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銀行の個人営業(リテール)を辞めた話⑦

5年目の銀行員生活は闘いだった。

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自分の信じる営業スタイルを確立

その当時、銀行に来店誘致をする専門部隊が立ち上がっていた。
2年目に突入したそのプロジェクトは、いかに誘致されたお客様から利益を上げられるか。私を始めとする若手たちは、支店内で激しい競争にさらされていた。

CV(コンバージョン)率と言う数字を主に競い合っていた。
100万円以上の金融商品販売を一人のお客さんから販売する。
それが「初めまして」で販売すると100%。
2回目の来店で販売すると50%。
単純に、10人中3人から販売すると30%といった具合だ。
7人のお客さんをいかに失注にせず、取引をするかが重要な数字だった。

全国でそのCV率が意識される中で、我々の支店はその平均CV率が他店比でダントツの成績を誇っていた。
若手が約10人程度いるメガ支店で他店比で高い数字を誇っていたのは、上に書いたように、

単純な競争だった。激しい競争。

「営業」、というか「仕事」というのはできる奴に舞い込んでくる。
この当たり前の大原則を学んだのがこの時期だったと強く記憶する。

全店で平均30%程度のCV率だったが、私が41%くらい。これで支店3位。
上は45%、50%を超えていた。
結果的に、こういった成績を誇るセールススタッフは、確度の高いお客さんを割り当てられ、さらにCV率を上げていく、と言う構図になっていた。

この構図を何週間、何ヶ月も追い求め続けた。

数字(1ヶ月の販売目標)へのインパクトは少ないながらも、結果的に「営業力」を示す重要な指標になっているため、異動や退職などで引き継ぎがある場合は優先的に優良顧客の引き継ぎを与えられる。

当然、やる気みなぎる当時の私は、必死に対応した。
そのプロジェクトから送られるお客さんほど丁寧に扱い、1度目で約定できなくとも、必ず2、3ヶ月以内に伝票を取る。必ず取ると。

この時期に、私は自分のある“強み“(弱みも)を知ることになる。

それは初見のお客さんとの取引が少なく、2回目以降に会うお客さんとの取引確率が異常に高いことだ。

これは、「そういう営業が嫌い」という、ある種、いなせな意識を持ってやっていたことだったが、この「CV率」を競う仕事の中で、如実に現れたのだ。

「初めまして」で契約する確率はほぼ一桁%に近い私は、(自身で来店誘致し)2回目に会うお客さんから7、8割に近い約定率を誇った。3回目も高い数字のため、全体を鳴らすと41%くらい。
この会う頻度を分母に入れられなければ、約定率はかなり高かったのは後の話。(生産性の良さを使用時間で表すなら効率が悪いセールスだ。)

同時に、やはり初見のお客さんから営業を強く仕掛けることができないことや、契約が決まりそうな時に「強い不安」が訪れることにも気がついた。

今の営業スタイルを確率させるこの年の出来事のおかげで、
自分の得意なことと苦手なこと。
どういったスタンスでお客さんに向き合えば、自分らしいか。
そして、自身がどういう人間であればお客さんに選ばれるか。

と言うことをやっと理解し始めた。

徹底的に、誠実主義になったのは、この年からかもしれない。

この競争の中で、もしも成果が出ていなかったら、自身の強みと弱みにも気付けず、
スタンスも確立されずに、ただただ上司に詰められて、お客さんに無理をさせていくだけのセールスだったかもしれない。

自身のやり方で、成果が出て、お客さんの割り振り(仕事)も多くなり、ますます、「営業」と言う仕事が好きになり始めていた。

次なる目標は、「先輩たちを喰う」。。
銀行のリテール営業の醍醐味である、ジャイアントキリングをまだ成し遂げていなかった。圧倒的な数字(金融商品販売金額)をやって、成り上がる。。

まだまだ、銀行は辞められない。。


写真:自由軒(大阪難波)の名物カレー

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