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40年前の週刊 少年マガジン掲載作品を公開します__「えびぞりロック(1)」

何を隠そう、ボク今年で漫画家デビュー40周年なんです。で、40周年記念ということで、40年前に週刊 少年マガジンに掲載された作品を公開しようと思います。(作品は単行本化されていないので一般公開も40年ぶり!)まずは、作品公開の前に(それまでの作品もチラっと見せつつ)デビューに至るまでの当時の話をしたいと思います。


1980年
まず、当時のボクの状況は というと年齢は19歳。原宿のデザイン専門学校へ通っていて(毎日、あの竹下口の改札を抜けて学校に通っていた)学校の後はデザイン事務所のバイトにも行っていた。(場所は平河町、国会議事堂の近所)そして自宅に帰れば出版社へ持ち込む為のマンガ原稿を描いていた。(原宿や平河町に毎日 通ってるわりには、当時、自宅は板橋区だった)絵を描く仕事がしたかったので、イラストレーターも視野には入っていたが、本心では「漫画家になる!」って思っていた。

で、初めての持ち込みは その年(1980年)の1月末頃あたりだったと思う。持ち込み先は「講談社」の「週刊 少年マガジン」の編集部。そして、先に言ってしまえば、この持ち込みから半年後にボクはプロ漫画家としてデビューしてしまうのである。

その雑誌が ↓ これ!少年マガジンの増刊号!

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この雑誌、漫画賞の受賞者を含んだ新人さんの作品を集めてるんだけど、さすがにそれだけでは物足りない(笑)ということでメイン作家として、ベテランの永井豪先生と、かざま鋭二先生が執筆されている。表紙にはボクの漫画作品のタイトル「えびぞりロック」の文字と、その絵が(小さくだけど)載っている。


アップ画像はコレ ↓(デビューのときは 本名だったので一応、消してます)

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生まれて初めて自分の絵が漫画雑誌の表紙に載った!
という記念の絵が、あのデビルマンの顔に
少し被ってるという幸せよ!(笑)


さて、ここで話を少し戻して、初めての持ち込みです。

初めての持ち込みで持って行った漫画原稿は16ページと8ページの2本。講談社の今の旧本館の2階(だったと思う)の応接スペースで若い編集者のYさん(当時25〜6歳か)に原稿を見てもらう。その原稿、ちょっとだけ見せちゃいます!


まず8ページ作品の方から ↓

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サイレンス・クライというだけあってセリフは、ほとんど無い。さらに絵柄も商業雑誌に載るとは思えないマニアックな世界。当時、商業誌とは別にニューウェーヴと言われた新しい漫画家さんたちの流れがあって、その影響も受けてる感じかな。内容的には大人や世間の偏見みたいなモノに対しての憤りみたいなことを未熟ながらも表現している。まあ、若者らしいテーマの作品。


そして16ページの方はコレ ↓

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「必殺勤め人」って… 初期の必殺好きが高じて描いたんだろうけど、内容が凄まじく酷い!絵も負けじと酷い!まあ、扉の絵は、ほとんどイラストみたいなもんなんで、まあ いいとしても 中のマンガは こんなですから(爆)↓

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で、ストーリー内容はといえば、表向き普通の会社が、実は裏では会社の上層部が秘密裏に覚せい剤を開発していて、その新薬を業務成績の悪い社員に実験として飲ませ死に至らしめる。その悪いやつらを死んだ社員の同僚や社内の清掃をする男たちらで、必殺のごとく仕置き(処刑)するという… ああ、頭がいたい。

絵も酷いが、ストーリーも小学生レベル。
編集のYさんにも、このマンガは
ほとんどスルーされたと思う(笑)


で、結局、編集のYさんには
「8ページの方はテーマは面白いから、このテーマで
普通の漫画(マニアックな表現はしない)を描いてみてよ」
と言われたのだった

「わかりました!」とボク


それから、どのくらいの期間をかけたのかは記憶にないんだけど(多分、そんなに時間は かけていない)一気に32ページの完成原稿を描き上げ、担当となったYさんに連絡を取って二度目の持ち込み。そのときの作品の扉がこれ!タイトルなんて「何もかもぶっとばせ!」だよ(笑)(担当Yさんからはタイトルはペン入れず、鉛筆書きで良いと言われいていたので、今回タイトルだけ追加で入れています)

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内容的には、前回、持ち込みの8ページ作品のテーマを踏襲しつつ、当時、高校時代の自分の経験や感じていたことなんかが 結構 盛り込まれいる作品になっている気は します。はい。中身、チョットだけ見せます ↓

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で、これ読んだ担当Yさん「この主人公、一直線すぎるよね〜。思考も真っ直ぐすぎで、これじゃあ、すぐ死んじゃうよ〜」って、もう笑うしかない。キャラ作りも未熟さも相まって、そうとう短絡的、破滅的な性格なキャラ(ある意味、生真面目か?)だったんだと思う(笑) 担当Yさんはマガジン掲載中の作品を例に出しつつ「あの作品の主人公だってさあ、真面目なキャラだけど砕けた部分だって持ってるじゃない」「人って、そういうもんでしょ」と。


