マガジンのカバー画像

右体

31
右体(みぎてい)2023/12/29- Xをやめ(ることにし)ました
運営しているクリエイター

記事一覧

×××:右体31

×××:右体31

(土)

小池耕と福田六個の公開文通「二叉路」は次回5月21日、第12回の更新をもって一旦終了します。読んでくださった方々、感想をくださった方々、ありがとうございました。異なる媒体にて数回更新したのち、12月の文学フリマにてなにか出せればいいなと企んでいます。お金を払わせてしまう場合は、学生がけっこう安くてうれしいなと思うランチ代くらい、かつ、ボリューム満点も満点でお届けするつもりです。よろしくお

もっとみる
つくる手:右体30

つくる手:右体30

(木)

ネットプリント「文鎮」、読んでくれた方、感想をくれた方ありがとうございました。読みにくいほうが読みやすい。そう僕が言ってしまったのがきっかけで、読みにくいデザインになりました。どうでしたでしょうか。やっぱりレイアウトやデザインは、どうしようもなく読み味をつくるもので、それは僕らの感覚は吹けば飛ぶようなものだということの反映かもしれず、つまり、作っているあいだいろいろ考えられてずっとたのし

もっとみる
(日)(日)(木)(月):右体29

(日)(日)(木)(月):右体29

(日)

東京、根津へ。根津だと思ったら隣の千駄木で降りてしまった。せいで、入れたお金が若干足りなくなったが、そのことを頭で膨らませないようにしてもう一度電車に乗りなおした。すでに10分は遅れていて、さらに遅れるということを、焦りとか申し訳なさとかに繋げても無駄で、あかるい地上へとあかるく出ていくことがまず第一。そういう操作ができるのは待っている友だちがいるからだ。なんだって、気持ちが貧乏にならな

もっとみる
粗みじんの旬:右体28

粗みじんの旬:右体28

(月)

 遊びに来てくれた友だちと『裁かるゝジャンヌ』をプロジェクターで写して観た。法廷でおじさんたちがニヤニヤキョロキョロする静かだけどうるさいシーンと、後半の火刑の火が上っていく、戦いが進んでいく、動きがあって息遣いがきこえてくるシーンの対比にびっくり息をのんだ。恩寵?来てないとは言っていないのだけれど。

 中華屋さんで大皿の炒飯と焼きそばを食べて、しずかに笑ってたな。

(火)

 いろ

もっとみる
ららら:右体27

ららら:右体27

 トマト缶を洗うときに指の付け根を切った。何が起こったかよくわからない感じ、見ると手袋が切れていて、その向こうには指があるはずだった。あとから記憶を辿ってみると尖ったところを撫でるようにして手を動かしていたみたいだった。指は薄い傷ほどよく痛む、というほどには痛まない。二度目につくったトマトソースのパスタは一度目のよりも数段美味しくなかった。余った肉を入れて、コンソメを入れ忘れたんだった。



もっとみる
「うごく基地/見下ろした席」(3+9首)

「うごく基地/見下ろした席」(3+9首)

:右体26

のこり数日のこちらのネットプリントまだの方ぜひ。
載せている3首に9首を追加した12首をこちらにて

うごく基地/見下ろした席   福田六個

日は濁り日が濁らせるスープ皿、嚥下の音の機械となって、

献立に明日のきっと満足感・手づかみの時間の感触感

できたてが一番だって何度でも 阿呆のように 阿呆のように

サブウェイのない主要駅すでになくこの清潔感は嫌じゃない

皿満たすサラダ

もっとみる
「きょうだいの偉人」:右体25

「きょうだいの偉人」:右体25

桜、頼むから煽らないで 白くてこわいよ

マルボロをふかせる君に肺といふ逆さの桜いま咲きほこる
/藪内亮輔「心は川」

マルボロと繋がることによってはじめて起動するかのような、病気の桜。低く垂れさがったその木のそばにいて、僕はどんな息をすればいい。

見えますか桜が二重三重にやがて極度の抽象画来る
/福田六個「蚊と肺の章」『つくば集第三号』

今読むと、すこしうるさいな と思う。見えるよ

フィク

もっとみる
こちら:右体24

こちら:右体24

 恋人に引っ越し祝いでもらったティーカップをもう割ってしまい、どうしようもないなあ、え?って感じで、口を噤みたい、慎ましく生きるひとうらやましい、手遅れとか言葉がたくさん沸いた一気に。

