見出し画像

去り際の美学

飲み会が楽しいと大体23時くらいに、終電で帰る雰囲気を作るか、カラオケでオールに持ち込むか、選択を迫られる。もちろんその時の雰囲気やメンバーの意見を尊重するのだが、「この楽しい時間よ、おわらないで〜」って嫌々リードで引かれる散歩嫌いの犬のような気持ちになる。(もしかして俺だけ?)

でも仮にカラオケオールに持ち込んだとしても3時くらいには眠たくなる。もう何人かは寝てるし、俺も眠い。じわじわとやってくる、帰ればよかった〜という後悔の念。飲み放題じゃなくてワンドリンクにすれば良かった〜とかもうどうでも良くなるくらいに疲労感がどっと肩にかかる。結局は始発をまたずしてタクシーで帰ることになる。嗚呼、俺はもう若人ではないのか。いつの間にか楽しいだけではオールもできない歳になってしまった。ちょっと悲しい気持ちになる。

やはり、「やめるタイミング」って飲み会に関わらず大事だなと思う。普段の遊びもLINEでもそうで、楽しいうちに終わるが一番いいのかもしれない。楽しいにもピークがある。ピーク以降は下がっていく。疲れてきたり、つまらなくなってきたり、グダグダになっていく。まさにカラオケオール。

でも楽しいうちに終わると、当然ながら楽しい印象で終わることができる。それが余韻なのかもしれない。また行きたい、また遊びたいという気持ちを生む。

足りないと満たしたくなる。「楽しい」と思うと「もっと楽しい」を求めたくなる。だから、満杯に近いが、決して満たされているとは言えないうちに終わらせる。満足してしまうと終わってしまうから。嗚呼、焦ったい。

だから、俺は23時の脳内会議で「終電で帰る」を選択する。ヒゲダンを歌いたい気持ちを押し殺して。次回に期待を寄せて。

この記事が参加している募集

習慣にしていること

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?