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久賀池知明
2023年9月1日 22:41
鋭いナイフの先端からポタポタと水滴が落ち、黒い岩石で出来た床をさらに黒黒しく染めていく。今まさに誰かを突き刺し殺めて、その場に立っていると言わんばかりの量の血だ。彼女が何者で幽霊か付喪神かあるいはその他に分類されるのかはどうでもいい。明らかなのは彼女が僕を見て生気の無い顔に恍惚な表情を浮かべながら、棚の間をゆっくりとこちらに歩いて来るという事だ。 棚と棚の間隔は彼女は通れても服が引っかかるはず