イルミネーションはもうすぐ(小説)
(第210回コバルト短編小説新人賞 もう一歩の作品)
机には化粧品が散乱し、ベッドには服が広がっている。それらを放置して、裕香は小さな洗面台の前で決まらない前髪に苦戦していた。腕時計はもうすぐ十時を指そうとしていた。遅くても十分後には家を出なければ間に合わない。
今日は結婚相談所で出会った三澄とのデートだ。婚活を初めて二年、最初のお見合いで切ること切られること数知れず、仮交際に発展してもいわゆる「三回目の壁」が超えられなかった。三澄とは今日で五回目のデートだ。別れるのか