デザイナーとして大切にしたい「人とのつながり」の話
突然ですが、わたしが人生において大切にしているもののひとつに「人とのつながり」があります。
なぜなら、出会った人と話してその人の価値観を知り、影響を受けることがとても楽しく、好きだからです。そして、より多くの人と話すことで、多様な価値観をインストールし、自分の思考の幅が増えていく感覚がとても嬉しいからです。
誰でも少なからず同じような経験があるのではと思いますが、「小学校の先生から言われたあの言葉」「高校のときの友達が好きだった音楽」「あの時たまたま出会った人との、あのやりとり」といった様々なことが今のわたしをつくっていると思うのです。
なので、わたしは今も新しい出会いが自分自身をアップデートすることに繋がると考え、人との出会いや関わりをとても大切にしています。
今回は、デザイナーとしてわたしが「人とのつながり」についてどう考えているのかを、自分自身の整理のために書いてみたいと思います。
デザイナーにおけるインプット
わたしは「人と話す」行為をインプットと捉えています。
デザイナーにとってのインプットは、アウトプットと対をなすとても大切な行為です。
わたし個人が勝手に定義したものですが、デザイナーにおけるアウトプットとは「デザインをすること」。インプットは「自分を拡張すること」だと思っています。
アイデアの源や、昨今のトレンド、過去の傑作などを見聞きして、自分のデザインの肥やしにする。自分自身を豊かにしてデザインへ還元していく。この循環が、デザイナーとデザインの健全な成長サイクルなのではないでしょうか。
インプットは「美術書を読む」「デザイン書を読む」「美術館へ行く」「映画を見る」「音楽を聴く」…など、いろいろ方法がありますが、わたしはその中でも「人と話す」ことに重要性を感じています。
人との会話は、回答や結論が用意されていないので、偶発的で予想もしなかった価値観と出会える可能性が高いことが魅力です。
六次の隔たり
「六次の隔たり」という言葉を最近知りました。
六次の隔たりとは簡単にいうと「どんな人にでも、6人の人を介せば繋がれる」という仮説です。
水曜日のダウンタウンというバラエティ番組の「数珠つなぎ6人で誰の電話番号にでもたどり着ける説」という企画で、六次の隔たりの検証をしていました。結果、街で声をかけた人からダウンタウンの松本人志さんまで、4人でたどり着きました!
こういった仮説や検証を見ると、より多様な価値観を得るために、人と出会うことはとても効果的なのではないかと思います。
共通体験の創出
でも、人と出会ったり関係性を築くことはとても大変だし難しいですよね。
わたし自身、人の顔を覚えたり、覚えてもらったりすることが苦手です。2回目なのに、はじめましてと言われて勝手に傷ついたこともしばしば…。
どうしたものかと考えた結果、仲良くなりたいとか話を聞きたいと思った人は積極的にごはんに誘うようにしました。そしてもしごはんに誘われたら、なるべくフットワーク軽く足を運ぶようにしています。
(わたしはもともとごはんを食べることやお酒を飲むことが好きなので、自然とそうなったというほう正しいかもしれません…!)
「ごはんを一緒に食べる」という行為は、すごくお手軽な「共通体験の創出」だと思います。
一緒にテーブルを囲み、同じものを食べ、感想を共有すること。なごやかな空気の中でおしゃべりをすること。
日常の中の無意識の緊張がとけて、自分と相手の心のドアが少し開かれる感覚がとても好きです。
ごはんを食べながら聞いた話や、自分の話をしてみたときのその人のリアクション、どんな料理をおいしいと言っていたか、リラックスモードのその人はどんな風に笑うのかなど、その場でしか得られない体験があるように思うのです。
この体験の共有によって、挨拶を交わしたり打ち合わせをしたりといった関係とはまったく別の関係性の構築ができると考えています。
(わたしはコミュニケーション能力が高い方ではないので、ごはんの力を借りている感覚が近いように思います…!)
デンマークに「ヒュッゲ(Hyugge)」という言葉があります。「居心地がいい空間」や「楽しい時間」のことをさす言葉です。
わたしにとって、だれかとごはんを食べる時間は「ヒュッゲ」に近いのかもしれません。
人とつながり広がる世界
人とのつながりは自分を拡張してくるような気がします。
上述のような自分自身の内面を豊かにしてくれるような出会いはもちろん、そのつながりが新しい仕事を連れてきてくれたり、その仕事が自分を成長させてくれたりする。もしかしたら新たな趣味や新たな人との出会いももたらしてくれるかも。
自分自身が、もし悩んだり、考えが偏ってしまっていると感じるとき、人と繋がる心の小窓をあけて、新しい風を感じてみるのもよいかもしれません。小窓を全開にするのは怖くてできないのですが、常に少しだけ開けておいて風通しの良い、オープンな自分でいたいなと思っています。
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