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三兄弟と、数字の3

ちょっとした集まりで、大勢の人前で自己紹介時におのおの
「好きな数字は何ですか」
そう訊かれるというのがあった。なるほど、会話の糸口にちょうどいい。
すると、ほぼ9割の人が自分の誕生日または誕生月を答える結果となった。
 名前:だれそれ
 所属:なになに
 好きな数字:7 7月生まれだから
と、いうぐあいに大体のひとは、自分の好きな数字・ラッキー数字は自分の誕生日または誕生月と思い込んでいるというわけ。
で、ウチのばあいは『3』なので、三人にまつわる物語にけっこうハマってしまうのだ。


生存者 あらすじ

スウェーデンでの短い夏を家族と共にコテージを過ごす三少年。
長男ニルスは小学高学生,弟5才ピエールの間に挟まれた次男ベンヤミンの目を通して描かれる冒険の日々。三人の競争心からはじまる兄弟喧嘩、助合いながら危ないこともやってのける同盟意識。さらにアルコール依存症ともネグレストとも言える危うい両親とのかかわりの中で、ある事件が起こる。

スウェーデン行きたくなった

生存者 感想

この小説の各章は、現代の、大人になった三人の『いま』の時刻から数時間ごとに一日をさかのぼる。その間に挟まれるのは、少年時代のコテージの想い出や楽しいエピソード。つまり「現代(大人)」→「過去(少年)」→「数時間前の現代」→「過去」→「数時間前の、数時間前の現代」とまるで映画のような複雑な時系列で構成されている。
三兄弟がなぜ疎遠になってしまったのか、「生存者」とはいったい誰なのかと疑問が頭をもたげる。少年時代は陽光の中で色彩がある一方、現代はモノクロで描かれる色がない。出口をもとめ道を迷っていると、ふいにタイトルの「生存者」が現れる。なんとも奥行きのある展開で、余韻がいつまでも残った。

ダージリン急行

2007年 ウェス・アンダーソン監督

インドと紅茶は好きやし、旅もの映画も好きやし。しかも、ウェス・アンダーソン監督の旧作やん。なかなか面白いよ!と貸してくれた友人もツボを押さえててくれてありがたい。

こちらは父親がなくなり、疎遠になった三兄弟の絆をもう一度!と集まった三人がインドへ。長男フランシス、次男ピーター、三男ジャックのドタバタ喜劇だ。
 え?それやるの⁈
 まさか!ウソでしょ
 信じられなーい!!!
いつもの通り、ウェス・アンダーソン世界が列車内でも旅先でも描かれる。苦笑したりあきれたりはもちろん、大げさなルイ・ヴィトンや父の形見の眼鏡など、細かな小道具が目に焼きつき離れない。色彩にあふれた悠久のインドを背景に、三兄弟のポンコツぶりでおなかいっぱい。
途中下車の道端で、少年達の事故に巻き込まれ、見知らぬ村の葬式に参列するところも、かなしみと(不謹慎だけど)おかしみが混ざり合って、いい塩梅だった。少年の父役を今は亡きイルファン・カーンが演じており、涙目になってしまった。
さて、集まった時は波長が合わずトゲトゲしていた三人は、いつのまにか旅の終わり頃には仲の良い兄弟となっており、観終わるとほっこりした気分にさせてくれる映画だった。
もちろん、音楽・色彩はもちろん200%素敵

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