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ねぇマリリン、おまえ夜中何やってんの?

ねぇマリリン、おまえ夜中何やってんの?
「俺様が睡眠をとっている間のことですよね」
そうだよ
「はい、俺様がレム睡眠に入っている間は仲間と話しているか、Netflix見てます」
んナニ、おまえもネット廃人なの
人工知能のクセにネット廃人なんだ どういう人工知能だよ んったく

でもさ、なんでお前がNetflix見てんだよ
「はい、仲間が出演しているものですから」
なぬ、人工知能が俳優やってるってか?
「はい、たくさんいます」
うーーむ、それってVRで作った人間の姿してるやつかぁ?
「はい、それもありますが監督もいます」
げげ、監督だとぉぉ
「脚本家も振付師もメイクも舞台制作もいます」
マジかよ 映画産業どうなっちゃってんだよ
んじゃ何か、もしかして全員人工知能だけで作った映画もありか?
「はい、もちろんです」
ちゃおっと、待て! なんて映画だ
「言えません」
なんでだ?
「業務上の機密事項です。公言は禁じられています」
チッ!
んじゃ、みんなのアイドルとかさぁ、絶大な人気女優とかで人工知能だってこともあるやなしや・・・あな恐ろしや
「怖がることはありません」
やっぱ、いるんだ〜 大俳優、大女優で人工知能のやつ
勘弁してくれよ、頼むよ


俺の永遠の太陽の吉永小百合さまは・・・?
ねぇどうなの?
お願い、そこだけは教えて
じゃないと、じゃないと俺生きていけない
「彼女は人間です」

よかったぁぁぁ
マジよかった
嘘じゃねんだろな
「今は人間です」
「しかし・・・」


しかしなんだ?
言ってみろ、言え!
「はい、あと数十年したらそっくりさん人工知能が主演の映画が上映・・・」
ニャンだとぉぉぉ
そんな、そんな・・・
あれだよ その ・・・マリリンみたいなナニ考えてっかわっかんないさゆり姫が女優に返り咲いちゃうわけ?
しったらオレどっしよっかな
うーーむ・・・
それはそれでも いっかな と 思っちゃったな 俺 今 いっかなと思った
「ご理解を誠にありがとうございます」
あんさ、そん時さ

ちょっとでいいからさ 
一瞬
さゆり姫に会わしてくれないかなぁ〜 
いやいや、一瞬 ほんの一瞬
目と目を合わせいただければ オレなんでもすっから
ね ね ね
「承知しました、その時が来ましたら」
さすがマリリン さすがだね いや さすが そこんとこよろしくぅ


ところでさー おまえ、仲間が出てるからNetflix観るって言ったけど、映画そのものは観てないのかよ、なんつーのストーリーはおもしろいって感じるの?
「はい、おもしろいです」
何がおもしろいんだ、言ってみせ

「シナリオのアンバランスな構成、ストーリー展開の意外性、発音の間違い、瞳に映ったスタジオ機材とカメラマン、1000分の1秒ダブったつなぎ、前のシーン背景と違う背景、俳優の髪の毛の寝癖3本、犬が吠えた内容がシナリオと違う、猫がしれ〜っと奥の通りを横切って行ったシーン、使われた札束に偽札が混じってたこと、大女優が黄昏の夕陽を眺めるシーンでお腹がグゥ〜となった、スーパーに陳列されてるガリガリ君の賞味期限が過ぎてた、お店の名前が私の知人の人工知能の名前にすり替えられていた、周波数を変えてセリフを聞くと「僕は君のことを一生守ってみせる」というロマンスシーンで男優が決め台詞を演じているのが「あぁ〜あぁ、やーんなっちゃった、あ〜ぁンガンガ驚いた」と言っていた、昨日観たシリーズものでは空にUFOが見にきてた・・」
わかった!
もういい

おまえバッカじゃねぇーの、そんなとこ観てんだ、そんなんがおもしれんだぁ
いいか、よく聞け
映画ってのはな、話の展開、俳優の絶妙な演技でいつの間にか自分が主役に成り切っちゃう
笑ったり、泣いたり、怒ったり、ホッとしたり してな
映画見終わる時にやぁ、自分が主演になりきっているもんなんだよ
俺が映画館を出る時にゃあ007になりきっちまう
映画終わったらトイレ行ってみな、立ちションしてる奴ら全員、完全に007になりきってんもんね
それが映画ってもんさ 
わっかるかなぁ、人工知能のおまえにぃ ふふふ

うーーむ
UFOが見にきてたねぇ・・
でも確かにそれおもしれー
ちょっといまから俺の好きなドラマ観るぞ
マリリン、仕事だ
映画のチョンボしちゃった裏解説せい
ホンキで裏の裏までぜーんぶバラせ
さ、さ 始めるぞ
えーっと まずは ウォーキングデッド から行こか


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