
熊谷 街・妄想・ワークショップ00回-事前説明会-レポート
こんにちは、「熊谷 街・妄想・ワークショップ」事務局です。
今回は9/12(土)に開催した00回目の事前説明会の開催レポートをお届けいたします。今回の説明会を含め全5回に渡ってワークショップのレポートをまとめて参りますので、ぜひお付き合いください!
今回の説明会へは27名のお申し込みがあり、当日は21名の方が参加されました。(定員は15名を想定)たくさんの方に興味を持っていただけて本当にありがたいです。と、同時に皆さまの熊谷への関心・愛を感じることができました。ワクワクしますね。
さて、これから2時間にわたり開催された説明会の内容をダイジェストでチラリとご紹介いたします!
そして、ずばり今回の熊谷 街・妄想・ワークショップのテーマは...
第一部 〜街はどのような使われ方をしているのか〜
第一部では「自分たちの街を心地よくしていくにはどうしたらよいのか」各地の取り組み事例を通して街は今どのように使われているのかを説明がありました。
ー登壇者ー
まず、自分の家やお店の延長として、自分たちの地域を自分にとっても心地よく、「住んでいる人たちにとっても快適な街にしていくこと」を今回の大きなテーマとして掲げた訳ですが、
ただ、それって行政がやることじゃないの?
そう思いますよね。自分たちの周りや地域のことを自分たちで変えていくのは、やっぱりなかなか難しいイメージあります。ただ、かつては道普請(みちぶしん)と言われて、自分たちの周りの道は自分たちで整備するのが当たり前な時代がありました。今では自分の家から一歩出ると、そこは行政が管理する場所=利用はするが自分たちが積極的に関わっていく対象ではないという流れができてきているのが現状ではないでしょうか。
しかし、様々なアイディアによって自分たちの過ごす空間を彩る事例は各地に存在しているのです。例えば...
ゴミ袋に魚の絵柄をプリントする→積み上げられた積み上げられた魚の群れに→くさい・汚いなどのネガティブなイメージのゴミ捨て場をポップに彩るちょっとした工夫で、なんの変哲もないゴミ捨て場もアート空間に変えることができるんですね。
自分の家の周りも自分事として
日本でも平成21年より「新しい公共」という考え方で施作がスタートしていたのですが、ゴミ袋の例のように最近ようやく「自分の家の外は全て行政が管理する空間」から「自分の家の周りも自分事として考えていく」方向に考えをシフトしてきている段階と言われています。
そしてそのチャンスが最近、国の方から新たな仕組みとして整備され始めているのです。
最近出来ている新たな仕組み① 公園の活用
公園の様々な取り組みはメディアなどでも紹介されていますが、もう既に公園は行政だけが管理する場所ではなく、民間と協力して運営していけるような仕組みができています。
ー南池袋公園ー
東京都の南池袋公園では「Park-PFI制度」を利用し、民間事業者(カフェ)の収益を活用して広場などの公共部分を整備していて、一体的な整備が実現しています。
Park-PFI制度とは、 平成29年の都市公園法改正により新たに設けられた、飲食店、売店等の公 園利用者の利便の向上に資する公募対象公園施設の設置と、当該施設から 生ずる収益を活用してその周辺の園路、広場等の一般の公園利用者が利用 できる特定公園施設の整備・改修等を一体的に行う者を、公募により選定 する「公募設置管理制度」のこと。都市公園における民間資金を活用した新たな整備・管理手法として 「Park-PFI」(略称:P-PFI)と呼称。
他にもヨガや映画祭など各地で活用は様々。
最近出来ている新たな仕組み②河川のオープン化
平成23年の準則改正により、全国の河川で民間業者が、飲食店、オープンカフェ、広告、バーベキュー場等を設置できるようになりました。「ミズベリング」という言葉も最近よく聞くようになりましたが、全国で水辺空間の様々な利用が加速しています。
最近出来ている新たな仕組み③道路空間の活用
行政からの規制が固いイメージのある道路空間もアメリカのパークレットを契機に日本でも各地で様々な賑わいを生み出す取り組みが行われています。
また、ウィズコロナ期において「3密の回避」や「新しい生活様式」の定着が注目されるようになり、テイクアウトやテラス営業のための道路占用の許可基準が緩和されました。(国土交通省より発表:令和2年11月まで)そのため各地で様々なイベントが道路空間で催されています。
そしてここ熊谷市でも月に1回駅前を流れる星川沿いで「星川夜市」というナイトバザールを行っています。こちらもぜひお立ち寄りください!
