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アンチジェネリックアイドル / GALS の深読み

GALSのアンチジェネリックアイドルという曲の歌詞について、自分なりに解釈したり深読みしたりしてみました。共有したり備忘したりするためにここにまとめたい。

※あくまで僕なりの解釈であって、これが必ずしも正解とは思ってません。それぞれの受け取り手が自由に解釈していいと思います。よく分からないな~って人の参考になれば!自分の気に入るところだけ抜き出して参考にしてもらっても構いませんし。

楽曲(サブスク)はこちら。

歌詞はこちら。

まずタイトル「アンチジェネリックアイドル」ですが、これはジェネリック(一般的な)アイドルの反対(アンチ)で、おそらく「君たちは平凡なアイドルなんかではない」という、作詞した四市田先生からのGALSへの激励のメッセージがこもっていると僕は解釈してます。それを踏まえて歌詞を見ていきます。

心地よい浮遊感
遮ってく違和感
誰も間違ってない
酸欠気付かない
不満ないサンキュロット
同じ言葉だけ反射する
とても綺麗な水槽の中
溺れながら泳いでる
飢えないフリ踊り唄う

アンチジェネリックアイドル / GALS

水槽の中を優雅に泳ぐ美しい金魚のようなイメージですが、どこか息苦しさ窮屈さを感じている様子です。「不満ないサンキュロット」は「不満なんか一つもないですよ、どうもありがとう」という皮肉表現だと思います。でも、たぶん主人公も何が不満なのか明確でない、なんとなくの閉塞感。それが「溺れながら泳いでる 飢えないフリ踊り歌う」なんだと思います。(ここは、"アイドル"を意識した「踊り歌う」かと思います。)

愛したんだ
夢見たんだ
憧れた
だから踏み出した
誰のリアル
誰の存在価値
だってだってだってだって

アンチジェネリックアイドル / GALS

ここまで歌ってきたなんとなくの閉塞感。それに対して、本当はありたい姿を指しているのかと。でもそれをめざして踏み出した先に、「誰かのリアル(本物)」にも「誰かの存在価値」にもまだなれてない、という悔しさみたいなものが見られます。

とんだ美しさだ
オンリーロンリーね
Ah 真っ暗な泡の中抜け出して
聴こえてるのは誰の声
Ah 楽な真似事キメて逃げて

アンチジェネリックアイドル / GALS

サビ前半。
美しさがあっても、誰かの存在価値とならなければ「オンリーロンリー(ただの孤独)」なんですよね。「真っ暗な泡」は苦境にいる現状の比喩かと思います。美しさが泡の中にとどまっていて、オンリーロンリー。最後の2行は「変な外野の声に耳を貸しすぎると、楽な他人の真似事に終始して何ににもならない」みたいな意味合いかと思います。この曲の最後の歌詞ともリンクしてきますが、他人の真似事より自分たちのオリジナリティを大事にしてほしいというメッセージがうっすらと見えますね。

自分で選べ
アンチジェネリックアイドル
そして戦え
アンチジェネリックミュージック
誰かの意見
だってつまんないでしょ
アンチジェネリックプッシー

アンチジェネリックアイドル / GALS

サビ後半。ここが四市田先生からのGALSへのメッセージの主旨だと思います。自分たちで選んで戦え、他人に惑わされるな(=自信をもっていけ)という熱い信頼が感じられます。泣ける。

知りたいことだけ
わかってることだけ
いつか閉じ込めて
なれてしまう寂しささえ
誰かのストーリー

アンチジェネリックアイドル / GALS

2番です。ここも1番同様、息苦しく生きている様子を表現しているところだと思います。そして、そんな息苦しさにも慣れてしまって、誰かのストーリー(つまり平凡なストーリー)に陥ってしまう、そんな恐れを感じていて。

絡まってるイヤホンみたい
まるでなりたい自分みたい
見えないもの探してしまったじゃない
なりたいなりたい
生きたい生きたいだから

アンチジェネリックアイドル / GALS

やっぱり色々と不明確なんだと思います。現状には何かしらの不満があるんだけど、そして現状とは違う何かにはなりたいんだけど、もっと違う生き方をしたいんだけど、でもどうしたら、、、?何を変えたら?みたいな葛藤を感じるところですね。

