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工東工の掌編小説集

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私が書いた掌編小説をまとめています。
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記事一覧

第85年度原始魔法部新旧部長対決(ショートショート)

 ついに先日、木枯らし一号が観測された。水の抜かれたプールの底に二人の男が立っていた。パ…

工東工
2年前
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一番は誰だ?(ショートショート)

 柏原美羽がキーボードを叩く音が、がらんとしたオフィスに響いている。美羽がエンターキーを…

工東工
3年前
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四月一日の魔法(ショートショート)

 隣の彼女は、ワンレンの前髪ごと耳へかけた。露わになったフェイスラインは先週のそれとは明…

工東工
3年前
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ラブレターなど燃やしてしまえ(ショートショート)

 リビングに置かれたダイニングテーブルでもそもそとトーストをかじる。目玉焼きにベーコン、…

工東工
3年前
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若気の至りで済ませて欲しかった(小説)

 佐々木とは過去に面識があります。はい、私が過去に働いていた介護施設の職員でした。彼と出…

工東工
3年前
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クレイジーデブス(小説)

 山本香里奈は今日もうるさい。高校の休み時間の教室はいつも騒がしいがあいつは群を抜いてう…

工東工
3年前
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イルミネーションはもうすぐ(小説)

(第210回コバルト短編小説新人賞 もう一歩の作品)  机には化粧品が散乱し、ベッドには服が広がっている。それらを放置して、裕香は小さな洗面台の前で決まらない前髪に苦戦していた。腕時計はもうすぐ十時を指そうとしていた。遅くても十分後には家を出なければ間に合わない。  今日は結婚相談所で出会った三澄とのデートだ。婚活を初めて二年、最初のお見合いで切ること切られること数知れず、仮交際に発展してもいわゆる「三回目の壁」が超えられなかった。三澄とは今日で五回目のデートだ。別れるのか