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俳句「義母」

春の朝にんげんとは斯く脆きかな
彼岸入り義母の視線は定まらず
たまご粥に紛れておりぬ朧月
鳥帰る人も何処かに帰りけり
青海苔を前歯につけて三日過ぐ
桜見に誘えど薄く笑うのみ
手入れせぬ庭の椿は赤々と
どこに仕舞う記憶であるか落椿
水温むはだかで蹲る義母よ
花冷えの何処まで蒼い月灯り

藤田美香

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2023年春に書いたもの。
淡々と吐き出したかった。出てきたものは17文字だった。
これが俳句になっているのかはよくわからない。

もう何年も何年も前に「短歌は気持ちが表れすぎて気恥ずかしい」(要約)と誰かが言っていたのをずっと覚えている。この春、その言葉をやっと理解した。


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