こんな美しさは懲り懲りね
Ah 小さな枠の中溶け出して
止まってるのは誰のせい
Ah 粋な紛い物並べ比べ

アンチジェネリックアイドル / GALS

2番サビ。1番サビ同様、小さな枠の中で美しくあっても、意味がないというような不満が伝わってきます。そこにとどまっているのは誰のせい?と。枠っていうのは、この曲の冒頭の金魚の水槽のイメージでもあり、アイドルのイメージでもあって。「粋な紛い物」はシニカルな表現ですよね。粋なんだけど紛い物。それを小さな枠の中で並べて比べてる。そんなことに意味はあるの?という気持ちがシニカルなところに現れていると思ってます。「もっと広い海で、紛い物でなく本物で戦っていかなきゃ」といったメッセージなんじゃないでしょうか。

自分で選べ
アンチジェネリックアイドル
そして戦え
アンチジェネリックミュージック
誰かの良い剣
取ってつまんないでしょ
アンチジェネリックプッシー

アンチジェネリックアイドル / GALS

で、「そんなんじゃなくて、自分で選んで自分らしく戦え!」って激励しているんですよね。誰かの良い剣(他人の武器)を真似たりするんじゃつまらないでしょう?と、自分らしく進んでいくべきだと熱烈に叫んでいるんです。
(音源的にもここが4つ打ちでダンダンダンダンってなっていて、「前へすすめー!」って感じで、Aメロ等のやや陰鬱な雰囲気から、少し前のめりな雰囲気になっていて、応援したり激励したりしている感じがあってステキですね)

パパが愛してる清廉
儚い弱さ抱きしめてる
頭使わんハック鈴転がし
信じてありのままでオリジナルで
世界に一つだけ
どうしようもない愛を
歌っておくれ

アンチジェネリックアイドル / GALS

最後のここ。ここがこの曲の一番熱いところ。泣ける。

突然出てくる「パパ」。アイドルや女の子がテーマの曲に出てくる親っていうのはママとかが多いんですよね。やっぱり同性だし、色々相談しやすくて身近なのはママだからかなと思いますが。では、この曲ではなんでパパなんだろう?って考えると、おそらくこれはこの曲を生み出した(作詞作曲した)四市田先生のことなんだろうなって気づきました。
そうだとすると、この最後の歌詞は一気にわかりやすくなります。

それでもまだ分かりにくい部分は「頭使わんハック鈴転がし」でしょうか。
「ハック」はライフハックとかのハックで、方法論・技術・仕事術みたいな意味です。「鈴転がし」は「鈴を転がすような声」という慣用句から、「素晴らしい歌声」みたいな意味だと考えて良さそうです。
「頭使わん」は「頭を使わない」ですけど、ここではバカやアホみたいな意味でなくて、たぶん「変に悩まなくていいよ」って意味かと。
なので「頭使わんハック鈴転がし」をまとめると、
「変に悩まずにただその綺麗な歌声でやっていけばいい」みたいな意味だと思います。

あらためて、この段落をまとめると、

清廉であって、儚さ弱さがを抱えていて頑張っている姿。
変に悩まずにただその綺麗な歌声でやっていけばいい。
世界に唯一の自分たちを信じて、そのままで
これからも愛を歌ってくれ。

みたいな意味かと思います。
最後の「愛」は、四市田先生が愛をこめて作った歌・曲という意味もあるのかなって思っています。

以上です。いかがでしたでしょうか。
僕は最初、全然解釈できなくて「なんとなくかっこいい曲だし、GALSの新境地っぽい曲だけど、何言ってるのかよくわかんないな」って感想でしたが、何回も聞いて、だんだん自分なりに意味を通して聞けるようになると、本当に四市田先生からGALSへの信頼と激励を感じて感動するようになりました。もっというと、激励と同時に、きちんとGALSのテーマであるGALマインドも歌っていて、そういう意味でも死角のない、素晴らしい楽曲だなぁって思っています。本当に名曲。

それではまた。

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