このように自分たちの家の外である公共空間も、様々な仕組みやアイディアが生まれることにより、「心地よい空間」へ変えていくことができるという事例が日本各地に存在することが分かりますね。
一方行政でも人口減少や技術革新を見越し、様々な地域でこれからの街のあり方を考える取り組みが行われ始めています。そして国土交通省からも道路のあり方に関する中長期的な政策の方向性の提案が出されたりと、少しずつ新しい生活様式にむけて進化していく時なのではないかと感じます。
- 安全性や快適性が確保された歩車共存の生活道路 -
第二部 〜ワークショップ概要〜
自分たちの街を考える前に、全国各地の様々な取り組みを見ていきましたが、ここからがようやく本編です!今までの事例をヒントに熊谷に落とし込んでいくにはどうしたらいいのか。自分たちの周りを豊かに楽しくしていくにはどうしたらいいのか、このワークショップを通して一緒に考えていければと思います。さて、全4回の取り組みをご紹介いたします!
01. エリアの価値を再考してみよう
同じ街でも、それぞれの視点から見える風景は異なるはずです。普段熊谷の街で生活しながら感じること、考えることを共有することでエリアの新たな価値が見えてくるかもしれません。グループはそれぞれ「空き家を考えるチーム」「ストリートを考えるチーム」などカテゴリーをごとに別れる予定です。
02. エリアの余白を妄想してみよう
01で考えたことをもとにグループごとにアイディア出しを行います。妄想を膨らませ、企画を形作って行く予定です。完璧にはいかないかもしれませんが、チャレンジすることに意味があるかと思います!
03.妄想を形にしよう
そして最後に、今までの過程を実際の行動に落とし込んでいく作業になります。自分の頭の中のアイディアを形にできるかもしれないと考えるとワクワクしますね!
そして、前半にこのワークショップのテーマは「自分の家や店舗の延長として身の回りの地域を心地よくしよう」とお伝えしましたが、実は裏テーマがあります。それは...
熊谷の街のことを考えて集まった人たちなので、街のことを考える仲間として、ここにくれば街の話をすることができる。そんな新たなコミュニティを作ることが出来たらと思います!
コーディネーター
ワークショップ全体を通して参加者を導くコーディネーターの方々です!
第三部 地元の建築士的 星川の今
第三部では、今回のWSのコーディネーターである「建築家ユニットエイエイオーからの視点でみる現在の星川」というテーマで、スタートしました。
- 登壇者 -
今回のきっかけ
熊谷市に籍を置くエイエイオーですが4人中3人は熊谷出身ではないのです。そんな3人が外から来て星川で感じたことは、
なんかロケーションも綺麗なのに人がいなくてもったいなくない?
でした。それに加えて空き店舗や駐車場が目立つのをモヤモヤしながら眺め、どうにかしたいと考えていたのがきっかけになります。どうにかしたい。
星川の過去から今
周辺はどんな場所だったのか聞き込みをしてみると、戦後は闇市から始まった商店街があり、その後遊郭をはじめ料亭などが立ち並び、芸妓さんが歩いていた等かなり賑やかな街であったそうです。写真のように星川周辺にはたくさんの人がいたことが分かります。
- 水辺利用風景 -
しかし時が経ち、人口増加による都市拡張で都市は急成長していくことになると、もちろん道路は整備され車社会へと変わっていきます。結果的に便利さを追求していくとロードサイドには大きなチェーン店や便利なスーパーや大型ショッピングモールが立ち並ぶように。
人を受け入れ、熊谷も成長してきた一方、車社会の中で商店街は商売が難しくなり、結果的に空き家が増えるシャッター商店街へと変わってしまいました。また平成5年には平米100万程の価値があった土地も20年後には1/10の価値に下がってしまったそうです。そして現在の流れは...
これから星川はどうなってしまうのだろう...
