先輩からのメッセージ/勉強しなかった後悔からブラジルへ
神谷 樹 さん
(2016年3月 卒業)
悔いの残った大学時代
自分の学生時代を振り返ってみると、決して勉強を頑張ったとは言えません。スペイン語を学習するモチベーションが上がらずたびたび再履修になるなど、卒業までだらだらとそんな状態を続けてしまいました。
そんな私が選んだ進路は、JICA 海外協力隊への参加でした。ブラジルに日本語教育隊員として参加した人の体験談を聞き、自分の言語力に自信がなかったからこそ海外で活躍することに憧れを抱きました。卒業後、国内の日本語学校で3年ほど実務経験を積み、選考に合格して希望通りブラジルで2年間活動することになりました。
派遣前の訓練ではブラジルポルトガル語を学習しました。ポルトガル語はスペイン語とよく似ていて、知識面ではあまり苦労しませんでした。しかし、それだけでコミュニケーションがうまくいくわけではありません。現地で感じたのは私自身のことを伝えることの大切さでした。周囲の人たちにとって見知らぬ外国人である私は、まず信頼を得る必要があります。最初は言いたいことがうまく伝わらず、また、周囲の会話がわからないため疎外感を覚えていました。それでも、徐々に伝えられることが増え、私に関心を持ってもらえるようになりました。ことばを学ぶのがこんなに楽しかったことはありません。残念ながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、8か月で帰国することになってしまいましたが、帰国して3年が立った今も現地で知り合った人とオンラインで交流が続いています。
スペイン語を学ぶ皆さんへ
学生時代を振り返ると、スペイン語に対するモチベーションが上がらなかった原因の1つは、自分を伝える重要性と楽しさに気づけなかったことだと思います。いつの間にか、試験に合格することが目標になっていて、教科書に載っている「どこかの誰か」のことばを覚えることが言語学習だと考えてしまっていたのかもしれません。そして、後悔があるからこそ、ことばの教育や自己表現についてもっと学びたいと思うようになりました。
今、スペイン語学科で学んでいる人のなかにはモチベーションが上がらず苦しんでいる人もいるかもしれません。それでも、きっと今の時間が将来の糧になるはずです。
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