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デザイナーを採用する面接をしていて思ったこと

勤めていた会社のオーナーが、会社を始めた頃の話をしてくれました。

 まだ会社が若かった頃、デザイナーに仕事をしてもらうのは大変だった。
だって、毎朝出社してくれるかどうかわからないんだよ。
来るとやっと安心して仕事を始められるんだよ。
デザインの仕事は自分ではできないから、下手に仕事をとってくるともう大変。


確かに自分が入社して思ったことは、デザイナーっていわゆる社会人としてのイメージと違うんですよ。
夏になるとアロハにビーサンっで会社を闊歩してるんですもの。
仕事中にはプラモデルの車のエンジンを作るのに熱中していたり。
夕飯を食べてくると言ったきり帰ってこないものも。
捜索するとお店で泥酔してたり。
夜中に「仕事が終わった!」って言ったかと思うと、
またデザインを始めるんですよ。
「帰らないんですか?」って聞くと、
「これからバイトのデザインだよ!忙しくてできなかったんだよ!」

なんだか変ですが。


めちゃくちゃでしたが、元気で活気がありました。
コンペで勝った時なんて大騒ぎでしたからね。


時が経って、最近ではそんなデザイナーは絶滅しちゃいました。

スーツを着て毎日ちゃんと会社に来て(今ではリモートです)、黙々とデザインをして帰って行きます。
会社の中が静かです。
会社も大人になったのです。


で、面接の話です。
広告やプロモーションのデザインをしたい学生が集まってきます。

面接で見るところは、当たり前ですがデザインしたものです。

学生でしたら、課題に対してどのように取り組んでいるのか。
どのように理解して、どのように表現したか、です。


まだ学生だと、デザインをしたものが自分の作品なんですね。
でも仕事をする段になると違います。
クライアントが作りたいものをどれだけ最高のものにデザインするか、なので自分の作品じゃないんです。
要望とは違う、自分が作りたいものを作ってもお金は払ってくれませんもん。


そこで、デザインの意図などを説明していただきます。
ここでの大事な能力は、自分が思ったことをデザイン出来る事だけではなく、
言語化出来るかです。
自分もはじめは「作ったデザインを見てわかってくれよ」っていうスタンスでした。
しかしデザイナーの力には、「言語化できるかどうか」は、とても大事だと思っています。

デザインの説明がしっかりと言語化できると、クライアントを味方にできるからです。


あとは、デザインが好きかどうかです。
みんな好きなんでしょうが、好きなデザイナーを聞くと案外答えられないんです。ファインアートをしていくのでしたら、他人の作品は関係なくても良いかもですが。


よく質問することが多いのは、

「当社に入って何がしたいですか?」
「当社に入ると、この会社に何のメリットがありますか?」

よくこんな難しい質問に答えられるなって思いますが、
要は「自分を採用してくれ!」って言うプレゼンの準備をしたかどうかですね。


と、滔々と述べてきたのに
元も子もない事を言うなって言われそうですが、
採用する決め手は、
自分が「こいつと一緒に仕事がしたい」かです!
さらに言えば、自分に刺激を与えてくれるかです。

めちゃくちゃなデザイナーと一緒に仕事をするのって、大変だけど楽しいですよね。

このようなご時世でデザイナーの採用ってどうなのかな?と思いました。
って言う話でした。


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