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少女たち(瞬間に舞う)

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女の子たちの瞬間のものがたり(短編小説集)
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#詩的散文

せつなくて、

心は奪われそうにざわつきながら、

確実に、ただ確実に、

支点は鉛のように一点に沈み込んでいた。

ちらりちらりとざわつきながら

確実に、ただ確実に、

なにも、なぁにも奪われなかった。

軽やかな諦めに

ちらつく羨望

まるで、瀕死の、魚みたいだ。

(恋になりきる前に、ふふふと諦める、他の誰かの男について)