日本人が湯船が恋しいと思う理由
①日本と海外では、『水』に対する価値観が違うから
日本と海外では、『水』に対する価値観が大きく異なります。
日本は四方が海に囲まれており、水資源が非常に豊かな国です。また、上下水道のインフラも整っており、蛇口をひねれば十分な水が各家庭に行きわたります。水道水はもちろん、お風呂や洗濯など、あらゆる場面できれいな水を使用することができます。
一方で、海外では日本と同じように水資源が豊富、上下水道インフラが整っているところはそうそうありません。貧富の差も激しく、水は一滴無駄にできないという考えが染みついており、お風呂に水を張るのはもちろん、『シャワーでも15分以上浴びることは絶対に禁止』という家庭も多いです。
お風呂以外でも、汚れた食器をある程度貯めてから洗うようにしたり、洗濯物も週に1回まとめて回したりと、水に対する価値観が日本とはずいぶん異なります。
日本では当たり前のようにある湯船が、海外ではシャワーだけだったりする理由は、こういった『水』に対する価値観の違いにあるのかもしれません。
従って、水資源が豊富、上下水道インフラが整った日本では、湯船に浸かるためのたくさんの水を使うことができ、湯船文化が醸成、発展していったのではないかと思います。
②海外→お風呂=『汚れを落とす場所』
欧米人は日本人よりも体臭が強い方が多く、日本人のように1日1回しっかり湯船に浸かるのではなく、シャワーをこまめに浴びることで、においや汚れを洗い流すという考えがあります。
海外では、お風呂はあくまで『汚れを落とす場所』として考えられており、それならシャワーで充分だと考えている国も多いようです。
従って、お風呂=身体を清潔にする場所と考えている海外の国では、湯船に浸かる文化は深く根付かなかったのかもしれません。
ちなみに余談ですが、インドネシアに5年間駐在していた私の会社の隣の先輩がインドネシアのお風呂事情について話してくれました。
インドネシアでは、『マンディ』という水浴びの習慣があるそうで、それによって身体を清め、高温多湿の環境下でも身体を冷やして過ごしやすくするとのことです。
(先輩にこの画像を見せたら、綺麗なマンディスペースだねと真顔で言われました)
③日本→お風呂=『汚れを落とす場所』+『リラックスする場所』
お風呂=身体を清潔にする場所
という価値観は海外、日本も同じですが、これに加えて日本人は、お風呂にリラクゼーションの要素を求めています。
湯船に浸かることで得られるリラクゼーション効果の例として、
浮遊感や裸の解放感によるストレス解消
血行促進による心身の疲れを解消
ゆず湯や菖蒲湯、露天風呂などで四季や古き良き入浴文化を楽しむ
家族のコミニュケーションの場
など、日本人はお風呂にリラクゼーションを求めており、湯船というのはそれを実現するために必要不可欠なものだというのがわかります。
また、諸説ありますが、日本の湯船の歴史は、奈良、平安時代から始まります。もうDNAレベルで、湯船への渇望が日本人の細胞に刻み込まれているのかもしれません。
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