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おいしいごはんが食べられますように:芥川賞ぜんぶ

日本人のInstagramやfacebookは食べ物であふれている。最近はどうもおいしいごはんを食べることより、グルメな店を見つけ発信するのが目的のひとが増えたようだやれやれ、ホンマ困った傾向だ。


あらすじ


そこそこ仕事ができて、うまく立ち回れる男性社員・二谷。ただし食にこだわりが無くカップ麺が好き。
手づくり料理やケーキつくりに精を出し、職場ではかなさ・健気さを醸しだす女性社員・芦川。
体調不良で休む人の分まで頑張ってしまうものの、誤解を受けやすく女子からハブられてしまう女性社員・押尾。

主人公のひとり・二谷はおいしいごはんを食べるというより、食べるものは何でもいい、ただ空腹を満たすだけ。毎食カップ麺でもかまわない。
日本人総グルメ時代(古すぎる呼称⁈)に、そんなひとがいることに、まず驚いた。

仕事、恋愛が複雑に絡まった職場社会では、パワーバランスを上手く読まないと人間関係を壊してしまう。芦川はずるい。

「わたしたちは助け合う能力をなくしていってると思うんですよね。
 昔、多分持っていたものを、手放していってる。その方が生きやすいから。成長として。誰かと食べるごはんより、一人で食べるごはんがおいしいのも、そのひとつで。力強く生きていくために、みんなで食べるごはんがおいしいって感じる能力は、必要じゃない気がして」

押尾さんの告白

読後感

ザラザラした手ざわり、地雷が埋まっている不毛地帯を歩いているような不安感、気持ち悪さを覚えた。みんな“食べもの”について話しているのに、まったく通じ合わなっていないのだから。

私自身はこの小説の三人とも嫌やな。


最後に、
「これからもおいしいごはんをつくりますね」とほほ笑む芦川さん(ほぼホラー)
怖いんですけど...

第167回 芥川賞

第167回芥川賞 36/113冊

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#高瀬隼子 #芥川賞
#読書感想文 #アンチグルメ

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