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デザイン組織のロゴをつくった話


はじめまして、Uzabase SaaS Design Division “DESIGN BASE”でBXデザイナーをしている藤原です。

“DESIGN BASE”とは、ユーザベースのB2B SaaS事業、「SPEEDA」「INITIAL」「FORCAS」「FORCAS Sales」のデザイン全般を担当するデザイン ディビジョンの通称ですが、この名前がついたのは今年の初めのことです。

わたしは今年に入ってから、この “DESIGN BASE”というデザイン組織の立ち上げを担当させてもらっています。
デザイン組織の立ち上げは初めての経験で、手探りで試行錯誤している真っ最中なのですが、今回は組織の顔となる「ロゴ」をどう作ったかをお話ししたいと思います。
DESIGN BASEメンバーのnoteがまとめられた「DESIGN BASE MAGAZINE」のヘッダーでも使われている、このロゴです。

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デザインディビジョン内でロゴコンペを行なったり、ほかにもデザイン案を提案したりしていましたが、それについては今回は割愛し、このロゴができるまでの流れについてお話しします。
(ちょっとニッチですが)「組織のロゴをつくることになったデザイナーさん」の参考になれば嬉しいです。

組織の名前が決まるまで

名前が決まる前から、我々の組織にはDESIGN FORWARDというビジョンがありました。

DESIGN FORWARD

デザインー。それは、
対象の本質を見い出し、人々をはっとさせること。
美しい体験を創り出し、人々をとりこにすること。
斬新な未来を描き出し、人々をわきたたせること。
私たち Uzabase SaaS Design Divisionは、
クラフトが持つ大きな力を信じながら
SaaSビジネスの可能性を共創し続ける。
世界を前に進めるために。

デザインの力で世界を前に進めていく、という強い意志を持つビジョンです。このビジョンを実行していく組織にふさわしい組織名をメンバーみんなで考え、出し合い、リストアップしました。

そしてたくさんの組織名の候補の中から、”DESIGN BASE”という名前を選びました。

"DESIGN BASE" を選んだのは、「ユーザベースという会社のデザイン組織だということが直感的にわかりやすい」ことが一番の理由です。
趣向を凝らしたネーミングも素敵ですが、耳にした時に一発で伝わる直感的な響きが、生まれたての組織の名前を認知してもらうために重要だと思ったのです。

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ネーミング候補の一部です(本当はもっとたくさんあります)。日本語名から英語名まで様々!

第1回目のロゴ提案

DESIGN BASEという言葉から、イメージを膨らませてロゴマークを作ります。最初にメンバーに見せたロゴがこちらです。画像右側はロゴのコンセプトです。

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マークは「ホームベース」をモチーフにし、走り出すスタート地点としての役割を担う組織であることを表現しています。
ベースという言葉には「土台」や「基盤」という意味があるので、スタート地点・走り出す場所みたいな意味合いを持っているホームベースはモチーフとしていいんじゃないかなと考えました。

デザインって、物事の見せ方を整える作業のように思われがちですが、物事の上流から関わり、土台部分からデザインすることで、もっと豊かな世界をつくれるのではないかと、日頃から思っていたことをロゴに込めたかったのです。(ちょっと大袈裟ですね・・照)

話し合いと投票でこれをベースにブラッシュアップしていくことが決まります。今見るとかなりざっくりしてるなあ・・・

ブラッシュアップで行なったこと

1. ブラッシュアップポイントを整理する

まず行なったのはDESIGN BASEメンバーのBXデザイナー数名に「どうしたらもっとよくなるか」というフィードバックをもらうことです。
これまでは自分1人で考え、作っていたので、ここで初めて客観的な視点が入ることになります。
そこで出たブラッシュアップポイントは以下です。

ロゴタイプに関して
・フォント
・行間、文字間
・文字の組み方
マークに関して
・線の太さ
・角の丸みの有無、角の丸みの大きさ
・切れ込みの位置
・マークを回転させてみる
・マークとロゴタイプの置き方

ふむふむなるほど、たしかに検証の余地がありまくり!と納得しました。

2.DESIGN BASEのイメージを整理する

次に行ったのは、DESIGN BASEにもつイメージのヒアリングです。
今のDESIGN BASEらしさや、これからのDESIGN BASE像が、ロゴをブラッシュアップしていく上でのヒントとなると思い、メンバーにインタビューを行いました。

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メンバーから出たイメージを言語化したものがこちらです。

これらのイメージをどうロゴに取り入れていくか。手を動かしながら考えていきます。

ビジョン「DESIGN FORWARD」を感じさせる

ヒアリングを経て、検証するポイントも明確になったし、DESIGN BASEのイメージを言語化することもできた。ビジョンである「DESIGN FORWARD」を感じるロゴになるように、手を動かすだけ!・・・なのですが、なぜかモヤモヤして手が進みません。焦った私は、同じチームのデザイナーに相談しました。

すると彼が言ったのは

「組織名であるDESIGN BASEと、ビジョンであるDESIGN FORWARDの言葉の持つイメージが違うのがモヤりますね。」「DESIGN BASEってどしっと構えて動かないイメージ。DESIGN FORWARDはグイッと引っ張っていく動きのあるイメージですよね。」


あ〜〜〜〜〜!なるほど〜〜〜〜〜〜!