担当Yさんは
「次はもう少し砕けたコメディっぽい
明るい話を描いてみてよ〜」

「わかりました!」とボク


そうして描いた作品がコレ!高校生の男子グループがディスコ(あ〜懐かしい!笑)で、ナンパする話で、タイトルが「サタディ・ナンパ・フィバー」。コメディっぽい明るい話を描いてと言われて描いたのがナンパか(笑)

16ページ作品 ↓ コレが扉絵と2ページ目

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この漫画は下書きの段階で打ち合わせをして何度か直しを繰り返し、担当Yさんも納得したところでペン入れして完成した。初めて編集会議にも、かけてもらったんだけど、残念ながら掲載(デビュー)には届かなかった。ただ、今回の漫画の中で、コメディパート役で描いたサブキャラが担当Yさんの目に止まったようだ。


それが ↓ このキャラ

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担当Yさん
「このキャラクターさ〜、面白かったから
コイツを主人公にしたギャグマンガ描いてみてよ」

「わかりました!」とボク


そうして描いた作品が、この記事の最初に紹介した
デビュー作の「えびぞりロック」だったのだ!!


雑誌の正確な発売日は、ちょっと わからないんだけど、発行日から考えると8月の頭ぐらい。持ち込みを始めてから、たったの半年で掲載雑誌が お店に並んだことになる。で、これが掲載された漫画の扉 ↓

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デビュー作の内容はというと…
ある高校、主人公の高校生が組織する「えびぞり団」(と言っても三人)の校内での傍若無人が問題視されていた。その組織を潰す為に校長は少年刑務所から「流(ながれ)」という男を呼ぶ。


そう、当時「週刊 少年サンデー」で人気を博していた
漫画「男組/雁屋哲、池上遼一」のパロディだ(爆)
「サンデー」だよ!「小学館」だよ!
それを「講談社」の雑誌で描いたという…(大汗)


おまけに、ご丁寧に
池上先生の絵まで ↓ 模写してるという…

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まあ、ともかく!この作品でデビューっていうのもビックリなんだけど、ホントに驚いちゃうのは その後! 雑誌を発売したら読者アンケートで「えびぞりロック」がダントツに人気だったそうなのだ!! それで、いきなりデビュー作の「えびぞりロック」が本誌「週刊 少年マガジン」の新連載候補になって、なんと…なんと…

1980年の「週刊 少年マガジン」47号から 新連載開始です!
(デビューから3ヶ月も経たないのに!!)


はい。お待たせしました。

これが40年前の週刊 少年マガジンに掲載された初めての連載マンガ「えびぞりロック」第1話の全ページ(10ページ)雑誌掲載のまんま、ご覧ください ↓


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いかがだったでしょうか?
40年前の『 THE!少年マンガ 』(笑)
いろんな意味で時代がモロに反映されていて
今の人が読むと、どう感じるんだろうか?


ちなみに気がつきましたか?

マンガ枠外に薄く印刷されている「EBIZORI ROCK」のロゴと海老。担当Yさんが作ってくれた特製原稿用紙です!担当Yさんも、かなり この連載に力が入っていたんですよね。

あ、それから「雑誌掲載のまんま」とか書いたけど、実は絵を修正した箇所が あります(汗)当時、ボクはキャラクターの指を4本で描いてしまうクセがあって、今だったら雑誌に載る時点で絶対にチェックが入るところ。ただ、あの頃は そういうことに大雑把だった時代というか(特にギャグマンガだし、そいういマンガも多かったと思う)誰も気にしていなかった。

実際、だいたいのシーンは気にもならないんだけど、目立つところだけは修正入れました。(扉絵とラストページ。ラストページに至っては、手の指だけの修正だと違和感があったので、今回 1ページまるまる書き直してます)

元の絵はコチラ ↓

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ゲ…  比べてみると当時の絵の下手さが目立つなあ(笑)


実は、この「えびぞりロック」もちろんデビュー作でもあるし愛着はあるものの、絵は下手だし、あえて世間に公開するなんてありえない!って思っていたんだよね(公開したくなかった理由は他にもあるんだけど今は割愛)


でも…不思議なもんで、これだけ時間が経つと
「別に、もう良いかな」って(笑)歴史だしね。
現在の自分はココから始まってるんだから。


今現在、noteで「おしゃれ探偵タチバナ」や
「パニ妻」「テンが来る」「カッパつ野郎」とか
イロイロ発表してる 久保マシン(Y)の原点なんだから!


ある意味、レトロな漫画だけど
今の人にもチョットは楽しんでもらえると
いいなあと思ってます。


最後にオマケとして
写植指定が入った扉ページの生原稿と1話の刷り出し
お見せして、今回は終わりたいと思います ↓

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『40年前の週刊 少年マガジン掲載作品を
公開します__「えびぞりロック(1)」 』 終わり


ご案内:久保マシン(Y)くぽりん



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