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ただいま(140字小説)

「ただいま」

返事はない。

両親は会話を続けている。

「最初だから、ちゃんとしてあげないと」

蝉の声が、夏の終わりを予感させる。

「ただいま」

猫が寄って来た。

こっちを不思議そうに見上げて出ていった。

ボクは外に出る。

風鈴が鳴った。

「帰って来たのかな」

ボクの写真が、線香の奥で揺れている。


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