わたしは「静のイメージ」と「動のイメージ」が混在するロゴをつくろうとしてたので、どっちに向かって作業を進めていいかわからず立ち往生してしまっていたのでした。

モヤモヤを言語化してくれた伊藤さん(noteぜひ読んでね)に感謝しつつ、【A】BASE方向(静のイメージ)【B】FORWARD方向(動のイメージ)に分けて、それぞれブラッシュアップしていきます。無事に再び手が動くようになりました。

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第2回目のロゴ提案

ブラッシュアップしたものをもう一度メンバーに見てもらうために、検証を進めます。
まずはフォントの検証。イメージに合うフォントを数十種類選び、マークとの相性やコンセプトに合うかどうかを見ていきます。

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【A】BASE方向はどっしりと安定感のある太めのフォントかな。【B】FORWARD方向は、未来を切り開くイメージで直線的なフォントがいいな。とはいえBASEと言っているのだからあまり華奢だとよくないな。。
なんて言うことを考えながらフォントを選定します。

フォントの選定と同時進行でマークの検証も進めます。
角度や線の太さ、切れ込みの位置など何種類もパターンを出しながら、選んだフォントと組み合わせて検証をしていきました。

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ここからさらに角に丸みをつけたりとったり、ロゴタイプとの組み方を変えたり、考えられる限りの検証をしながら、なんとか二つの方向性のロゴが形になりました。

【A】BASE方向(ロゴとコンセプト)

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第1回目に提案したロゴと大きく変えたところは、まずマークとタイプの組み方です。「ベース感」「土台感」「安定感」を感じさせたかったので、縦に積み上げる組み方から横に並べる組み方にしました。

DESIGN BASEのイメージの言語化で、「成熟」「知的」などのワードがでたことから、第1回目提案時のロゴにあった角を丸くする処理は、子供っぽさを助長するのでやめることにしました。

【B】FORWARD方向(ロゴとコンセプト)

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B方向もガラッと雰囲気が変わります。

大きく変えたところは、まずマークの向きです。ホームベース型から、右向きのやじるしのような形になっています。これは、物事を進めていく力、推進力のようなものをイメージしています。物事を未来に進めていく存在でありたいので、ロゴタイプも直線的かつ幾何学的です。

ロゴの右側にある文章は、ロゴのコンセプトです。今回はコンセプトを考えることとロゴをつくることを同時に行い、右脳と左脳を行ったり来たりしながら手を動かすことで、伝えたいことがブレないロゴを目指しました。

いろいろな調整をしたり、文字をつくったりなどしてるのですが、話し出すと長くなりすぎるので、ざっくり画像にまとめます。

【A】

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【B】

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この2方向のロゴをメンバーに提案して、議論した結果、【A】の方向で再度ブラッシュアップを行うことに決定しました。

【B】方向もいいねと言ってもらえたのですが、「DESIGN FORWARD」という言葉に全振りしたコンセプトと造形にしたため「BASE」感がなく、若干唐突な印象になってしまいました。特にシンボルマークを元々の「ホームベース」の形から変化させていることが大きな原因の一つだと思います。
「DESIGN BASE」という組織名である以上、ベース(=どしっと構えてブレない土台であること)を感じられることを前提にさらに「DESIGN FORWARD」的要素が加わっていく、という構造がシンプルだと言う理由から【A】案で進行することとなりました。

最終決定!

ここから最終調整。見てもらったメンバーの意見も取り入れながら再度ブラッシュアップしていきます。行った調整は以下です。

・ロゴタイプが少し幅広→ニュートラルな印象になるように横幅を調整
・マークの切れ目が下なのが不安定に見える→切れ目を下から上に変更
・「Uzabase~」の文字がごちゃついて見える→文字のウエイトを細く
・マークを少し太くして全体のバランスをとる
・マークとロゴタイプの比率を黄金比である1:1.618に合わせて微調整
・組み方は縦組みと横組みの2種類を併用する

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これでやっと完成です。

ロゴのリリース日は決まっていたので、名前が決まってから1ヶ月くらいで作りました。デザイン組織(デザイナーの集団)のロゴをデザインするプレッシャーに押しつぶされそうでしたが、なんとかやり遂げることができました。

ロゴの変移はこちら。

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長くなりましたがロゴ制作の流れは以上です。このnoteが組織を立ち上げるプロジェクトマネージャーや、ロゴを作るデザイナーさんたちに少しでも役立てたら幸いです。

2021年の4月にロゴができ、本格的に動き出したDESIGN BASE。メンバーが自分たちの思いを吐き出すnoteも同時にスタートしています。メンバーの個性と、わたしたちDESIGN BASEの雰囲気が伝わると思うので、ぜひ覗いてみてください。


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