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匂いの記憶 プルースト効果ってやつ

匂いを憶えておくことはできないらしいです。
”たい焼きの匂い”と言われてイメージはできても
その匂いを明確に思い出すのは難しくて、おでこのあたりがむず痒くなりませんか、、?

でも、匂いで記憶がフラッシュバックすることは経験ないでしょうか。
不意に鼻を抜けた匂いで誰かのことを思い出したり。
しかも匂いで思い出す記憶は、かなり強烈で鮮明で。

先日、部屋の掃除中にニベアの日焼け止めの空き瓶が出てきて
なんの気無しに中の匂いを嗅いでみたら、キタんです。
強烈で鮮明な記憶のフラッシュバック。

高校3年生のころ、大学生のお姉さんと遊んでいた時期がありました。
刺激的で大人になったような気持ちになれた恋の記憶でした。
その時に交わした言葉も、気持ちも、見ていた景色も
叶わなかった恋だったことも。

無理に服を押し込んだクローゼットが開いた時のように、
とめどなく、抗えない記憶の波。

実際に匂いを嗅いだのは3秒程度。
流れ出た記憶は数ヶ月分。
強烈でした。

匂いに紐づく思い出はそれ以外の記憶とは一線を画した何かがあると感じます。

プルースト効果っていうらしい。
目で見たものは脳に届くまでに左右交差する。
(左目で見たものは右脳に、右目で見たものは左脳に。)
視床という部分を通るほとんどの”知覚”は左右を交差して脳に届く。
でも、匂いだけは違っていて。
嗅覚だけは真っ直ぐ届いて直接処理される。
そして嗅覚を処理する脳のパーツは記憶を司る海馬のお隣さん。
普通に化学的に証明されてる。

でもきっとこれ進化の過程に基づくものなんだろうな、と。

人類がまだウホウホしていたはるか昔に、
食べ物を判別する際、匂いに紐づけて
「この匂いは!前にお腹を壊してやばかったやつだ!」
「この匂いのものは食べられるし、元気になる!」
みたいにしていたのかもしれない、

進化の過程で培われた本能的な”機能”が
生きるために匂いを嗅ぐ必要がなくなった現在は
情緒的な”役割”を担っていることもすごく面白いと思った。

鼻があってよかったよ。

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