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インド映画三昧:カダラムの征服者、イングリッシュ・ミディアム、マスター!先生が来る。

なかなか日本で上映されることの少ないインド映画。9月~10月にかけて二種類の映画祭が開催された。個人的には、歌って踊ってのハッピー映画よりも、社会派インド映画の方が好きだ。

カダラムの征服者 Kadaram Kondon

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 全編(たぶん)マレーシアのロケの作品。
プロローグで「もうすぐハリラヤ(断食月明け)だからツインタワーは3日間休業します」とラジオニュースが流され、カメラがツインタワー(452m・88階建て)にズームしていくと、高層階の部屋からいきなり、ヴィクラム演ずるKKがガラスを割って宙つりで登場。あわや!心臓どきどきのオープニング最高!

 もう一方の主人公・ヴァスーは臨月の妻と共にKLへ引っ越してきたばかり。KK入院先の医者なのに、KKの命を救ったため、彼を追う何者かに愛妻を拉致され、巻き込まれていく。追うのは誰か?警察か、犯罪者仲間か。救うためか、あるいは口封じのために殺すつもりか。
 マレーシア首都のモノレール内の逃走や、スルタン・アブドゥル・サマド・ビル(旧連邦事務局)の歴史的建物前でのカークラッシュ等、よく撮影できたなぁと感心しかない。
 さらに、警察内部の対立や元仲間の裏切り等ハラハラ心拍数ばくばくが続き、クライム・サスペンスとしても一級のうえ、映画後半の報復に燃えるKKの姿が超カッケー!! 妊婦の強さが気になったが、アクションも展開もリアルで、黒ずくめヴィクラムの虜になってしまったわ。

話は変わるが、2012年「神様がくれた娘」大阪アジアン映画祭でグランプリを獲る前、ご本人に握手してもらったが、やさしいジェントルマンでした。

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カダラムの征服者 (2019年)タミル語 ★★★★☆彡
監督・脚本:ラジェシュ・M・セルバ
出演:ヴィクラム、アクシャラ・ハサーン、アビ・ハッサン 

m.やまうちさん曰く、KKつよつよSong♪ 盛上げてくれるぜ↓ ネタバレ注意

イングリッシュ・ミディアム English Mideum

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ヒンディー・ミディアムは見逃したけれど、2020年急逝したイルファン・カーンの遺作だもの、観なくっちゃ。

 老舗菓子店のチャンパクは男手ひとつで娘ターリカを育ててきたが、娘は英国の大学へ留学の夢を諦めきれない―—。
 奨学金を得るまでのドタバタや、菓子店の元祖/本家をめぐってのお家騒動裁判。空港内でドラッグ密売人と誤認されるシーンからの、インド人なのにパキスタン人に変貌してでも再入国しようと奮闘するところ、ドバイのトニーのキャラに爆笑、きゃはは、おなか抱えて笑い死にするところだった。
 そして、外国で寮生活をはじめる娘には孤独もあるし、自由もあるし、淡い恋もあるし、父は心配で心配でたまらない―のは東西を問わず同じだろう、我が家もそうだった。一方、イルファン扮する父と娘の関係に対比し、近くに居ながら心が離れてしまった母と娘の関係を、私の推し・カリーナ・カプールが演じている。「本当に必要な時はそばにいてあげることだ」と諭すイルファンが渋かった。
 はたして、娘の英国留学の夢はかなうのか。

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インドでのタイトルは「ぇんぐりずぅメディアム」とインド独特の訛りで風刺。
イルファンとカリーナの二大スター共演作

English Mideum (2020年)★★★☆彡
監督:ホーミー・アダジャーニア
出演:イルファーン・カーン、ラーディカー・マーダーン、ディーパク・ドーブリヤール、カリーナ・カプール・カーン

マスター!先生が来る

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 ヴィジャイ扮するJDは、アルコール依存症気味だが、学生に自治を学ばせようするなど、人気の大学講師「マスター」。
 両親の惨殺現場を目撃したため少年院に投獄された少年バヴァニは、やがて軽微な処罰で済む少年を利用した、極悪非道なギャングへと成長していく。
 そして、ある少年院の短期講師を任されたJDは、院内にはびこるドラッグ・暴力・虐待・支配から青少年を守ろうと奮闘するが…。

 前半のJD・ヴィジャイの陽気さとノリノリ汗くさダンスシーンに対し、超悪バヴァニの暗黒じめじめ、冷酷音楽の比較が面白い。「マスター」によって子供らしさや規律を取り戻していく様は、教育の重要性を示しているのだろう。
 ヴィジャイ・セードゥパティは「ヴィクラムとヴィーダ」でも悪役をこなした渋い俳優で、ダンスは少々でも存在感あった。もちろんヴィジャイのダンスはピカイチだし、インド映画オマージュもたっぷり。約三時間は長いかなと思ったが、ストーリー展開にふさわしい時間だった。

2021年1月公開当時・世界の興行成績第一位:
みんな娯楽映画を待ってたのだ!

マスター!先生が来る (2021年) ★★★★☆彡
監督:ローケーシュ・カナガラージ
出演:ヴィジャイ、ヴィジャイ・セードゥパティ

 観賞後、ガネーシュのスマホを持った女性とインド映画トークをしつつ帰路についた。好きな映画や音楽を自由にみて、感想を語り合う。コロナ禍でできなかった”わずか数分のふれあい”がこんなにも幸せだったと、気づかせてくれた。ほんま有難う!

#インド映画 #インディアンムービー #ヴィクラム #イルファン
#カリーナ・カプール #ヴィジャイ #インド大映画祭 #映画レビュー

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