朦朧とする自身
時々、ぼやーっと自分の感覚が遠くへ行ってしまう事がある。体は動いているのに、意識はそれを見ているだけで、何というか俯瞰的に自分の行動を見ている状態に近い。夜に近づくほどそれは顕著になりがちで、外にいるとより自身との距離が離れていってしまうようだ。
これに気が付いたのは本当に最近のことで、なんだか自分という存在がフワフワしているな、と何となく感じたことがきっかけだった。自身が正常じゃないのは当たり前のことだったからか、あまり深刻に思うこともなく、日々を適当に過ごし続けていた。
そんなある日だ。いつものように離人感が自身に訪れた時、同時に持病である鬱が近づいてきた。二つが合わさったことは今までなかったため、何が起こってしまうのか予知なんてできるわけもなく。きっと薬が何とかしてくれるだろうという根拠のない対処法に縋るしかなかった。結果から言うと、別に命がなくなったわけではなく、こうして平然と生きているのだが、それはそれは危機的なほどの自己の喪失感が襲ってきた。
この感覚をホラー風味に言うと、「死に誘われてしまう」だろうか。数多の自殺者の意識に同調しそうになった、とも言えるかもしれない。
「死にたいな」の鬱と、「自分のことを外から見る」の離人感。足して生まれた感情は、「死にたいなら死ねばいいじゃん」である。これが本当に厄介なもので、自殺は自分のことなのに他人事として脳は処理をしてしまうようだ。こうやって人は死ねるんだなぁ、という知識と俯瞰視点が、自身の強い鬱衝動と相まって背中をぽんと押されてしまうような感覚。自覚できたからいいものの、無視を続けてしまえばきっと行動に起こしていただろう。その未来が見えて、真夏に背筋が冷える思いをした。
怖いなぁ、怖いなぁ。恐怖体験の一つである。
ぼやっとし始めたらおとなしくベッドにこもるべき。これ、ライフハックね。
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