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Vol.6 Tsuyoshi Shuto|健幸大好き薬学博士

1.どのような研究をしていますか?

 私の専門は薬学(薬理学)で、薬の本質を明らかにすることを目指しています。大学では生理学、解剖学、免疫学などを中心に医学・生物学全般の研究を展開し、現在は感染症、肺疾患、代謝疾患、腎疾患、アミロイド疾患などの治療薬開発に注力しています。特に最近では「健康寿命」に関心を持ち、線虫(C.elegans)を用いた研究を行っています。
研究室では毎朝7:30から、大学生・大学院生と共に最新の科学論文を読み、研究手法や最新の知見を学んでいます。実験ではヒト、マウス、線虫を対象に、遺伝子・タンパク質の発現解析、高速スクリーニング(HTS)などを駆使し、生命や薬の本質を追求しています。特に線虫を活用した研究では、「C-HAS」という寿命の質を集団レベルで解析する新技術を開発し、健康寿命の延伸に貢献する研究を進めています。さらに企業との共同研究やベンチャー活動も展開しています。
これらの研究は新しい治療法や薬剤の開発に繋がり、感染症や遺伝病、慢性疾患、老化に伴う疾患に対する治療法を提供し、多くの人々の健康と生活の質の向上に貢献します。薬学は幅広い専門知識を基盤とした総合生命科学であり、新しい発見や技術の開発を通じて、未来の医療や健康に直接貢献できることが魅力です。私は「健康で幸せな百歳社会を共に創る」というビジョンを持ち、研究を通じてワクワクする毎日を送っています。

2024年度の研究室メンバー。ラボのビジョンは、
「健康社会の実現を見据えた未来を切り拓くリーディング共創/協奏ラボ」!
2021年7月開催の第6回熊本テックプラングランプリで最優秀賞を受賞。
社会実装化研究の醍醐味を知る。

2.どんな人生を経て、熊本大学に?

 10代の頃、私は「医療」「ゲノム」「難病」に漠然とした興味を持ち、将来はこれらの分野に関わりたいと感じていました。内向的ではありましたが、好奇心旺盛だったおかげで、当時熊本大学薬学部にいらっしゃった小田切教授と出会い、熊本大学に入学しました。20代の大学時代は、とにかく目の前のことを一生懸命こなし続けたおかげで、積極的で挑戦心旺盛な性格へと変わりました。それから、研究室の恩師であった甲斐教授の「薬学研究者は、世界の医療を変える力がある」という言葉に影響されて大学院進学を決意。修士課程ではアメリカLA留学に挑戦し、気道上皮細胞の感染性炎症の分子基盤を解明する研究を行いました。その後も、アメリカSF留学を経て、肺疾患研究に取り組むとともに、多角的な研究にも携わり、現在の柱の一つであるコア技術「C-HAS」の開発に成功しました。一方、若い頃から痛風やヘルペス感染症、突発性難聴など多くの病気を経験したこともあり、気づいたら「健幸寿命」オタクになっていました(笑)。

アメリカ留学時代のラボに久々の訪問。
自分の留学時代の実験ノートが大切に残されていて感激!世界に生きた証です。
遺伝性肺疾患研究のアメリカSF留学時代のラボメンバーと熊大ラボメンバーの交流会。
故Dr. Gruenertからは多くのことを学びました。

3.生きている中で大事にしていることは?

  パワーアニメに没頭し、そこから哲学的な学びを得ることが、私にとって欠かせない活動です。パワーアニメとは、前向きな視点をもたらす作品を指し、私はこれらを視聴し自分なりの視点で読み解いています。例えば、『鬼滅の刃』からはアートの力が人々の心に響くことや、「知識・感性を武器に人々を助けるために学ぶ」意義を見出しました。『BLUELOCK』からは、個の能力とチームワークのバランスの重要性を学び、『アンサングシンデレラ』では対話や思いやりの大切さ、『ポケモン』からは目標の持ち方や対等な人間関係の重要性を学びました。これらのアニメは、大人にも深い学びを提供し、私の研究者・教育者としての生き方に多大な影響を与えています。本質を考え哲学することで自分らしくあることを楽しんでいます。また、最近ではパワーワードを含む書籍にも没頭し、学生や研究仲間と共有しています。
▼私が読んだパワーワードを含む書籍の例▼
13歳からのアート思考、思考の整理学、僕らはなぜ働くのか、LIFESHIFT、続ける脳、幸福寿命、WORK 価値ある人材こそ生き残る、など

異分野融合でユニークな発想を学ぶために熊大で主催した「トランスポーター研究会」。
自分が面白いと思える新進気鋭の研究者を日本中から集めて行った贅沢な学会となった。
人生最大の恩師、甲斐広文教授が定年を待たずに電撃退職。
最後まで追いつきたくても追いつけない存在でした。
これからも追い続け、追い越していけるように頑張ります!

▼所属研究室▼

▼紹介記事1▼

▼紹介記事2▼

▼紹介記事3▼

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