産業医からのにじいろ処方箋#17 僕が「家族」を取り戻すまでの話
家族にカミングアウトするということ
いつのことだったか、アメリカで同性婚訴訟が行われていることがニュースで報じられていた。
そのニュースをリビングで見ながら両親が「この人たち気持ち悪いね。」と言葉を交わしていたのを今でも鮮明に覚えている。
この一言が僕にとっては長年の傷になっていた。
多くの人にとって家族とは代替が難しい存在だと思う。
生まれてから多くの時間を過ごして来た人たちである。
もちろん悪いことも沢山あったが、それでも長い時間を過ごし、多くのものを与えてくれた両親を僕は心から大切に思っていた。
自分がカミングアウトすると、そんな家族を失うかもしれない
二度と家族とは会えなくなるかもしれない
あるいは家族が他の親族やご近所さんから後ろ指をさされるかもしれない。
僕はもう親が誇りに思ってくれるような息子ではいられないかもしれない。
そんな恐怖を持ちながら僕は大人になった。
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