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046 大人は、どこで学び、繋がり、成長するの?

ペリーが日本の浦賀沖に来航したのは、1853年のこと。鯨油が貴重品だった時代に、米国の鯨捕り漁船が天候不順時に緊急避難したり、水や食料を補給するために、港を開くことを求めたと習った記憶があります。

ところが、最近の教科書には、アメリカの船が求めたのはそれだけではなく、石炭もだったと書かれているそうです。考えてみたら、そりゃそうですね。ペリーの蒸気汽船は、石炭で動力となる蒸気を生み出していたわけですから。

つまり、当時の日本に石炭があったってこと? 知らなんだー。1469年、三池郡稲荷村の百姓が石炭を見つけたと、江戸末期の『石炭由来記』には書かれています。17世紀後半には、石炭は筑前・長門地区等で薪の代替として利用されており、18世紀初頭には瀬戸内地方で製塩業者向けに販売し、大きく発展を遂げています。 

と、つまらないミニ知識をひけらかしてしまいましたが、これは最近読んだ資料から仕入れた情報です。毎月恒例の「誤配だらけの読書会」で、最近、地政学の本が面白いと参加者に教えられ、このところ続けて読んだ地政学の本などに載っていました。

考えてみたら、我々は学校を卒業してから、広く(あるいは深く)学ぶということがありません。趣味や好きな分野は読書したり、何らかのイベントやグループに参加するってこともあるかもしれませんが、あまり関心がない分野はどうでしょう。もっている知識は、中学や高校、大学を出たときのままってことはありませんか?

そんなことを考えていたとき、go to eat キャンペーンを使って、若い女性が九条Tokyoのある2階に、誰もお出迎えもしないのに、靴を脱いで上がって来てくれました。

「せっかくだから、行ったことのない店にしようと思って」

「それは、ありがとう。でも、星の数ほどある中から、よくウチの店を、、、」とボクの声は涙まじりに (ってことはないですが…)。

「だって、美味しそうだったんです」

うれすぃ〜。go to eat キャンペーン考え出した人、天才(バカボン)。このエピソード、go to eat キャンペーンの成功事例として、絶対転載すべし。って、この間書いてた記事と180度、評価が違うだろうがぁ…って? すんまへーん。

「お近くですか?」

「いいえ、住まいは別なんですが、学校が近くで」

「何を勉強しているんですか?」と、いつものことながら、まったく質問の多い料理店だこと。

「大学院で、遺伝子とタンパク質の関係を研究しています」

ピンポーン! それって、今年のノーベル化学賞の受賞研究と超近くない?

「そうなんです。あれは、、、」

ここから先は専門的すぎるので、端折ります。ボクにもよく理解できていないので、わかりやすく記述できません。

でも、最初に見つけた日本人研究者がもらえなくて、今回発表された2人がもらえた理由は、彼女の説明で、ホントよくわかりました。新聞ではまったく理解できなかったのですが。。。

考えてもみてください。この10年、20年の進化の速さと言ったら。

あなたの知識はとっくに古びていて、現在直面している諸課題を解決するには歯が立たないかもしれません。あるいは古いだけでなく、間違った知識や情報のまま止まっているとしたらどうでしょう。未来のために、絶対正しい判断なんて導き出せませんね。

新型コロナウイルス対策として開発中のワクチンには、これまでのような細胞上でウイルスを培養して作る生ワクチンや不活化ワクチンのほかに、RNAワクチンやDNAワクチンという、まったく新しい技術、概念から生まれたものがあります。

世界中が大騒ぎして、一刻も早く完成させて欲しいと固唾を飲んで待ち焦がれているワクチンが、これまでとは全く違う製造法によるルーキーなんですよ。しかも、時間をかけて広く治験をさせてはもらえない。つまり、練習試合もなし、ってこと?

それを無料にするから、国民全員が射てって言ってもねぇ。ただでさえ、ワクチンそのものに反対って人もいるし。。。これは難問ですよ。

と、ここまでが前置きです。えっ、長すぎた? ここからは、短く話を端折ります。なーんてこと、あるわけないですが、今しばらくお付き合いを。

「随分いろんなイベントをやっているんですね」と彼女。

「そう。お客さんがやりたい、やってほしいっていうのは、原則みんな実現できる場所にしようと。もち、店名が九条Tokyoだから、窮状の解決になりそうなものは絶対やりたいけど、九条(憲法)に反するものはやりません」

ちっとも笑いは取れませんでしたが、思いは通じたみたい。

「楽しそー」

「そうだ、サイエンス・カフェみたいなの、やらない?」

ここで、やっと冒頭の話に繋がります。歴史の史料の新発見はもちろん、科学の世界は日進月歩。次々と新しい発見や技術の開発が進んでいます。ボクの大好きな脳科学の世界でも、たとえば、、、

目の前を落ちていくコインがかすめたとき、慌てて膝を閉じても遅い。だって、目で捉えて脳に信号を送り、脳が足の筋肉を動かす指令を出して、閉じた膝で受け止める、なんてことでは間に合いません。

我々は反射神経(?)で、それを行っているのです。つまり、遠い記憶か遺伝によるものかわかりませんが、人の身体に隠された、そういう不思議な機能や能力が、少しずつわかってきています。

