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生命の火花。
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2017年6月の記事一覧

人間に恋をしたら、その人が落ち込んで自身が宇宙に独りぼっちだと思い込んでいる間、窓ガラスを突っついて、僕に不釣り合いなほど、君に見合うほど、美しい花を摘んで、授けよう。

(「鳥身」より)

鳥身

松浦理英子『犬身』を読んでから、一年。

性同一性障害ならぬ〝種同一性障害〟なのだ、私は人間じゃなくて犬だ!

というのが、趣を殴り捨てた『犬身』の要約だ。(個人的には、人間関係が面白いというか、ちくちく胸に刺さって痛かったので、あらすじだけでなく読んでみてほしい本です。)

忠実な果実のようにぬくぬく育って、はち切れんばかりに膨らんだ、決心がある。

朽ちる前に成就したいけれど、一体

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Ich lebe...

Ich lebe...

男だったら、AVを観る代わりに地球の歩き方【ドイツ】でシコっているに違いない。
ただふっと好きになってしまっただけだ、好きになる始まりはいつだってそのようなものだ、わかっている。
それなのに、もはや狂わしく、巌窟王が四半世紀ぶりに日光を浴びて立ち眩むくらいには、ドイツの魅力に支配されてしまったのだ。単語を聞くだけで身体中の神経が条件反射で興奮する。

久しぶりに再開したアプリのパスワー

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幸せになっていいんだよ。

鏡を千枚用意してどれだけ写して写しまくったとしても、一ミクロンも掠らないほど正反対の友人がいる。それほど完全に異生物なのに、私は彼女が好きで堪らないのだ。そうとしか言えない、一人の友人がいる。

どれだけ違うかというと、きっと私が会いたいときは彼女は会いたくないようだし、彼女が頻繁に誘ってくれるときは私が乗り気じゃなかったりする。とことん違う。ひどい。

あのときだって、彼女が飲みに誘って

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