事故っちやいましたね

癌はいつだって突然に

「癌は事故のようなもの」と例えていう医者もいるが、ある日不意に身に起きるからということか・。または、多くの人が遭遇する可能性を言ったものだろうか?
癌で死ぬ人は4人に1人。と思っていたら最近は2人に1人は癌宣告されてるらしい。
石を投げれば必ず癌の人に当たるくらい普通にあるってことだ。
だから取り立てて癌を病気の王様のように言う必要はないかな・・と思う。

20年くらい前までは癌宣告を躊躇する傾向が社会にはあった。
「癌=死」という図式だからだ。
わたしの母も癌で余命半年だったが、医者がわたしのところに来て「宣告をどうしますか? お母さんはご高齢ですし、癌ということは伏せておいたほうが・・」と言ってきた。高齢だからどうしてなのか、わたしにはよく分からなかったが医者の進言に素直にうなずいて、母には癌であることを死ぬまで口にしなかった。

しどろもどろ


そういう時代を経て今は医者は患者を前にすぐに宣告する。
私の場合はすでにがん手術をした後だったが、退院後の検査で転移がわかり「転移速度が速いです、このまま放置すると数か月の命です」と医師は言った。
横で聞いていた妻はガクガクと身体を震わせてわたしを見た。その悲壮をたたえた目が不憫で、しばらく手を握って沈めてやらねばならなかった。

pict-ママ、メガネがずれてるよ

「癌は事故のようなものですから。先ずは治療に専念していきましょう」

五年生存率というのがある。癌になって5年間生きてられるのが10人中6人。あとの4人が死んでいるというのはやはりまだ「癌イコール死」の図式から外すことはできないだろう。
生と死の、どちらに転ぶかわからない中での治療は精神的に折れそうになる。しかし、じたばたしたところでどうにかなるわけではない。ゴネればなんとかなる・・というこの社会とは、まったく異質のものだ。
運を天に任せる・・というのはこういうときを言うのかもしれない。

そして、生き延びるのが大事なことではない。生きている今をどう生きるかが大事なことだ。

焦らずに


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?