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「#旅のようなお出かけ」企画に参加してくれた、ハゲのタイタン さんの「赤い糸」を読んだ感想。

 旅やお出かけは、出張ついでとか海外渡航先で肝に銘じないといけない「緊張と」言ったことを除けば、基本的にリラックスするためのものですし、実際そういう効果があります。
 ただ緊張するお出かけというのは例外的にあって、それははじめてのデートのとではないでしょうか?

 第二十六弾のハゲのタイタンさんは、どの記事にも多くのコメントが寄せられる人気のnoterさん。私の小さな企画にも、「初デート」というお出かけをテーマに、顔を出してくださいました。



1.5分ごとに確認する時計

 舞台はお出かけの最中からスタートします。電車の中で主人公(タイタンさんご自身)は、5分おきとやたら時計を気にします。でもそこはいつもの通勤ルートだったのです。いつもなのになぜ気になるのか? もちろん会社に遅れるのではなく、また友達の約束に間に合わないでもない。初めて会う異性とのデート。いきなりの遅刻はあり得ません。
 電車の移動中だから時計を見ても本当は意味がないのですが、今の主人公にそんな余裕はないのです。でもあるタイミングで「もう大丈夫」と確信した模様。そしてときめく心は、車窓から見えるいつもの風景までもが美しく感じさせるのですから、人間の感情は本当に不思議なものです。

2.初デートの相手はSNSで知り合った

 そんな初デートの相手はSNSで知り合ったといいます。ネットそれもSNSがこれだけ発達すれば、今では結構メインの出会いなのかもしれません。この感想記事ですら、SNSで知り合った方(ハゲのタイタンさん)の作品を読んで書いているのですから。そして、アイコンの写真をスマホでチェックすると20代前半。しかし主人公は外見ではないところに、魅力を感じたのです。

 「あなたの痛みも私のものです。」

 文章だけのやり取りで、相手の内面がどこまでわかるかは未知数。ただ主人公は頭から離れない衝撃の言葉だったのです。さてトリスと名乗るこの女性はどんな素敵な方なのだろうか?待ち合わせの駅に近づくたび気持ちがどんどん高揚して行くのがわかります。

3.トリスさんに犯しまった罪

 実は主人公は、ひそかにやってはいけない「罪」を犯してしまいました。それは年齢の詐称です。それは実年齢の半分にも満たない年をプロフィールに書いてしまったのです。
 もっと早く年齢のことを謝罪すればよかっのかもしれない。でもできなかった。あの言葉を発する彼女に嫌われたくなかったのだ。いやきっとわかってくれる。とにかくあってすぐに誠意をもって謝罪するしかない。たとえどのような結果になろうとも。

 主人公はそのように何度も自問自答をしたのでしょうか? 期待と不安が入り交じり、ひょっとしたら心臓の鼓動が耳元から聞こえているのかもしれません。
 そして待ち合わせ場所は駅前のファミマ。そこには、docomoの赤い紙袋を持っている女性。この具体性のある固有名詞が、臨場感をより引き立てます。

4.赤い糸の出会いに年齢は関係ない

 ついに駅に到着。改札を出るときの緊張は最高に上がっているはずです。駅前にはファミマがあり、そこに赤い紙袋を持ったふたり。首を振る若い男、和服の50歳代の女性がいた。「まだ来ていないようだ」とりあえずトリスさんより、先に到着して少し安どの色が出た模様。

 ここで遅刻しているのか? 予定時刻よりも10分遅れ。ここで読者に「ネタバレ」と問いかけているのが面白いですね。
 さあ、そんなことを言ってたら、和服の女性が突然近づき「タイタン」の名を呼びました。

 そう、この女性がトリスさんだったのです。旧姓を名乗りながらアピールし娘の写真を貼ったことを詫びました。思わぬどんでん返し。これが一般的な男性なら怒りのひとつも起ころうものの、主人公も年齢を詐称していた。つまりお互い様だったのです。お互い罪を犯しながらここで見事に相殺。水に流れていきました。

 そしてSNSの場にてやり取りされたコミュニケーションで、オフの場でも会うとまで約束したふたり。もう内面上の性格はわかっています。タイトルの「赤い糸」で結ばれるであろうふたり。あとは実際に話してどう盛り上がるのか? 過去に行ったネットのやり取りを振り返りながらの会話からスタートしそうです。 コーヒーではなく魚の旨い店でお酒を飲むことを語り合いながら、それまでの緊張もうそのよう。楽しいお出かけは、これから始まるのでした。


5.もし私がこの小説書いたら?

 そうですね。これ最後のこの後のお店を決めるやり取りが3段階になっていて非常に感覚が良いのです。
 でもトリスさんが普通に「ええ。」が三回続いたので、そこに違いを出してみるかもしれません。例えば最初は普通に「ええ。」、2回目は小さく「ええ。」と言いながらも、そのほうが良いとばかりに何度もうなづく、そして3回目は大きく目を輝かせながら「ええ。」という風にすると何となくトリスさんの関心の高さも、はっきりするのかなという気がしました。
 声のテンションを変えないというこだわりなら、ジェスチャーだけで表せても面白いかもしれません。

 あとは、主人公のほうにも目印があったほうが。向こうがdocomoなら、いっそのことauかソフトバンクの袋を持っていくなどと言う。そして待っていると、向こうも10分間迷いつつ「間違いないと」確信。思い切って声をかけたって展開のほうが、スムーズな気がしたので付け加えそうです。

まとめ

 SNSという外見のわからない出会い。だからやってしまう年齢詐称。でも内面でのやり取りが意思疎通できて、心地よければ年齢は関係ないということなのでしょう。でも罪を背負いながら、そして初めて会う人というドキドキ感が得られる緊張感あふれるお出かけは、そのときはたまりませんが、あとから良き思い出になって戻ってくるもの。
 ひょっとしたらタイタンさんとトリスさん、早くもおいしい魚を肴にうまい酒を飲みながら、そんなエピソードを楽しく語り合っているのかもしれない。そこまでの光景を頭に浮かべられる作品でした。

 余談ですが、ハゲのタイタンさんはてっきり土星の衛星「タイタン」だとばかり思っていましたが、ご本人曰く「ハゲ(カワハギの地方名)を炊いたん」という意味だそうで、これには本当に驚きました。
 ネーミングの由来は面白いですね。(ということはふたりが入った店では、カワハギの煮つけを肴にトリスウイスキーを飲んでいるでしょうか?)

まだ間に合います。10月10日23時59分まで募集しています。
 ※日本時間にこだわらず、時差も考慮します。
(原則なのでご一報くだされば、時間に間に合わなくても問題ありません)
あと数時間程度。最後のお願いというわけではありませんが、よろしくお願いします。


第一弾が販売されました。

#旅のようなお出かけ #感想 #ハゲのタイタンさん #赤い糸 #読書感想文

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