 混乱してお風呂張ったり洗濯まわしたりして、外で雨が降っているのにも気づいていなかった。もうさ、恨ましさだけの夜更かしをしても春休みだから支障ないってことだけを頼りにすることにして、連作をこねこね。していた。五十

もっとみる
八朔の冬:右体23

八朔の冬:右体23

 言葉が重くなっちゃうからブレーキなしにどんどん行きたいね、ってしばらく言っている(ね)。日記的な日記をしばらく書いていないので書く。大阪にいる最後の日、3月22日のこと。

 おかもとえみの曲シャッフルして一時間踊った。昼に起きてすぐの、光の中で、炭酸水だけグラスに注いで時折飲む。掠れた口笛ですこししか知らない曲のメロディを追いかける。滑ってこけてもおかしくないくらいの重心移動の大きさで、ゆっく

もっとみる
新聞を読むね。:右体22

新聞を読むね。:右体22

 この一週間、たくさんインスタが動いていた。

 インスタは自分の知らない人が自分が意図しないうちはまったく飛び込んでこない。それをいいことだと言ってきたのはあるけれど、かんがえればあたりまえのこと。twitterやYouTubeなんかの環境がどうしようもないだけだな、と。

 インスタはおしゃべりが少なくなるから、おしゃべりがなくてもたのしいときはインスタがよく動くようになる。動かしているうちに

もっとみる
社会は教室でない:右体21

社会は教室でない:右体21

 「二叉路」第三回が出ています。ぜひ。

 小池耕が出してくれる生活の話を、僕が色んな方向に引っ張って、どんな味わいになるかということを試す気でいます。まあ、すってんころりんってとこで。

 第一の応答、テクストおよび短歌の位置づけについて付言。

 「詩は書かれるものか歌われるものか」に類する問題は、なかなか難しく繰り返し目の前にあらわれてくるものだと思う。現代短歌の作り手はほとんど、書いている

もっとみる
重力、その他:右体20

重力、その他:右体20

 最近、眠るときにすごく大きく心臓の鼓動が聞こえる。うつ伏せだと次第に大きくなっていくような気がするから仰向けになろうとして、それで冷気が入ってきてはやく暖かくならないかなと思う。僕の元気なふたりの祖母の心臓を想像して、僕のは彼女たちのようには長持ちしないだろうと考える。その寿命がいま来たような気がしてくる。心臓に負担のかかる薬を飲まずにこの先の十年二十年をやっていける可能性を想像する。やっぱりむ

もっとみる
文通可能性:右体19

文通可能性:右体19

 第二回が出ている。振り返りにも満たない何かを少し。

 まだ散文における小池を掴みきれていなくて、思ったより素直に飛んでくるなと意外に感じることが多い。それは逆に考えると、僕が捻ったように書くことの投射で、どうしてか僕はキャッチボールだとしても、僕らの向かいあう直線に沿った形で壁があって、それに当てることを、当て方によって何かが伝わるということを探している。婉曲であることでしか生じない直線がある

もっとみる
つづけて聴いた曲:右体18

つづけて聴いた曲:右体18

Because/菅野よう子×手嶌葵
June/優河
灯火/同上
WATER/同上
Wonderful Life/七尾旅人
紫陽花/KOHH
波よせて(Live)/クラムボン(cover)
미화(ミファ)/七尾旅人
ソウルフードを君と/同上
M78(ma FD)/Tohji
1AM in Asahikawa/C.O.S.A.

ごく些細な箇所でしかし決定的に、自分をこの時この場所に繫ぎ止めている曲が

もっとみる