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STAYTHEE が公開されました

RICOHの新規事業 STAYTHEE

7/13日、RICOHの新プロダクト、STAYTHEE(ステイシー)がリリースされました。
7/20日より初回限定版の先行予約が始まっています。
私はパートナーとして、事業面とデザイン面(VI、プロダクト監修、コミュニケーションデザイン全般)で全面サポートしています。

STAYTHEEは水中で360度カメラを浮遊固定できる浮力調整器です。
今までにない映像が撮れるようになります。
RICOH THETAをはじめとして、さまざまな360度カメラに対応を予定しています。
どんな映像が撮れるかはPVをご覧ください!(冒頭の私がデザインしたサウンドロゴもご覧ください!)

多くの方がご存知のように、大企業で新規事業を立ち上げるというのはかなり大変なことで、STAYTHEEも多くのチャレンジやハードルを乗り越えてリリースまで辿り着きました。
とはいえ、駆け出しのプロダクトのため知名度も低いため、プロダクトの宣伝も兼ねて、可能な限り開発の裏側を公開していければと思っています。
普通、大企業内でのこういう話はあまり世間に出てこないと思うので、多くの新規事業担当者やデザイナー、経営者の参考にしてもらえるのではと思っています。

アクセラレータープログラムTRIBUS

RICOHは社内外の起業家を対象としたアクセラレータープログラムとしてTRIBUS(トライバス)というのを開催しています。
山下社長含む経営陣もコミットする力の入れられたプログラムで、
私はそこに参加する起業家たちのメンターの1人としてお声がけいただきました。

メンターは育成フェーズを経て2回に渡るピッチコンテストで社内外審査員により採択された全チームと面談し、チーム側が最終ピッチまでのメンターを逆指名します。この時点で全部のチームがプロダクトやサービスのアイデアとビジネスモデルをある程度固めてきています。とはいえ、新規事業を多く立ち上げてきた人間からすると非現実的なものが多いのも事実。初回の全チームメンタリングではセールスプラン、自社でやる意味、実装の見通しや分野知識、事業数字の見通し、商流知識など様々な面から忖度なしでコメントさせていただきました。参加者のほとんどが事業立ち上げの経験がないのもあって、こちらは正直かなり厳しいことを全チームに進言することとなり、いい気持ちはしなかったチームが多かっただろうなとは思います。まぁそれが役割だからしょうがないんですけど。

そんなフェーズを経て、各チームが付いてほしいメンターを選び、数ヶ月の伴走期間を経て最終ピッチに臨み、経営陣及び審査チームに選ばれたチームが事業化へのリソースと権利を獲得するという運びでした。

結果、 私からの忖度なしの厳しい指摘を受けつつもあえてメンター指名してくれた2チームが見事選ばれ、事業化の道を辿ることになりました。かなり厳しい事もたくさん進言させていただいたのですが、それをちゃんと咀嚼して、元々のビジネスモデルやここまでのプレゼンテーションも根本から変える事、変化を厭わないようなアグレッシブな姿勢が2チームの扉を開いたのだと思います。

そしてその2チーム両者を今度はパートナーという形で引き続きサポートを打診いただき、伴走を続けていくことになりました。STAYTHEEチームはその中の1チームです。

発端は1人のエンジニアの情熱から

STAYTHEEはカメラを水中の任意の高さで固定浮遊させることができる「浮力調整器」です。
もとはSTAYTHEEチームのリーダーでもある、エンジニアの小関さんが個人でプロトタイピングしていたものでした。
私もキャリアのルーツは家電メーカーの工業デザイナーで、「ものづくり側」の人間なので、実際に手を動かし、現場でプロトタイピングし、改善を続けていく大切さとモチベーション維持の難しさはよく知っています。
事業はマラソンです。短期間でポーンとうまくいくことは稀ですし、うまくいったとしてもそれを長期間続けていかなくてはなりません。そのためには「こだわりと情熱」を継続して燃やし続けられるリーダーがすごく重要で、STAYTHEEチームが評価されたポイントとしてもここがあるだろうと感じています。

ダイビングも小関さん自身が好きで楽しんでいることだったり、事業担当者が自分ごととして情熱を持ち続けられる領域を選ぶことは、困難にぶつかってもモチベーションを保ち続けられる要因となるので、新規事業にはかなり重要です。

発明者でチームのリーダーでもある小関さんとの「ものづくりにフォーカスした生々しい話」の対談記事も後日公開予定です。

ベテランがメインのチーム構成

新規事業のチームというと20代30代の若手で派手なキラキラチームを想像されることが一般的と思います。
ましてやダイビングみたいなマリンスポーツ、360度カメラみたいなテクノロジー領域のプロダクトだとさらにそういうイメージを持たれることと思いますが、STAYTHEEのチームは5,60代がメインのチームなのです。ここもSTAYTHEEチームのユニークなポイントです。
若手人材があまり持っていない、社内外へのネットワークや、積み重ねた専門領域の知識や営業スキル。一方で自分の専門領域を神聖視しないバランス感ある思考などベテラン世代ならではの強みがあります。