これからの熊谷・星川へ
人口減少はいくら考えても止まらないこと、それよりもこの先20年後、ここにいる子供たちが熊谷を選ぶようにするにはどうしたらいいか。結論は、
「正しい」より「おもしろい」 「おもしろい」が正しい
おもしろいことに人は集まるをコンセプトに考えを変換していきました。
星川は羽生のイオン?
熊谷市から一番近くにある羽生市のイオンモール。実は星川地域の地図に当てはめると...
なんとほぼぴったり同じサイズ。そしてなんとイオンの駐車場と星川エリアの駐車場の広さも大体同じという奇跡。
これはもう星川は熊谷のイオンですね!実際にイオンのように子どもから大人まで長時間楽しめる星川にするにはどうすればいいのか。イメージしてみましょう!
こんな道路空間が出来て良い循環が生まれたら最高ですよね。実際それを実現させた事例もあるんです。
ブラジル クリチバの事例
1970年33歳の市長
“都市は車のためにあらず、人のためであるべき “ 72時間でアスファルトを剥がし、歩行者天国化
商店街の人、デモを計画 子供達が道路に絵を描かせる
1ヶ月後、売り上げ70%アップ 他の道路も歩行者天国へと陳情
-北欧の道路空間でも-
このように出来ないことではないということが分かります。妄想で終わるかどうかは行動するかどうかということですね。公共空間を利用することで、それぞれお肉屋さん、魚屋さんなど個店でがんばってきたところが結びつき、新しい商店街のスタイルを築いていくことができるのではないかと思います。そしてそれが街の価値へと繋がっていくように感じます。それを実現していくために3つのことを提案します!
第四章 コトラボ合同会社の紹介
今回コーディネーターと共にWSを主催するまちづくり会社のコトラボ合同会社の紹介がありました。
拠点見学
参加者は今回は2チームに別れて「シェアカフェエイエイオー」「トナリノ・108ocha stand」を見学してもらいました。
シェアカフェエイエイオー
トナリノ・108ocha stand
参加者の声
今回の00回で集まったほぼ全員の方がこのワークショップへの参加を決意!地元を盛り上げたい、より良い街にしたい、人離れが起きてほしくないなど、着目点は皆さん違いますが最終目標は同じ。熱い声をいただきました!
権田酒造取締役 権田幸子様
熊谷唯一の酒造がある籠原地区も元気にしたい!という想いからこの企画に興味を持ち来てみました。週末に熊谷にきてもなかなかする事がなく、熊谷離れが始まってしまっていて… 以前は市が主導によるまちづくり企画に参加したのですがあまり実りがなく、でも今回のこの妄想ワークショップはいいですね。妄想した後に本当に具現化されそうです!そして00回に来たらびっくり!熊谷で活動している若い子たちがたくさんいる。このグループなら面白い事ができそうで、尚且つ持続できそうだと感じています。
熊谷出身のAさん
元々カフェやコーヒーが大好きで、しかも熊谷はだんだんコーヒーで盛り上がってきている印象があるんです。普段から散歩中、シェアカフェAAOさんなど見ていていいなと思ったり、もっとカフェとかができればいいのにと思ってるうちに、どんどん関わりたい!と思っていました。熊谷も散歩する度に、なんか寂しいなぁ、もっと明るくなればいいのになと常々思っています。ワークショップは全回参加します!まちづくりのゼミにも通ってるので、なにかいいヒントも得れればと思っています。
まとめ
このような形でキックオフに向けてスタートした、熊谷「街・妄想・ワークショップ」。00回参加予定人数の15人を上回り、当日の飛び込み参加や、メディアなども来場。参加者全員がこの説明会を経て、ワークショップ参加を表明してくれました!コーディーネーターや関係者の説明後の拠点周りの際に聞こえてきた声は、どれもやる気に満ちた明るいものばかり。参加者の街を良くしたいという想いが既にひとつになっていました。
さあ次は9月26日(土)の01回です!事務局の私共も今からワクワクします。歩いて、見て感じて、妄想して、仲間たちとシェアして、無理なく自分たちで自分たちの街を変えていきましょう!そして次回からはゲストアドバイザーを3名お招きいたします。こちらもお楽しみに。
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