無題

知識の質は論理にあり。スターバックスの事例に学ぶ戦略ストーリー。

先日、久保家の投資情報をオープンデータ化しましたら、思いのほか反響がありました。お金に関することを記事にして稼ぐ、物書きの人達の気持ちが少しわかりました。夫は商売下手なので、最初から成績上位の株を公開してしまい、ネタが続かなくなりました(笑)「小出しにする」というテクニックを身につけなければと反省しております。

おもしろかったのは、反響があったのはFacebookのシェア側で、Noteのビュー数が高かったのは、インターネットについて書いた記事でした。裏側のアルゴリズムはわかりませんが、ポイント稼ぎを狙ったNoteよりも、好きなことを書いたNoteのビューが高いことは嬉しかったです。

【教訓】 ノートの質を高めるために、好きなことについて書く。

さて、本日のテーマは「スターバックスの戦略ストーリー」です。楠木建先生の「ストーリーとしての競争戦略」から、「第三の場所」をコンセプトに成功したスタバの事例を引用し、その要点をまとめます。

○知識の質は論理にある

知識の質は論理にある、と楠木先生は言います。大きな成功を収め、その成功を持続している企業は、戦略が流れと動きを持った「ストーリー」として組み立てられている点で共通しています。戦略にとって大切なのは「見える化」よりも、「話せる化」です。誰かに話したくてたまらなくなるような、面白い「お話」をつくること。それが、違いをつくって、つなげるという戦略の本質です。

戦略とは、違いをつくって、つなげる。

ホワイトボードをご覧ください。こちらが、スターバックスの戦略ストーリーです。「第三の場所」というコンセプトには、夫もグッとくるものを感じまして、3年前に「ThirdPlace Japan」という屋号までつくりました。しかし、資本金をダイエットで使い切ってしまい、今に至るわけです(笑)この辺りのお話が、「Code for Diet」というプロジェクトでおもしろおかしく書かれていますので、良かったら読んでみてください。プリンスさんのセンスを感じる作品です。

少し脱線しましたが、戦略ストーリーを構成する柱は、次の5Cと呼ばれる概念です。起承転結の構成になっており、それぞれに一貫性がある点がポイントです。

 1.競争優位(Competitive Advantage):結
 2.コンセプト(Concept):起
 3.構成要素(Components):承
 4.クリティカル・コア(Critical Core):転
 5.一貫性(Consistency)

○最初にコンセプトあり

まず、コンセプトから説明しましょう。コンセプトとは「本当のところ、誰に、何を売っているのか」です。おもしろいコンセプトが発見できたら、戦略ストーリーの半分が完成したと言えます。

スターバックスの場合は、それが「第三の場所」です。心地が良くてリラックスできる体験と文化を提供します。イライラする日常社会の避難場所としてご利用ください。お代は第三の場所代として頂きます、というのがコンセプトです。

ここで重要な点は、「誰に嫌われるか」をはっきりさせる点です。万民受けを狙うと失敗します。なぜなら、競争戦略の本質は、他社との「差異」をつくる点にあるからです。差異が利益を生み出します。

次に、そのコンセプトを実現するための構成要素を組み立てていきます。スタバの場合は、「店舗の雰囲気」「出店と立地」「スタッフ」「メニュー」ですね。この構成要素に、値段は入っていませんよね。「安くてうまい!」のような価格設定を組み込んでしまうと、「第三の場所」のコンセプトに抵触するので、あえて外すわけです。

コンセプトでは、「誰に嫌われるか」をはっきりさせること。「差異」が利益を生む。

○一見して非合理

続いて、クリティカル・コアです。クリティカル・コアとは「戦略ストーリーの一貫性の基盤となり、持続的な競争優位の源泉となる中核的な構成要素」です。このクリティカルコアが、ゴールを決めるためのキラーパスになります。

スタバの事例を見てみましょう。「直営方式」になっています。「一見して非合理」に見えます。合理的に考えると、「フランチャイズ方式」の方が、低コスト・低リスク・地元密着、高いモチベーションという点で有利のように思えます。ここが賢者の盲点になります。

クリティカル・コアを組み込むことで、賢者の盲点を衝く。一見して非合理だけど、ストーリー全体の文脈に位置づけると、強力な合理性を持っている。そのことが、ゴールを決めるキラーパスになる。ここが戦略ストーリーの山場です。

一見して非合理に見える。そのことが、賢者の盲点を衝く。

○自滅の論理と戦略の本質

そして、最後の競争優位です。ここが「長期利益」というゴールを獲得するためのシュートになります。競争優位は2つしかありません。「Willingness to pay(支払いたくなる金額)を増やす」か「コストを減らす」です。「利益=収益-費用」だから当たり前です。スタバの場合は、「WTPの増大」をシュートにしています。

競争優位には階層があるのですが、今回は要約なので、最後のクリティカル・コアに焦点を絞ります。スタバの場合は、「直営方式」がクリティカル・コアです。

フランチャイズ方式の競合他社が、スタバの模倣をすると、模倣自体が競合の戦略の有効性を低下させ、さらに差を広げることになります。構成要素の過剰を引き起こし、戦略不全に陥ります。これを「自滅の論理」と呼びます。

戦略の本質は、違いをつくってつなげるにあります。差別化だけなら、猿でもできる。戦略は、因果論理のシンセシスであり、特定の文脈に埋め込まれた「特殊解」という本質を持っています。優れた戦略立案の普遍の法則がありえないのは、戦略がどこまでいっても特定の文脈に依存したシンセシスだからです。誰かに話したくてたまらなくなるような、面白い「お話」をつくること、それがストーリーとしての競争戦略です。

誰かに話したくてたまらなくなるような、面白い「お話」をつくること。

以上が夫の意見になります。皆さん(妻)はどう思われますか。

○本日のおすすめ本

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件
楠木 建 (著)
単行本: 518ページ
出版社: 東洋経済新報社 (2010/4/23)


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