若い人の方が体力も時代にフィットした知識も感性も持っているので、年齢が全く弱みではないとまでは言いませんが、年齢や重ねたキャリアをうまく使っての戦い方はいくらでもあるということですね。
大企業における新規事業については、ベテランの可能性を信じれる社内の体制や、世代を超えたチームを組めるカルチャーなど、経営側のアクションがかなり大事だなーと考えています。その点ではRICOHはTRIBUSの運営チームが素晴らしい土台づくりをしていたおかげで、STAYTHEEはローンチまで行けた感があります。

やったことないづくし

今回STAYTHEEのメンバーはやったことないづくしにあえて挑戦しています。
独立系のスタートアップと同様、事業の立ち上げメンバーというのは広範囲なことをやらないといけません。事業運営の基盤自体ができていないため、必然的に、メーカー社員として既存事業に関わる場合よりも広範囲な役割を担うことになります。
事業数字も作ったことない、SNSもやったことない、広報や各種ウェブ関連の申請もやったことない。ウェブサイトも、製品のPVなんて作ったことない。なんていう状態の中手探りで進むのが新規事業立ち上げの常です。
事業のためにはなんでもやるぞ!という姿勢でSTAYTHEEメンバーは取り組んでいます。
STAYTHEEおよびTRIBUS出身メンバーが先行して得たこれらの経験値がRICOH社内に環流していくことでのグループの強化も期待されているところです。

はじめてのSNS

ブログも書いてもらうようにしました。noteです!
最初はどう書いていいかわからない、会社にもOKもらえるかどうか…
みたいに心配はされていたのですが、「カッコつけずにありのままに書いていい」「おじさんっぽさもチームの個性だから覆い隠す必要はない」といった提言を信用していただき、RICOHの広報チームのサポートもあって、大企業の新規事業チームとしては珍しい開発ブログを書いてもらっています。
「おじさん」という呼称もネガティブに取られかねないので使うかどうか議論したのですが、等身大の自分達を出していくためにも使いたいということで採用しました。頑固おじさんにならずに全員どんどんチャレンジして成果を出しているのが素晴らしい!
ブログを通じて1人でも多くの人にSTAYTHEEを知ってもらいたいと考えてますので、こちらも是非チェック&フォローお願いします!

デザインへの理解

現在、どんな事業を立ち上げる際にも、最も重要な検討事項だと言えるのが「デザインの視点」です。理想の事業をどうつくるのか、また事業がどういうイメージを持たれるのか、どんな価値を感じてもらえるのか。これらが全て「デザイン」という思考法に強く影響されることになります。
「製品のデザイン」「パッケージのデザイン」「広告やウェブのデザイン」「プロモーションビデオのデザイン」「ブランドロゴやサウンドのデザイン」….
デザインとは何か、今の時代において見え方がいかに重要かということをプロジェクトの初めにメンバーにインストールさせてもらい、PVやVIなどへ全員が意識高くコミットすることを納得していただき、プロダクト検討の初期からデザインの重要性を意識してもらうようにしました。

伝えるデザインを意識したプロモーションビデオ

ものづくりの人たちは「機能が良ければ売れる」と思いがちで、多くの大企業の新規事業が「スペックアピール」傾倒のプロモーションになりがちです。
STAYTHEEのプロモーションビデオは製品スペックの説明ではなく、得られる体験自体の映像としました。STAYTHEEを使うことで出会える美しい世界を見せることで製品の良さを感じてもらうコミュニケーションデザインです。
もの偏重のスペックの話を一切出さずに、体験の映像で良さを伝える。サウンドロゴまでしっかりデザインされたPVを最初からちゃんと用意できたのも、チームがプロダクトデザインについてしっかりと学んで考えた結果だと思います。
PVもプロダクトも、ベテランのおじさんたちでもちゃんとやればかっこいいものができるんです!という証明ができたのかなと思っています。

引き続きフォロー希望&先行予約受付中

こんな感じでローンチしたSTAYTHEEは現在、先行限定販売の予約受付中です。初回限定版はシリアルナンバーとオリジナルの名前刻印がされる特別パッケージです。ウェブサイトからぜひご予約ください!

引き続き、開発チームのnoteなどで色んな情報、苦労話を公開していけたらと思いますので、是非STATYTHEEチームをフォローください!

STAYTHEEチームのTwitter 
開発チームのnote


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