任天堂・コロプラ訴訟において和解成立
任天堂株式会社が株式会社コロプラに対して提起していた特許侵害訴訟において、コロプラが任天堂に和解金33億円を支払い、任天堂が訴えを取り下げることで両社が合意し、和解が成立しました。
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任天堂は、コロプラが提供するスマートフォン向けゲーム「白猫プロジェクト」に使用されている、キャラクターの操作方法等に関する技術が、任天堂が保有する6件の特許を侵害するとして、コロプラに対して特許侵害の差止めおよび44億円の損害賠償を求め、2017年12月に特許侵害訴訟を東京地裁に提起しました。
その後、2021年4月には、任天堂はコロプラに対する損害賠償請求額を約97億円に引き上げる訴えの変更をしていました。
今回、コロプラは、将来のライセンスも含めた和解金として、任天堂に対して33億円を支払い、任天堂は訴えを取り下げることで、両社が合意しました。
これにより、約3年半に及ぶ両社の間の訴訟は終了することになります。
特許侵害訴訟において、特許侵害の有無および特許の有効性についての審理が行われた結果、裁判所が、原告(特許権者)に有利な心証(特許は侵害されており、かつ有効であるとの心証)を抱いた場合には、裁判所は被告に対して特許侵害の差止めや損害賠償を命じる判決を言い渡すことになりますが、被告としては、そのような判決が出ることは避けたいと考えることが多く、裁判所が原告に有利な心証を開示した時点で、当事者間での和解交渉が促進され、判決前に当事者間で和解が成立するケースが少なくありません。
今回の訴訟においても、2021年4月の任天堂による請求額引き上げの前の時点で、裁判所は、任天堂の少なくとも一部の特許については侵害かつ有効であるとの心証を当事者に開示したことで、任天堂とコロプラとの間で和解に向けた話し合いが本格的に行われるようになり、その結果、今回の和解成立に至ったものと推測されます。
文責:乾 裕介
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