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「#旅のようなお出かけ」企画に参加してくれた、あずき さんの「ピンク色の海に抱かれて」を読んだ感想。

 8月上旬からのロングラン企画も、気が付けば明日が締め切りの最終日。長いかなと思いつつ、あっという間に終わろうとしています。おかげさまでいろんな人の小説をじっくりと読ませていただける機会に恵まれました。ただ締め切り後も、もう少しこの感想記事を書くことになりそうです。

 第二十五弾のあずきさんの作品は、お出かけとは対極的にいるインドア派の人が主人公の作品。でもアウトドア派のパートナーがいるためにお出かけするという内容となっています。



1.インドア派主人公のパートナーはアウトドア派

 お出かけするにしても、機会があれば積極的に出かける「アウトドア派」と、どちらかといえば家でのんびりしている「インドア派」に分かれるだろう。多分私などは後者に近い。普段は小説書いたり、こうやってほかの人の小説を読んで感想を書いたりするから。でも「いざ」というときにはお出かけする。(今年はもう無理だけど、東南アジアまでも行ってしまう)。
 主人公の女性もそういうインドア派。特に用事がなければのんびりした休日を過ごします。

2.「連れていかれる」ように始まるお出かけ

そう言うと彼は瞳を輝かせながらこちらを見つめる。さながら散歩をねだる大型犬だ。そして私は、この表情にめっぽう弱い。

 一方で、パートナーである彼は、アウトドア派のようです。上の引用のように大型犬のように外に散歩・お出かけをしたい人なんでしょうね。で飼い主じゃないけど、せがまれると弱いのです。
「そんなに遠くない」「ちょっとした気分転換も兼ねて」といったことをいいながら、どうしてもお出かけしたいモード全開。主人公は渋々了承します。

3.不安が募る移動の時間 

 主人公とパートナーの彼はこうして車に乗り込みお出かけ開始。でも行き先を聞いていません。「着いてからのお楽しみ」と、はぐらかしながら、ふたりの思い出の曲か?懐かしい音楽を流しました。そして久しぶりのお出かけを彼は楽しんでいます。

 しかし主人公は内心不安が募っています。「どこに連れて行く気なんだろう」というほうが先行しました。車なので「近い」といっても、それなりのところまで移動できますから、見慣れない田園風景など見ると余計にそういう風になりますね。

4.サプライズ的な目的地

 ようやく車は停車する。主人公は見覚えのある風景だと直感するもまだはっきり思い出せない。彼はといえば「少し歩く」と言って歩くが、インドア派の主人公はすぐに意気が上がる。再度行き先について問いただすが、「もうすぐ分かる」としか答えてくれない。精神的な不安と肉体的な疲労の二重苦にあえぎながら、ようやく到着したのは。一年前にテレビの特番で見たあのピンクに染まっている風景。
 パートナーがひそかに練ったサプライズ計画は、主人公の気持ちを一気に明るくハッピーなものにしたのでした。

5.もし私がこの小説書いたら?

 そうですね。全体のストーリの流れが良いので、あとは細かいところを少し強調してみたい気がしました。例えば移動中に流れるBGMがどういうもので、どんな思いあるかとか、車を降りて登りながら息が切れるときに、感じる主人公が彼に苛立ちのような言葉を浴びせかける。そしてサプライズの場面で感動しながら、彼が教えてくれたテレビのシーンをもう一度振り返り「本当にテレビ見たのと同じ風景だ。でも画面ごしと、すぐそこにリアルに感じる空気は全然違うけど」みたいなのを加えてみたいですね。


まとめ

 誕生日とかそういう記念日になると、当事者を喜ばせようとサプライズをすることはよくあると思います。今回は記念日だけでなく、過去に見た特番の思い出。その季節を待って行われたサプライズです。不安と苛立ちというマイナス感情から、一気にプラス感情に持っていけるこのお出かけは、ハレの舞台そのものだと思いました。
 また最後に登場する風景も読みながら情景が浮かび、物語を読んでいる立場は、第三者でありながら存分に楽しめる。そういう作品のような気がしました。 


まだ間に合います。10月10日まで募集しています。
あと1日と少し。よろしくお願いします。

第一弾が販売されました。

#旅のようなお出かけ #感想 #あずきさん #ピンク色の海に抱かれて #読書感想文

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