とんでもなくストレスが溜まりそうな館で起こる、ストレスフルな殺人
今日もお疲れ様でございます。くまくです。
成人式で地元のヤンキーを目撃するまで、誰しも一度は屋敷を持ちたいと夢想したことはあるかと思います。
しかし、屋敷を斜めに作ろうとする人間は、北海道もこの屋敷「流氷館」を造った浜本幸三郎以外に中々いないのではないでしょうか。
何が狂っているって、ちゃんと地下まで斜め。大学で設計をかじっている訳ではありませんが、ぶっ飛んでいるのは分かります。
一体どうやって生活してるんでしょうねホント。ストレスしかたまらなそうです。
案の定住んでいる人間たちは一癖も二癖もあり、更に殺人事件まで起こると来ました(流石に殺人が起こるってのはネタバレをじゃないよね?)。
まぁ、面白くないわけがないですよね。帯には「『星占い術殺人事件』『異邦の騎士』と並ぶ三大傑作」。役の満ここに極まれリ。
読んでみた結果
最初の一言
「XXX凄すぎやろ……」
XXXが誰か、そしてどう凄いのかは絶対に説明できないので割愛させていただき、総評から申しますとトリックがあまり好きじゃないものの、物語として秀作。
こんな感じに落ち着きました。
というのも、起こる事件は前作であり著者である島田荘司氏のデビュー作『星占い術殺人事件』に匹敵するほど奇妙で難解。
かなり期待して『読者への挑戦』にたどり着いたのですが、正直真相がこれまたぶっ飛びすぎていて笑ってしまいました。そりゃないぜ、と。
ただその先を読み進めていくうち、本作が如何に完成されているかを思い知らされることになりました。何から何まで伏線すぎる。
殺人が起こる環境からトリックまで全部癖が強いのに、結局は最後に納得して本を閉じているという。
恐るべし島田荘司。『異邦の騎士』も楽しみです。
御手洗潔、やっぱり嫌いになれない
今作では中々登場しませんが、終盤だと(いい意味で)開いた口が塞がらないことを沢山やってくれます。
個人的に探偵役が嫌だとどれだけ名作とされている作品でも萎えてしまう性分な私。
魅力的な探偵がいてくれるだけで話の彩度が一気に上がる。同じ理由で有栖川有栖の江神シリーズが大好きです。
おすすめできる方
The、本格物を読みたい方にも言わずもがな。特に繋がり等はないので本作から読んでも問題はありませんが、『星占い術殺人事件』を読了して全く損はありません。
逆に、もう前作を読了済みで、星占いは気に入ったのにまだ『斜め屋敷の殺人』を読了していない方はもったいないです。島田ワールドはまだまだ始まったばかり、体験しない手はありませんよ。
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