人が生まれてくるまで母親の胎内で育てられるのは、遠い昔に人類の祖先の遺伝子に取り込まれたウイルスの影響によるものだって話を読んだことがあります。ウイルスはすべて悪ではないどころか、我々の遺伝子の一部はウイルス由来だそうです。そりゃそうでしょう。人類は78億人しかいないけど、ウイルスの数と言ったら、、、

そういえば、WHOが人類の1割はコロナに感染した疑いがあると発表しましたね。ってことは、約110万人が亡くなっているから、死亡率は

110万人÷人類の1割である7億8000万人=0.0014% いや、だから、どうだって言いたいのではありません。でも、WHOって大丈夫なのかなぁ。

話戻って、生物や化学、物理といった学問はとてつもないスピードで進化しているのに、我々の知能は学校を卒業すると、まったくアップデートされていません。どころか、最近の中学卒業生に比べて遥かに劣る知識で、「最近の若いのはぁ」、なんて言ってるんですよ、きっと。ドキッ。

「大人でもわかるサイエンス・カフェ、やろうよ。芸大生が投げ銭でライブやるみたいに、サイエンスの最先端を、投げ銭で語ってくれない?」

「超おもしろそう。いつ、やります?」

凄い! こういう人、大好きです。弦楽四重奏のライブをやることになった経緯を書いた時にも触れましたが、最近の若者は、「いいですね、いつか、ぜひやりましょう」と言って、そのいつかが永遠にやって来ないことがほとんどです。是非って、いつか、ではないんですよね。「是非」と「いつか」って、反意語では?

彼女は違いました。弦楽四重奏をやってくれた芸大生たちと同じように、いつか、ではなく、「いつ」やりましょうと、即決で話が進んだのです。

もちろん、科学者は最新の知見や技術を、人類の進歩に活かそうと考えます。遺伝子組み換えやiPS細胞だって、RNAワクチンだって、安全性を確保した上で、それを人類のために活かす方向で研究を進めています。

でも、その一方で、ワクチンや遺伝子組み換えは絶対反対とか、ボクみたいに大豆の遺伝子組み換えは反対だけど、iPS細胞には興味があるってタイプもいます。

要は結論を急ぐのではなく、まず対話だと思うんです。無知では「対立」こそ生まれても、「対話」はできません。ヒトがヒトである前提条件って、対話じゃん、交流じゃーん。説明もしない唐変木めぇ~、って、話がまた逸れそう。危ない、危ない。スガ、いや、スワ、話を戻します。

まず真実を虚心坦懐に受け止めて、自分がそれについてどう思うのか問い詰める。そのためには、自分の耳に心地よい話だけ聞いているのでは、発展はありません。つねに、自分をアップデートして生きていたい。いや、この歳ですから、死に向かって生きていたい。

彼女の遺伝子の話は、彼女が研究している「CRISPR-cas9」について、です。

ええー? もうそれだけで着いていけない、と思ったあなた。安心してください。超わかりやすく低レベルに翻訳するための質問魔が、ここについていますから。エッヘン。

どうやら、遺伝子の鎖が巻きついたタンパク質があって、その巻きが緩いタンパク質ほど何らかの意味を持っているそうです。いや、意味は全ての組織や存在が持っているのでしょうが、いま注目されている最先端の研究対象だそうです。詳細は当日。

【大人にもわかるサイエンス・カフェ】

◆日程 11/14(土) 15:00-17:00

◆会場 九条Tokyo

◆参加費 1500円(税別) 午後のスイーツセット or はじめの1杯セット付き

*うち500円は講師への投げ銭になります。

17時以降はバルタイムなので、そのまま飲んで語ろうじゃん。

実は、これから毎月、いや毎週でも開催していきたいイベントが3つあります。誰か一緒にやってくれないかなぁ。

①地方の街の元気印と繋いでのバル&バザー:1回目は10月23日19:00~「天草市編」。23~25日の3日間、九条Tokyoが天草市の飛び地になります。以後、全国の市町村の誰かと繋いでやりたーい。蔵元でもワイナリーでも、農家でも、東京にいる出身者でも誰でも。1700自治体の誰かと繋ごうとすると、1年50週ですから、毎週やっても、34年かかる~。

②サイエンス・カフェ:1回目は11月14日「遺伝子」。このあと、脳科学とか宇宙工学とか、温暖化とか、次々やりたいと思っています。遺伝子だって、奥が深いから何度でもいいんだけど。

③話食は世界をつなぐ:これまで小規模で何回かやってきましたが、そろそろ定例化したい。

この国は世界と繋がっていないと、やっていけないと思うんです。食糧だって多くを輸入しているし、輸出や旅行客がいないと経済は成り立ちません。辺境のまことに小さな島国です。毎月、いや毎週でも、世界の国や地域一つずつと繋がって、その暮らしや歴史、日本との関係を学びながら、何か産物を口にしたり手に取ったりしながら、リモートで現地と繋げられればいいなぁ。時差とかの関係で難しければ、日本に住んでいる詳しい方と繋いででも。世界には200以上の国や地域があります。1年50週ですから、毎週やっても、4年以上かかる。あっ、これなら生きているかも。。。

あなたのやりたいことは、なんですか?

九条Tokyoで一緒に実現しましょう。


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