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お願いできる?

最近、うまく眠れなくて、
これは不眠とか不安とかの病的なことではなく、ただの加齢であることは間違いなくて、早く寝ると早く目が覚めるということ。朝4時とか。
ありえん。
と思っていて、あることに思考が至った。

犬と一緒に寝ればぐっすり眠れるのではないか。

話は数日前に遡る。
ウチの犬のさんぽコースに、ウチの犬にだけ吠える犬がいる。
ウチの犬がいなくなってから1ヶ月が過ぎた。
さんぽコースは、私がさんぽではなくともよく歩くコースなのだが、この前、その犬がぎゃんぎゃん吠えた。
ああ、今、ウチの犬がここにいるんだなと思った。
そばを歩いてるんだなと思った。
やばい。コレを書いただけで泣ける。

ごめんな、犬。この前、お寺に祀ってもらったばっかりなのにな。
心配で帰ってきてくれたのか。ゆっくりできんな、ごめんな。
君はやさしいな。
そうか、一緒に、今、そこにおるんか。
「れーちゃんきたん?」と思わずつぶやいたら涙が出た。
傍から見たらただのヤバイ人である。

お気に入りの犬のぬいぐるみがある。もう20年近く前に近所のフリーマーケットで一目惚れして連れて帰ったぬいぐるみで「もふ」という名前も付いている。100円だった。

ウチの犬とは似ても似つかぬ犬のぬいぐるみなのだが、これはウチの犬だろうと思った。我ながらかなりヤバイ人だ。
犬が帰ってきたとき、このぬいぐるみを憑代にすればいいじゃんと思った。そして、今、恐らく犬は帰ってきてくれている。
「ここに来ていいよ」
そのぬいぐるみを抱いて寝た。その絵面を想像すると少々気持ち悪いかもしれないが、ここはちょっとスルーしていただきたい。

たぶん、その日、犬はそこにいた。
ここ最近でいちばん、ぐっすり寝た。
目が覚めるとぬいぐるみは見事、私のお尻の下に敷かれていた。
ごめんな、犬。重かったな。
「れーちゃんごめん!」朝からひとりで大笑いした。
傍から見たらただのヤバイ人である。


ありがとうね、れーち。
ありがとうありがとうありがとう。
ゆっくり休んでいいんよ。私は大丈夫よ。ほんとに大丈夫。
でも、たまにこうして帰ってきてくれたらうれしい。
帰ってきてほしい。
無理しないでいいけど、たまに、帰ってきてほしい。
憑代は、いつも布団の中に入れておくことにするから。

あとねえ、お嬢が相当ダメージを受けてるんよ。
君を見送ったあと、数日熱を出したらしいから。
東京にも、たまには顔出してもらえるだろうか。
ちょっと遠いけどさ、君の足は、速いから。
お嬢のところに行って、元気づけてやってほしい。
お願いできる?

ほんと、不甲斐ない飼い主たちやね。
大好きよ、れーち。


※ウチの犬の愛称が「れーち」です。






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