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画力と一緒に育ててほしい3つのチカラ

本日は北原ユシキ先生から『画力と一緒に育ててほしい3つのチカラ』の記事をお届けします!


こんにちは!京都芸術大学通信教育部で非常勤講師としてレイアウト・構図の添削を担当している北原ユシキです。

今回、みなさんに伝えたいことをパッション全開で好きなだけ書く機会をいただきました。そこで、個人的にいただく相談の中でお聞きするさまざまな悩みの根幹部分を解消できるよう、画力と一緒に育ててほしい3つのチカラとその方法についてお話しします。 

  ■発想するための筋力「発想筋」の鍛え方
  ■発想に必要な栄養を蓄える「貯蔵庫」の作り方
  ■知っていることを増やして発想の「起爆剤」に

ただしこれは私の中で見つけた正解なので、すべてがみなさんに当てはまるわけではありません。「この考え方は自分に合いそうだな」と思えるものがひとつでも見つかって、見える世界を広げる助けになれたらとても嬉しいです。


発想するための筋力「発想筋」の鍛え方

「オリジナルキャラクターを作るのがむずかしい」
大好きなマンガやアニメなどのファンアートではなく、自分の手でキャラクターやその物語の舞台となる世界を作るのが難しい、という相談を受けることがあります。

めちゃくちゃよく分かります….!学生時代は私も「オリジナルのキャラなんて作れるわけがない」と、オリジナルというものに対して畏怖に近い感情を抱いていました。

この畏怖の正体は分かりやすく表現すると、「レベル1のすっぽんぽん状態でレベル99のボスを見て怯えている状態」に近いです。つまり、武器や情報が何もない状態で漠然と最終形だけ見てしまっているため、このように感じるのです。

このような場合、例えばそれがゲームであればみなさんはどうしますか?きっと鍛錬を積んでレベル上げをしたり、仲間とパーティを組んだり、装備の追加やバフ(能力強化)をするはずです。

イラストも同じです。オリジナルのキャラクターや世界観などのアイディアを作り出すには、武器や情報を身に着ける「筋トレ」が必要です。はじめから完璧に自転車を乗りこなせる人はいないけれど、トレーニングを積めば誰だって乗りこなせるようになるのと同じですね。

そのためには、下記を意識してみるとよいでしょう。

・同じテーマで描いているいろいろな人の発想に触れる
・興味を持てる資料や、琴線を刺激する作品に触れる
・頭の中だけに留めず、まずはとにかく出力する

特に3つ目は重要です。アイディアを作り出すためには、まずはどんなにクオリティが低くても、見せるのが恥ずかしいと感じるものでも、とにかく出力してください。

発想に必要な栄養を蓄える「貯蔵庫」の作り方

発想筋を鍛える中で、必要な栄養を蓄えるためにも効果的なのが「興味を持てる資料や、琴線を刺激する作品に触れる」ことです。自分の琴線をつまびくもの、「イイと感じる」ものの中から発想筋へ栄養をたくさん送るために、下記を意識してみてください。

・簡単なスケッチやメモをとる習慣をつける
・なぜイイと感じたのか、観察と分析をする

簡単なスケッチやメモをとる習慣をつける

メモやスケッチという方法に対して「写真や画像保存でいいでしょ」と感じる方もいるかと思います。しかしなぜ私がこの方法をおすすめするかと言うと「忘れてしまう」「埋もれてしまう」からです。

もちろんとにかくストックすることも大切ですが、後から見る自分に対して「何に対してイイと思ったのか、どう使えると考えたのか」とメモを残してあげるだけで、これらは暗号のようなダイイングメッセージから優しくつづられたメッセージレターへと変わります。

なぜイイと感じたのか、観察と分析をする

「ああ、これ格好いいな」と感じたものに対して、それだけで終わってしまってはいけません。例えばイラストだったらその作者の配色なのか、構図の取り方なのか、人物のシルエットなのか……など、興味を掻き立てられた部分を理解し、自分の中へ落とし込むことが大切です。

ただ見て終わるのではなく、さらにその先にある「なぜそう感じたのか」を意識して、貯蔵庫にストックする栄養を分類してみてください!

知っていることを増やして発想の「起爆剤」に

形を理解せずに上から線でなぞってトレースしただけのものと、形を理解してトレースしたものとでは、できあがるものが全く違います。

見えないところまでその構造が意識されるほど、見えている部分の表現が際立ってくるのです。

分かりやすい例として、みなさんは「眼球は球体だ」と知っていると思います。球体だと知っているから「球体だけど平面的に描く」「球体として意識して描く」など表現の選択ができますし、「ほんの少し丸みを出す」など表現の幅も無意識のうちに広がります。

「石」や「建物」でも同じです。キャラクターが川の近くに立っている場合に河原にふさわしい石が選択できるか。キャラクターに合わせて建物を描きたい場合に、そのキャラクターの世界観に合わせた建物を選択できるか。私たちは石にはいろいろな種類があると知っているし、建物にもいろいろな作りや構造があると知っているからこそさまざまな表現を選択できますが、もし知らなければ「ファンタジーの世界観なのに日本現代の建物を描いてしまう」なんてこともあるでしょう。

知っていることが増えれば増えるほど、発想する際の起爆剤となります!まずは本屋さんでふらっと雑誌コーナーを見て、興味を惹かれたものを手にとって見てください。たまたま開いたページに、検索して見つけ出すには時間のかかる世界、あるいは知らなかった世界があるかもしれません。

まとめ:自分の琴線を弾いてくれる存在を知り、貪欲に深掘りしよう!

以上、3つのチカラとそれを自分のものにしていくための方法についてご紹介しました!あらためてまとめます。

  ■発想するための筋力「発想筋」の鍛え方
  ■発想に必要な栄養を蓄える「貯蔵庫」の作り方
  ■知っていることを増やして発想の「起爆剤」に

是非、表面的な情報だけをストックするのではなく、好奇心を持って「この建物すごいかっこいいけど、軒下はどうなっているんだろう!?」「この植物めちゃくちゃ綺麗だけど、大きさはどのくらいで、どういう気候に植生しているんだろう!?」と、興味を惹かれることに対してはどんどん深掘りしていってください。

建物や歴史、衣服、食事、映画……例を挙げたらきりがありません。自分が興味を惹かれ、好奇心を持って貪欲にかじりつける物事を深めていけば、その知識と表現は他の人には真似ができない「あなた自身の力」になるはずです。明確に自分の強みを育むことができたら、それは表現する上でのあなたの武器となり、世界を構築する揺るぎない土台となります。ぜひ興味を惹かれたものは観察と分析をして、イラストに活かしてみてください!


〇プロフィール
北原ユシキ/illustrator

フリーランスのイラストレーターとして活動中。京都芸術大学通信教育部で非常勤講師としてレイアウト・構図の添削を担当。
Twitter @K_yushiki
youtube https://www.youtube.com/@Yushiki/featured
web https://kitahara20.wixsite.com/kakkei


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