねん。」
「えっ?」
「せやから、この道をまっすぐ進む。それだけ。」

 誘って来た大阪の三人は、特に目的もなく出かけようと提案します。ただ直進することだけを目的に。小学6年生ならそれなりに体力もあり、また子供らしい好奇心も旺盛な世代です。
 もしこの自転車で道をまっすぐに走ればどこに行くのだろう。もちろん究極には地球を一回りするのだろうけど、それはさておき、自転車で行けるだけ行こうなりました。目標は見たこともない直進の果てにある公園です。好奇心と冒険心が入り混じった子供たち。これが中学からさらに上の世代になるとまた変わってしまうかも。

4、直進先で出会ったものは

 さて、言われるままに直進して自転車を走らせます。その先には何があるのか?冒険心を持ちながらのお出かけは、その距離が実際にはわずかだとしても旅の醍醐味が感じられます。そして主人公が感じていた、精神的なおなかの痛みもこのお出かけを通じて和らいでいきました。途中大阪弁を教えてもらいながら、気が付けばある公園に到達。
 そこで昼を食べ、その後は思う存分遊ぶと、同じ道を引きかえす。今日通った直線道。恐らくは同じ道だからそれを思い出しながら戻る道でしょう。戻ってきたときにはすでに茜色に輝く星空。転校して初めて充実した1日。
 そして最後に思い切って主人公が発した大阪弁の結果は... ...。

5、もし私がこの小説書いたら?

 そうですね。多分主人公が沖縄出身だから沖縄の言葉も少し取り入れて見ることをするかもしれません。「めんそーれ」「だからよー」とか。会話の中で、主人公が無意識に方言が出てしまったのに対して。大阪の3人が驚くようなそぶりを見せたり、逆に沖縄の言葉を知ろうとしたりとかです。

 あと、私の場合は特にリアリティにこだわるのが好きなので、行先を特定してしまうかも。調べると自転車は時速15~20キロほど走れるそうで、2時間なら30キロは走れることになります。地図を見ると大坂の場合なら南北に縦長。例えば公園じゃないけど、豊中市にある大阪空港の滑走路前の
千里川土手に到達したというのも面白そう。
 そこは航空ファンが離着陸の飛行機を追いかけるスポット。30キロなら大阪市を突き抜けて堺市あたりから向かえば、ちょうどそんな感じかと。そして巨大な飛行機の機体が大きなジェット音を吹かしながら真上を通過。両耳をふさぎながら「うわぁ。めっちゃ大きい!」とか、そんなことを子供たちに言わせてしまいそうです。

まとめ

 小学生で出来る、「お出かけ」で、一番気軽でかつ距離が進められるのは自転車。そんな大人に限りなく近い6年生の子供たちの冒険心が旺盛な物語。読んでいると自らの子供時代を思い出しますした。
 それから「大人の事情」として異なる文化の地に行くことになった主人公。最後に初めて大阪弁を語り、少しずつ文化に溶け込もうという姿勢。
 その積極的な経験が彼にとって大人なって行くうちに、すごく役立つのものになるのではないか?そんな気がしました。 



※事前エントリ不要! 飛び入りも歓迎します。
10月10日までまだまだ募集しております。(優劣決めませんので、小説を書いたことが無い人もぜひ)

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