しおまち書房の本(2)想いを込めた実験作

画像1 2013年10月。この本「ヒロシマ・モナムール~広島に住み、広島を愛するひとの、平和な瞬間と想い」が世に出る。この年の春に会社を辞め、6月に「しおまち書房」として独立し、最初に制作した作品だ。タイトルは広島を舞台としたフランス映画の原題からの引用ともいえるが、純粋に「広島を愛する」と言いたかったという面もある。
画像2 発行に際して、ぼくが書いた一文を紹介する。「この本は、平和がある、あたりまえの瞬間を見つめなおすことを大切にしよう・・・という願いを込めて編集させていただきました。声高なメッセージも大切ですが、それが行き過ぎると、それさえもまた「争い」の元になります。「すべての人が、普段の日常を大切に感じ、それを愛おしく大事に想うこと」が平和への大切な一歩だと、そう思っています。大きな惨禍から復興した街に住む人々だから、目の前の平和はより愛しいものになる。そのことを、ちょっとだけ振り返って、表現してみたかったのです」
画像3 平和を語るためには悲惨な事実を表現しなければならない。平和を実現するために、はっきりと主張しなければならない。それらは当然のアクションであるが、一方で地元である広島に住んでいる人たちの日常の平穏な暮らしとは並行して存在する。そこで、あくまで仮定として、それらをすべて「除外して」平和を語れないか、そういう想いが2013年のぼくにはあった。そのきっかけとなった出来事も、この本には記している。それは主張というほどのものではなく切り口だ。
画像4 そういったテーマとは別に、この本には編集者として自分に課した別のテーマもある。 箇条書きにすると、こんな感じになる。 1)執筆、取材、編集、写真撮影、デザイン、データ作成をすべて自分一人でする。 2)一般の方に参加いただくことで「作品が本になる喜び」を感じてもらう。
画像5 1)については、これまで複数の企業で本をつくってきたとはいえ、それはすべてチームプレイで、それなりにどのパートも経験があるものの「1人ですべてやる」経験はなかった。起業の最初だから、まず経験として一人でやってみたかった。最終的にDTPデータのチェックだけを専門家に頼んだが、あとは全部やった。それゆえに「下手な」ところもたくさんあるけれど、それはそれで意図したことだ。
画像6 2)に関しては、雑誌などの含め、「本を世に出す」経験を何度もしていると、いつも「出来上がった瞬間のうれしさ」を感じてきた。だから、それを一度、いろいろな方に体験していただきたい・・・と想ったのだった。
画像7 そういうわけで、いろいろな実験と恥ずかしさとホンネ。それが混ざった冊子が生まれた。一時期は、ちょっと恥ずかしくて見たくない時期もあったけれど、今はもうそれほどでもない。願わくばまたいつか、自分自身が制作する本を作れる余裕が生まれないかなという、ちょっと他力本願な気持ちを持ちながら、ページをもう一度めくっている。
画像8 勝手がわからず、かなり多く刷ってしまったので、今でも在庫はある。以下で販売中。 【実店舗】 MUJI BOOKS(広島パルコ・無印良品内) /エディオン蔦屋家電(広島駅前)/本と自由(横川)
画像9 【ネット】 アマゾン https://amzn.to/2GCPSwd /BASE https://shiomachi.base.shop/ /しおまち書房 http://shiomachi.shop-pro.jp/ 【書籍の詳細】https://shiomachi.com/publications/hiroshima_monamour

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